表題の米空軍方針に反対する議会の動き
24日付米空軍協会web記事は、米空軍Offutt空軍基地に所属するC-135を改良した大ベテランの各種ISR機(RC,WC,OC,NC-135)の維持整備に最新の効率的整備要領を適用すると紹介しつつ、これらISR機の後継機は考えず、JSTARSのように多様なシステム全体で任務を引き継ぐとの空軍の考え方を対比しています。
そして議会がこの空軍の考え方に反対し、米空軍にこれら機体とその任務の将来構想を要求していると紹介しています。
これらISR機は、いずれも1960年代や70年代にC-135又はKC-135を改修してISR機として活用されてるもので、使用開始から50年ほど経過したものが増えており、その稼働率低下が問題となっています
例えば、ロシアとのオープンスカイ条約を基にロシア上空を飛行して偵察するためのOC-135が、トラブルで肝心のロシア偵察飛行を十分できない稼働率にある実態が報道されたりしていたところです
24日付米空軍協会web記事によれば
●同基地所属のISR機は、中東、北朝鮮、中国やロシア周辺での情報収集飛行に多忙な日々を送っているが、最近は油圧系統のトラブルや火災発生まで、様残なトラブルに見舞われている
●地元ネブラスカ州選出の共和党議員Deb Fischer女史は、米空軍の緊急維持対策室(Rapid Sustainment Office)等が取り組んでいる最新の維持施策の老朽ISR機への適用を空軍に求めている。例えば、3Dプリンターによる部品確保、部品故障を事前予測するアルゴリズム分析などの取り組みである
●同議員スタッフも「航空機が古いからと言って、最新の手法を適用できないわけではなく、新たな手法で日稼働時間の短縮に努めるべきだ」と語っている
●C-135は米空軍の「Condition-Based Maintenance Plus」との先行的整備手法の対象になる予定で、複数の派生形がある同機を個別に管理するよりも、全体として先行的整備の管理対象にすることが理想的と考えられている
●上院軍事委員会は2020年度予算に関し、同議員が提案の同ISR機部隊部隊強化に関する2つの修正を行い、またRC-135電波収集機の近代化、核実験を大気分析から監視するWC-135の追加、OC-135の更新にも予算措置を追加した
●更に議会としてこれら老朽ISE機の今後の在り方について検討して報告するよう求めている。同時に議会は米空軍に、有人機と無人機のISR任務での協働要領や、ISR機情報の共有プロセス見直しを指示している
●これら議会の動きに対し上院の関連スタッフは、同基地のISR機が補油するセンサーや役割は現在他の手段で代替できないのだから、米空軍はISRの将来体制でもこれら機体を含めるべきだと語っている
●「少なくとも2050年代までは、これらISR機が重要な役割を果たす事になるのだから、これらISRアセットを含めた明確な将来戦闘空間用のプランを持っておく必要がある。今後想定される本格紛争における考える必要がある今のタイミングでは特に重要だ」と同スタッフは訴えている
●これら上院の動きの背景には、4月に下院でDavid Goldfein空軍参謀総長が、C-135系列のISR機は、特定の後継機を導入せずに他のシステム全体で任務を引き継ぐ方針を決定したJSTARSと同様に、センサーネットワーク、衛星、地上サイトなど全体で引き受けるとの方針を示したからである
●2020年時点で米空軍は、22機のRC-135、2機のWC-135、2機のOC-135、1機のNC-135、2機の訓練用RC-135を保有している予定である
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米空軍は、F-35やB-21次期爆撃機やKC-46空中給油機を最優先し、結果として、脅威下で残存できないとの理由でJSTARSや大型有人ISR機の後継を考えない方針を選択したのでしょうが、本当にそれでいいのか・・・との議論は当然出てきます
いつまで米空軍は、F-35命で調達予定機数1730機余りを維持できるのでしょうか・・・・時間の問題でしょうねぇ・・・
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