27日付Defense-Newsが、2019年に米空軍が答えを用意しなければならない課題を4つ取り上げ、米空軍を取り巻く情勢を紹介しています
4つの問いとは、「F-15Xを購入するのか?」、「軽攻撃機の選定と調達規模は?」、「宇宙軍はどうなる、米空軍はどうする?」、「米空軍司令部は大きな組織改編をするのか?」の4つです
その前提には、米国防省の予算がどうなるのか? つまり、750か、733か、700 billionなのか?・・・との大きな問いもありますが、今回は米空軍内の諸課題を覗き見て、2019年を見る視点を養いたいと思います
問1 F-15Xを購入するのか?
●12月21日付のブルームバーグが、2020年度予算案に12機のF-15X購入予算約1400億円が計上されていると報道したが、真偽のほどは明らかではない
●F-15Xは、米空軍保有のF-15C/Dを改良し、電子戦能力、新レーダー、新コックピット、AAM増量などを企図したもので、国防省首脳が老朽化が進む州軍所属F-15C/Dの後継として購入を判断したとも噂されている
●一方で米空軍正規軍は強く第4世代機の追加購入に反対しており、9月にF-15Xについて問われたWilson空軍長官が、「現在、米空軍の4世代機と5世代機比率は8:2だが、これを5:5に早くって行きたい。5世代機は4世代機に違いをもたらす能力を持っている」と語り、F-35など5世代機購入を優先したい意向をしめしている
●このF-15X購入をどのように扱っていくのか、空軍参謀総長はどう扱っていくのかも含めて注目される
問2 軽攻撃機の選定と規模
●これまでのデモ飛行試験等を経て、データリンク等を備えた軽攻撃機候補として、AT-6(Textron)とA-29 Super Tucano(Embraer and Sierra Nevada Corp)が最終候補になっているが、米空軍は最終の提案要求書受付を2019年まで延期した
●全体の予算枠や軽攻撃機の優先度を巡る議論が煮詰まっていないためだとも言われているが、関連軍需企業からは、本当に米空軍は軽攻撃機を導入する気があるのか疑問視する声もある
●もう一つの問いは、購入するとしたらどの規模で調達するのかである。当初は数百機単位との話もあったが、最近では特殊作戦コマンドで対テロ作戦のみに使用する機数として100機を切る程度との購入も漏れ聞こえてきている
●仮に数百機単位であれば、中東だけでなく、欧州や米本土、更にアジアを含めた世界各所に配備される可能性もある
問3 宇宙軍創設に向け空軍宇宙活動がどう変化?
●先日、国防省としての宇宙軍原案がまとまり、空軍長官の下に米空軍と横並びで宇宙軍を創設する案が提示された。これは海軍長官の下に海軍と海兵隊が並列で置かれるのと同じで、宇宙軍が宇宙軍参謀総長と宇宙軍担当空軍次官によって導かれる案となっている
●しかし、現在米空軍隷下にある宇宙コマンドや宇宙ミサイルシステムセンター、また陸海軍の下にある宇宙作戦関連部門が、宇宙軍創設でどうなるのかは明らかでない
●政治の世界では、来年ねじれ状態になる議会の対応が注目される。そもそも宇宙軍創設は昨年上院で否決されており、来年は下院で民主党が多数を占める事でも予断を許さない状況になる。
問4 米空軍司令部の組織再編はどの規模か
●12月初めに、10年以上空軍省の国際関係担当次官を務めてきたHeidi Grant女史が、自身所属組織の役割が空軍司令部のA-5に移管されると語り、併せて空軍省と空軍司令部の組織再編があるとの発言をしている
●この組織再編については他の高官や関係者からの情報がほとんどなく、Grant女史も2019年1月に組織改編に関する意思決定があると述べるにとどまり、その程度が注目されている
/////////////////////////////////////////////////////
他にも、誰が宇宙軍を担当する空軍次官(undersecretary of the Air Force for the Space Force)に就くのか・・・も重要な話です。
それ以前にも米空軍には、F-35の維持整備費削減に目途は立つのか、KC-46A空中給油機の重大不具合はいつ解決されるのか(初号機納入はいつか)、操縦者流出を止められるか等々、山ほど課題がありますので、トランプ政権下でどうするか??? 大変です
米空軍カテゴリー記事580本
→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300801463-1