トランプ大統領が自身の予算案を修正とツイート
米海軍幹部が早期退役案を擁護している中で
「はしごを外された」とはまさにこのこと
1日、トランプ大統領がいつものツイッターで、「空母トルーマンの早期退役案」を修正する(I am overriding)とつぶやき、3月に自らが政府案として提出した2020年度予算案に含まれる、空母トルーマンを寿命半ばにして退役させる案を修正する方向を示しました
この修正については、前日の4月30日に同空母を訪問したペンス副大統領が同空母勤務員を前に示唆していたところですが、比較的新しい1998年に就航した同空母の燃料交換大修理を行わず、寿命を25年も残して早期退役させ、修理費や維持費分を新型空母建造に活用しようとの案の方向転換です
トルーマン早期退役案については、5月中旬に国防省を去る試験評価局長の強引にまとめた施策だとか、米海軍全体の必要戦力量分析が実施中なのになぜ可能と言えるのかとか、様々にその背景や考え方に疑問を投げかける議論が巻き起こっており、特に米議会では主要議員がこぞって反対姿勢を示していました
それでも・・・・、海軍長官や米海軍首脳は、次の海軍作戦部長候補も含め、将来に向けての投資確保を理由に、懸命に説明を試みていたのですが・・・
1日付Defense-News記事によれば
●1日、トランプ大統領はツイッターで、「私は、1998年に就航したばかりの偉大な空母トルーマンを退役させるとの予算命令を修正する(I am overriding)。建造中の新しい空母価格の一部を修正する」と発信した
●上院軍事委員会のJim Inhofe委員長は前日のペンス副大統領の見直し発言を受け、「彼らは関係者の早期退役案への反応を観察し、如何にばかげた案であるかを知ったのだ。過ちをただすという、なすべきことをしたということだ」と述べている
●同委員長は早期退役案が提出された3月から、トランプ大統領とボルトン大統領補佐官を厳しく批判し、少なくとも10隻の空母が必要なことを強調していた
●下院軍事委員会の海洋パワー小委員会委員長であるJoe Courtney議員も、「トランプ政権が超党派の反対意見に耳を傾け、寿命が半分残っている空母を破棄する誤った考えを改めてくれたことをうれしく思う」と述べた
●ただ同小委員長は、1日の時点では正式に2020年度予算案を修正して同空母早期退役案を取り消すとの修正案を受け取っていないし、米海軍の長期艦艇計画の修正も入手していないと述べた
●上院予算委員会のRichard Shelby委員長は、「どのような経緯で早期退役案を修正する判断に至ったのか、我々は聞いていない」と疑問を呈したが、「我々超党派の議員は早期退役を望んでいないし、まだ新しい空母を生かすべきだ」と述べている
●議員の間には、空母早期退役案を打ち出すことにより、予算追加配分を米海軍が狙っているのではないかとの憶測も流れ、卑怯なやり方だと非難の声も上がっていた
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まんぐーすには案の是非を議論できるだけの知識がないのですが、かわいそうなのは米海軍幹部です。
ペンス大統領が案修正を示唆した午後には、次期米海軍軍人トップ候補が議会で必死に早期退役案を説明しており、正式決定までは「はしごを外された」と分かっていても、愚直に務めを果たす姿がそこにありました。痛々しいです・・・
早期退役案を巡る「裏話」は今後徐々に表に出るでしょうが、予算案はあくまでも大統領が提出するものであり、その大統領から裏切られてはたまりません・・・
「空母トルーマン早期退役案で大紛糾」
→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-29