KC-46の海外売込みに必死なボーイング社

旅費を負担して記者をパリ航空ショーへ
ライバルA330タンカーとの差は生産数規模だと強調
明らかに出遅れていますが・・
KC-46-2.jpg21日付米空軍協会web記事は、ボーイング社がパリエアショーで行ったKC-46の海外売込みの様子から、そのアピールポイントを紹介しています。
ボーイング社のKC-45A空中給油機は、現在米空軍以外では航空自衛隊が数機購入を予定しているだけですが、約180機の納入が確定していることを強みとし、ライバルであるエアバス社のA330空中給油機(既に7か国に30機以上を納入済で、計60機の製造は確保。追加で別の5か国とも商談中で脈あり)と張り合っています
しかしボーイングの台所事業は恐らく「火の車」で、KC-46開発段階での様々なトラブル対処で、既に固定価格契約額を約4000億円上回る額を自己負担しており、少しでも海外売込み機数を増やして「持ち出し分」を取り返そうと必死です
それでなくても、B-737maxの連続墜落事故で企業評価がガタ落ちし、このKC-46でも機内に工具の置忘れ等が複数確認され、米空軍が2度に渡り機体受け入れを拒否してボーイングに改善を求めるなど、良いニュースは全くない状態です
今回の記者団お抱えのパリ旅行でも、「工具置忘れ」事案には言及を拒むなど、記者団の印象は良くないようですが、KC-46を見本も購入する以上、付き合わなければならない相手ですので、その姿勢をメモしておきましょう
21日付米空軍協会web記事によれば
KC-46-AV-8B.jpgボーイング社はパリ航空ショーで、諸外国へのKC-46A空中給油機売り込みに力を入れており、米空軍が多様な機種への空中給油認証費用を負担することや、多くの機数を生産することで能力向上や機体の維持整備面でも長期にわたりリーズナブルに支援可能な点をアピールしている
15日にパリで記者団に対し、同社の担当販売部長である Matt Carreon氏は、KC-46Aを最低でも179機製造し、今後30年間は能力向上にもコミットしていくとアピールし、製造機数が少ない他のライバル機体を選んだ場合は能力向上等の経費が全て購入国負担になると違いを訴えた
同担当部長は、170機以上を購入する米空軍が機体の能力向上等を予算で行い、他の購入国はこの結果の恩恵を受けることが出来ると説明した
●同部長はまた、「市場にある他の給油機を購入すれば、給油を受ける機体の適合性承認費を購入国が負担する必要があるが、KC-46Aに関しては米空軍が2022年までに64機種の承認を空軍予算で取得する計画である」、
●「この際に米空軍は他国との相互運用性の観点から、米空軍が使用していないタイフーンやラファール等の航空機に対しても給油対象機としての承認を得る計画である。これによりKC-46購入国は承認費用を節約できる」、「多数機を製造するので、将来の維持整備面での支援についても心配の必要がない」ともアピールした
●また同部長は、KC-46がF-35に対する給油承認を、5か月間に約300回給油試験を行って問題なく最近取得したことを強調し、F-35購入国への強力な売り込み材料とする思いを伺わせた
KC-46-3.jpg日本以外への売り込み交渉について同担当部長は、イスラエルが関心を示していると噂されているが、複数の国と交渉中と答えたのみで、国名への言及は避けた。また複数の国による共同運航やリースについても対応を考えていると説明した
●記者団から、本来は今年36機製造する予定だったものが、現状では18機となっている点へのコメントを求められたが、これについても具体的な回答を同部長は避け、現時点で52機が納入済みで、50機が製造ライン上にあるとのみ説明した
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ライバルのエアバスA330給油機は、今年1月の時点で、豪州6、英国14、UAE3、サウジ6、シンガポール1、韓国2、フランス1機既に納入済みで、更なる注文に対応中で、他に興味を示している国には、チェコ、インドネシア、インド、カタール、スペイン、スウェーデン等があるようです
なんとなく勝敗は決してるようにも思いますが、日本に負担をかけないようにKC-46の能力向上等に取り組んでほしいと思います
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