そういわれればそうですねぇ・・・
就任して2年経過も戦地兵士を訪問しない最高指揮官
21日付Military.comは、最近のどの大統領よりも米軍人や退役軍人ための施策を実現していると繰り返し語っているトランプ大統領を、最近のどの大統領も行っている軍最高指揮官としての戦地兵士激励訪問をいつまでたっても行わない大統領だと報じています
退役軍人記念日にアーリントン墓地を訪れなかったことで非難を受け、「行くべきだったが多忙で行けなかった」と言い訳したものの、後で特別な予定が無かったと事が明らかになったり、軍事補佐官からの海外派遣米軍に関する報告に全く関心を示さないとリークされたりとか、軍隊に冷たい姿が隠せないトランプ氏です
ワシントンDCでの軍事パレードを計画せよと指示したものの、計画段階で想定以上に経費が必要で中止したりなど、パフォーマンス狙いの思い付きで大きな組織を動かそうとすることに、現場の人間に対する愛情や温かさを感じないのは、米国ビジネスマンのステレオタイプかもしれません。
一方で中米諸国から数千人の移民希望者が米メキシコ国境に向かっている状況に、法的に難しい米軍派遣を巡って国防省と一悶着しつつ、移民の群れに致死性兵器の使用を許可(11月22日)するなど、パフォーマンスなのか、現場主義なのかよくわからない人物です
さすがに大統領のスタッフも、戦地訪問激励を実現しないとまずいと考え、準備を始めたようなので、「初の戦地訪問」が実現する前に、軍事に目を向けたくないトランプ大統領の姿をご紹介しておきます
21日付Military.com記事によれば
●感謝祭の休暇を過ごすためフロリダの別荘に向かうトランプ大統領に記者団から、全米が休暇ムードの中で前線で任務に就いている米軍兵士への姿勢を問われ、「戦地に赴く予定だ」と答えたが、何時、どこへなど細部については言及しなかった
●ホワイトハウス関係者も最近、訪問計画のための出張から戻ったようだ
●戦地への激励訪問がないことは、大統領としての慣例の多くをおざなりにしてきた同大統領と米軍とのますます不良な関係を裏付けるものとなっている。
●一時的にせよ過去2年間軍事予算を増やした同大統領だが、米軍を政治的に利用しているとの批判も多く、予算面でも今後の削減とプラット化を指示している
●19日の週にも、ビンラディンを殺害した2011年の作戦の立役者である伝説の退役米軍将軍に対し、「もっと早くやるべきだった。そんなに褒められたもんじゃない」と冷たくコメントし、的外れな前線部隊非難だと軍事関係者から辛辣な非難を浴びたりもしている
●就任直後に発生したイエメンでの米軍兵士死亡事案に関しても、前政権が計画したことであると事務的なコメントを述べるだけで、軍からの説明を言い訳だと突き放した態度でコメントしていた
●米軍の海外派遣や活動を縮小する方向で当選した同大統領だが、これまでの大統領もそうであったように、アフガンやイラクやシリアやアフリカ大陸に派遣される米軍兵士は増加しており、消極的にでもそう判断せざるを得ない状況に直面している
●大統領の側近からは、大統領は自身が支持できない海外の作戦地域を訪れることに躊躇しているとのコメントも聞かれる
●実際トランプ大統領は18日のTV番組で、「私はイラク戦争に強く反対した。大きな間違いだった。2度と繰り返してはならない」と述べており、イラク戦争開戦直後の2003年3月にもそのような立場を表明している
●なぜ戦地を訪問しないのかとの質問に同大統領は最近、「計画中だ。実現するだろう」と述べる一方で、「戦地の兵士訪問激励がそれほど必要だとは思わない」、「今発生している様々な事象に対応するのに多忙なのだ」と本音をのぞかせ、「予算面でも、政策面でも、どの大統領よりも米軍のために取り組んできた。退役軍人に対してもだ」といつものセリフで主張している
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不自由な前線で活動する兵士にとって、お偉いさんの訪問やご視察は余計な負担で、「戦地の兵士訪問激励がそれほど必要だとは思わない」との発言自体が悪いとは思いません。
しかし、軍事補佐官等からの派遣部隊に関する情勢報告に関心を示さないのは、最高指揮官として困ります。
心から関心が持てなくても、優秀なマティス国防長官がいるのですから、しっかり任せて資源配分をきちんとしてやってもらえば十分なのですが・・・
トランプに困惑の現場
「相手の核を削減させるのが上策」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-16
「トランプが閣議で次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
「サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02