昨年海兵隊のF-35Bが強襲揚陸艦で展開に続く
F-22が展開していた同じUAEの基地に
15日、米中央軍が中東UAEのAl Dhafra空軍基地(アブダビの南約30㎞)に初めて米空軍のF-35が展開したと発表し、同地域に展開する多国籍部隊の能力を大きく強化すると表現しました
展開した機数は公開されていませんが、米本土ユタ州のHill空軍基地の第388戦闘航空団と第419戦闘航空団(予備役)から機体が派遣されたと明らかにしています
中東へのF-35派遣は、海兵隊のF-35Bが強襲揚陸艦Essexに艦載されて昨年初めて行い、昨年9月にはアフガニスタン内の目標に対する攻撃任務で初実戦投入されたところです
中東への航空戦力派遣については、米空軍が約18年継続してきた大型爆撃機派遣が今年3月中旬にB-1が帰国して途絶え、同じAl Dhafra空軍基地に展開していたF-22も2月末には帰国して「引き潮」傾向が指摘されていたところでした
米中央軍のスタンスはあくまで、「必要な時に必要な戦力を投入する」であり、B-1やF-22の帰国、また今回のF-35Aの展開についても「ルーティーン」なものだと淡々としていますが、2016年8月にIOC宣言をした米空軍F-35にとっては、実質的な初実戦であり、大きな決断でありましょう
15日付Military.com記事によれば
●中央軍空軍司令官のJoseph T. Guastella中将は声明で、「我々の最先端兵器を手にすることで、多国籍部隊の能力は著しく強化される」、「F-35が持つセンサー融合や残存性能力は、地域の安定と侵略勢力の抑止力を大いに強化する」と述べている
●またGoldfein空軍参謀総長は、「F-35Aは、如何なる相手と対峙しようとも、我が国に制空を提供してくれる」、「多国籍統合部隊のクォーターバックを考える時、相互運用性があるF-35Aこそが、明らかにそのリーダーの役割にふさわしい」と声明の中で表現した
●F-35Aが担うであろうと推測される任務は、これまで同基地に展開していたF-22が行ってきた、地上部隊へのエアカバーのほか、極めて重要な係争中の情報収集が想定される
●また、F-22はステルス性と強力なセンサー能力で、大きな衝突事案があった後、最初に当該地域に投入されるアセットであった。例えば、2017年の米軍機によるシリア軍機撃墜後や、米海軍トマホークによるシリア空軍基地攻撃後、最初に投入されたのがF-22だった
●米軍の声明はF-22が中東に戻ってくるかについて触れていないが、F-35は似た能力を提供可能であり、「F-35Aは全ての戦闘エリアを念頭に設計され、最も強力で包括的なセンサー融合パッケージを搭載している。その能力は新たな敵に対して航空優勢を維持するための致死性、残存性、適応性を改善してくれる」と述べている
●また中央軍空軍は、今回のF-35Aの展開が特定の事象や作戦と関連するものではなく、以前から計画されていた「ルーティーン」なものであることを強調した
●一方で、イラン勢力がシリア国内に展開中の米軍部隊近傍で活動しているとの状況下、トランプ政権がイランへの圧力を強めている中でF-35A展開のニュースが飛び込んできた
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イランとの関連は少し深読みしすぎのような気がしますが、2016年8月のIOCから3年近く経過し、満を持しての実戦投入ですから、徐々に明らかになるであろう展開規模や期間に注目いたしましょう
F-22は、マティス前国防長官の指示で9月末までに稼働率8割を目指していましたが、ステルス機体の維持工数等から早くも「白旗」が上がっている機体で、「クウォーターバック」の役割がF-35に回ってくる機会も徐々に増えるでしょう
三沢沖でのF-35A墜落の原因が気になるところではありますが・・・
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「大型爆撃機の中東展開終了?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-30-1
「海兵隊F-35が初実戦投入」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-28-1
「イスラエルが世界初実戦投入」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26
「米空軍F-35部隊がIOC宣言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-28