米空軍F-35の維持費削減は極めて困難

現在時間当たり44000を36000にの見通しも
しかし目標の25000には程遠く、以後増加予想も
F-35 luke AFB2.jpg2日、下院軍事委員会の航空地上部隊小委員会に出席した国防省F-35計画室長と国防省コスト評価局長はF-35導入上の大きな問題となっている維持整備費(F-16の3倍に近い)の削減見込みについて証言し、目標となっている2025年に飛行1時間当たり維持整備費を$25000にまで削減するのは極めて難しいと述べました
米空軍が導入しているF-35Aの機体価格は徐々に低下していますが、F-16戦闘機では$15-16000と言われている時間当たりの維持整備費が現時点で$44000と3倍近い額となっており、計画している年間調達機数に踏み込めない大きな障害となっており、一方で第4世代機F-15改良型を再び調達する決定を後押しした背景となっています
証言した両者の将来見積もり数値は微妙に異なっていますが、目標設定前年の2024年時点で$34-36000で、目標の$25000とは大きな開きがあり、更にその後は初期導入機体の補給処整備が始まるため、横ばいか増加傾向になるとの見通しで、全く光明が見えない状況にある模様です
念のためこれは最も最適な環境にある米空軍F-35Aの話であって、FMSで日本が購入するF-35Aの維持整備費がどれだけ膨らむかは、恐ろしくて考えたくもない話です。ましてや、ライセンス国産しているF-15Jとの比較など・・・
2日付米空軍協会web記事によれば
Winter2.jpg国防省F-35計画室のMat Winter中将は、現状で$44000の時間当たり維持整備経費が2024年時点で$34000にまで低下すると証言し、国防省Robert Daigleコスト分析評価局長は$36000だとの見積もりを示した
●両者とも今後細かなデータ収集と分析を行う事でこの数値は変化すると説明したが、いずれにしては2025年の目標である$25000まで維持整備費を抑えることは極めて難しいと証言した
F-35計画室長は、今後5年間で44000から34000に23%削減する見積もりであるが、その後の1年間で34000から25000に削減することに今後も取り組んでいくと苦しい説明を行った
●一方でDaigleコスト分析評価局長は淡々と、「2025年に$25000に到達する見込みはない」と述べ、 更に2025年以降は機体の整備所要と補給処整備が増加し、飛行時間当たりの維持整備費は良くて横ばい・普通なら増加すると証言した
F-35 luke AFB.jpg国防省自身は、その維持整備費削減に必要なことを把握している。機体維持に必要な部品を迅速に調達すること、補給処レベルの部品修理を迅速にすること、前線部隊での整備時間を削減して実動時間を確保すること等である
F-35計画室長は「この機体は2077年まで運用する見込みだが、長期的視点でaffordableにすることに焦点を当てている。今後20204年までに、どれだけ維持整備費を削減できるかをその時まで明らかにすることは出来ない」と微妙な表現で語った
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頑張ったとしても、第4世代機の2倍の維持整備費を覚悟する必要があるのでしょう時間当たり$30000前後になるのでしょうか・・・
今年2月28日、米空軍参謀総長はF-35維持費が第4世代機並みに低下すると想定するのは非現実的だ」と述べ、F-15EX購入に踏み出すことへの説明をしています
F-35 3-type.jpgステルス性を持つ機体に、高度で複雑なセンサーを搭載し、かつ外部の情報融合能力を持つ高度な機体F-35を、第4世代機と同レベルの維持整備費で保有するのは非現実的だとの本音ですが、2018年4月には「F-35の維持費をF-16並みにしたい。そうしなければ米軍だけでなく世界の空軍が困難に直面する」と言っておきながら・・・・です
組織の人とは言え、様々なしがらみがあるとはいえ、将来の歴史家はF-35計画を推進した人達を厳しく評価せざるを得ないでしょう・・・
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