米空軍がFive Eyes Nations枠組みで親密議論

Five Eyes.jpg11月15日付米空軍協会web記事は、米空軍副参謀総長であるSeve Wilson空軍大将が記者団に対し、「Five Eyes Nations」との2回目の会議に14日出席予定で、マルチドメイン指揮統制や超超音速兵器の開発について、情報を共有して各国の取り組みに重複がないように調整すると語ったと報じています
Wilson副参謀総長は具体的に、「多様な方面において、誰がリードして物事を進めるかを話しあう」、「誰がどの分野を得意としているか、米国はどの分野が強いかなどを話し合うが、超超音速兵器開発も関心分野だ」と述べた模様です
ただし「これ以上は話したくない。話し合いで結果を得たい」とも語り、親密な5か国間ならではのかなり突っ込んだ議論が行われているような気配を漂わせています
米空軍副参謀総長の動向についての情報はこれだけですが、これを機会に、1990年代後半に通信傍受網「ECHELON」の存在が表に出て物議をかもし、更に2013年にNSA契約職員だったEdward Snowdenによる情報リークで注目を集めた「Five Eyes Nations」について基礎勉強をいたしましょう
ネット情報によれば「Five Eyes Nations」は
Five Eyes4.jpg●「Five Eyes Nations」は、FVEYとも表記される米英加豪NZの5か国を意味し、WW2後の冷戦期に旧ソ連やその影響下にあった東欧諸国の信号情報(SIGINT:signals intelligence)収集を協力して実施する「UKUSA Agreement」を結んだ国々である
●当該5か国はその目的のため、通信傍受網「ECHELON」を構築したが、現在では世界中の官民両方の通信を傍受モニターしているといわれている
1990年代後半に通信傍受網「ECHELON」の存在が明らかになった際は、反体制的な活動家や影響力の大きい反政府的な発言を行う俳優や歌手にまで対象を広げて活動を行っていることが明らかになり、欧州や米国議会で議論を巻き起こした
911事案以降は、よりインターネット世界の情報流通に活動の焦点が向くようになったといわれている
2013年にNSA契約職員だったEdward Snowdenが行った情報リークでは、5か国の情報収集活動がそれぞれの国の法律を無視した違法レベルに及んでいる事を暴露し、また各国の法律違反にならないよう、他の加盟国に自国の要注意人物を監視させるなどの協力が行われていることも表面化した
Five Eyes3.jpg●このような活動に批判も起きたが、現在もFVEYは最も包括的ないわゆるスパイ同盟として存在して活動を継続しており、その活動は信号情報だけでなく、人的情報(HUMINT)や地理情報(GEOINT)などにも拡大している模様である
●かつて、フランスやドイツをメンバーに加えようとの動きもあったが、そのたびに反対勢力が優ってFVEYは維持されている
●これまでの様々な情報リークにより、著名人でFVEYに監視されていた人物として、俳優のチャップリン(共産主義的な思想)、ジェーンフォンダ(反政府的な活動)、ジョンレノン(反戦活動)、ネルソンマンデラ、メルケル独首相等々も監視対象であったことが暴露されている
「Five Eyes Nations」を中心に協力枠組み拡大も
Five Eyes2.jpgイスラエルとシンガポールは、FVEYのオブザーバーやパートナーと言われている
●5か国に、デンマーク、フランス、オランダ、ノルウェーを加えて「Nine Eyes Nations」との枠組みもある模様
●上記9か国に5か国(ベルギー、独、伊、スペイン、スウェーデン)を加え、「14Eyes Nations」との枠組みも
日本の名前が出てくるのは、コンピュータネットワーク監視の枠組みとして41か国に拡大される段階と言われている
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人種というものの壁を感じざるを得ませんが、秘密保護に関する体制が日本国内で不十分なことや、島国であるために情報管理やスパイ活動に「疎い」国民性も、海外からの信頼を得られない原因かもしれません
戦国時代や明治維新のころは、日本の人たちも情報感覚では世界一流だったと思うのですが・・・
少しは関係のある過去記事
「究極のインテリジェンス教科書」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-22
「司馬遼太郎で学ぶ日本軍事の弱点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-01
「失敗の本質」から今こそ学べ!→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31
「イスラエル起業大国の秘密」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20

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