米海軍軍人トップ候補に初のP-3パイロット

海軍人トップの海軍作戦部長CNOの候補
過去31名のCNOに9名操縦者も、P-3操縦者はなし
現在の副作戦部長だそうです
Bill Moran.jpg10日付Navytimes.comが、米海軍人最上位ポスト(もちろん統合参謀本部議長は除く)である現在のJohn Richardson米海軍作戦部長の後任として、現在副作戦部長であるBill Moran海軍大将をトランプ大統領が議会に推挙したと報じています
そして同記事は、過去31名の海軍作戦部長の中にパイロットは9名おり、いずれも空母艦載機のパイロットであったが、Moran海軍大将が議会に承認されれば、初めての対潜哨戒機パイロット出身CNOが誕生すると紹介しています
更に同記事は、Moran大将が米海軍内ではマイナーな職域の出身であることからか(邪推です)、これまでの業績や人柄が素晴らしいとOBから下士官までの言葉も紹介しる異例の長文記事となっており、Defense-Newsも全文を引用しています
過去に取り上げたことのない人物ですので、高い評価の一端とご経歴を簡単に紹介させていただきます。ちなみに現在の Richardson作戦部長がノミネートされた際は、原子力分野の技術者から初めてで、少し変わり者・・・との記事が海軍関係機関から出ていました
10日付Navytimes.com等によれば
Bill Moran2.jpgニューヨーク出身のMoran大将は、近くの陸軍士官学校には進まず、1981年に海軍士官学校を卒業した。卒業後はP-3操縦者の道を進み、冷戦期のソ連潜水艦追跡に従事した
●米海軍のP-3部隊の各種勤務のほか、空母戦闘群の作戦幕僚を経験し、将軍になって以降は、偵察任務機を束ねる部隊長や、米海軍司令部の航空作戦部長や人事部長を務め、2016年5月から副作戦部長を務めている、
特に米海軍内で記憶に新しいのは、米海軍司令部の人事管理部長を2013-16年に努めた際、長年問題を指摘されながら改革に着手できていなかった米海軍の旧態依然とした人事制度を刷新し、21世紀型に作り上げた点である
●「Sailor 2025」計画としてまとめられた人事制度改革は、人事管理だけでなく訓練体系や体制、報酬体系や昇任審査制度まで広範にわたるもので、更に家族のための基地内施設の充実やオープン時間の延長など福利厚生面、出産育児休暇制度などなどにも及んだ、
マイナーな職域でこのような活躍の場を与えられた背景には、同大将が「executive assistant」として仕えた海軍作戦部長や太平洋軍司令官からの極めて高い評価がある
●同大将を上級補佐官として使った元太平洋軍司令官は、通常は将軍になる直前のベテラン大佐を上級補佐官につけるが、彼の当時の司令部内での働きが目覚ましく、問題ないとして経歴管理上は異例だったが「executive assistant」にしたと証言している
P-3C Navy3.jpg●このような幕僚としての働きは、与えられた任務遂行のため関係部署との調整能力や企画能力の高さによるが、その力は海軍司令部の部長として、予算獲得のために奔走した議会調整でも発揮され、時に議会に厳しい警告を発する等の動きも出来る硬軟両方に秀でた人物との評価である
Moran将軍がかつて指揮官を務めた部隊の上級先任軍曹は、同大将が謙虚に下士官の言葉に耳を傾け、上級下士官食堂に度々足を運んで意見交換したこと、即答できない問題にも後日必ず返答があったことなど、下士官からの人望が厚い士官や指揮官であったと語っている
取材した中で全ての退役将軍や下士官が、Moran大将が素晴らしい作戦部長になるだろうと話してくれた。
●中には、米海軍が直面する厳しい情勢や予算環境から、またトランプ大統領と米軍の考え方が必ずしも一致していないことから、作戦部長として成果を上げることが容易ではないと指摘する人物もいたが、Moran大将の優れた資質に疑問を挟む人間は誰もいなかった
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P-3C Navy2.jpgこの厳しい予算状況と、トランプ大統領を最高指揮官に頂く中で、米海軍艦艇の355隻体制を追求することを求められるのが次期海軍作戦部長です。
米空母トルーマンを25年も早期退役させる案や、従来機種の倍の価格のフォード級空母やSSBNを調達する計画、F-35C調達圧力が国防省内からも高まる中、FA-18を追加で110機調達に突き進む米海軍トップです
米海軍で主流の艦艇族、癖の強そうな艦載機族や潜水艦族など、これらを束ねるのは至難の業でしょうが、P-3には親しみのある日本ですので、頑張っていただきましょう
Bill Moran大将のご経歴(超手短です)
→https://www.navy.mil/navydata/bios/navybio.asp?bioID=483
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