中国軍の本格海外進出は2030年以降か

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Jane’s社が米国の委託でレポートを
経済成長鈍化が障害と分析

Jane China.jpg4月15日、米国政府が設置している米中経済安保評議会の委託を受けた「Jane’s社」が、中国軍の海外作戦能力を「兵站:Logistics」の視点から分析した「China’s Logistics Capabilities for Expeditionary Operations」との約115ページのレポートを発表し、現時点では限定的な能力だが、財政的な制約を克服し、海外の拠点整備や空母能力の向上を計れば、2030年代には相当な能力を持つ可能性があると分析しています

このような分析を受け、「Jane’s社」は米国政府や議会に対し、中国による海外拠点への投資や軍事物資の事前集積の状況をよく監視し、更に中国が「一帯一路」構想と称して諸外国に資金を投入し、懐柔を図ることを防止するため、米国も資金投入や外交空白を無くす関与が必要だと提言しています

中国が第2列島線までの範囲で軍事的に相当な位置を確保した実態を受け、米国が中国の海外進出状況に危機感を覚えて委託した研究の様ですが、レポート細部を見ていませんが、中国にとっても海外での作戦能力獲得は容易ではないとの分析のようです。「経済的な逆風」を相当程度織り込んでいるようです

15日付Defense-News記事によれば
Jane China2.jpg米中経済安保評議会(U.S.-China Economic and Security Review Commission)がJane’s社に委託したレポートは、中国が膨大な軍事的投資を既に行い、第1及び第2列島線内において、潜在的な敵対国に「受け入れがたい」レベルのコストを強要する能力を獲得した、と分析している
●また同レポートは、これら軍事作戦能力を活用して、災害対処や中東における海賊対処などの国際的な取り組みに参画するレベルにステップアップしているとも評価している

一方で大規模な海外での作戦遂行(large-scale expeditionary operations)能力については、中国はまだまだ十分ではない(is still a way off)と評価している
また、中国軍はアフリカ東海岸のジブチに兵站支援拠点基地を設置し、米国の中東アフリカ作戦をモニターしたり、潜在的には米国の活動を妨害する拠点としているが、2020年代にこれら海外拠点を引き続き拡大するとは考えにくい、とも分析している

ただし、2030年以降になれば、中国軍がジブチの補給基地を越える軍事拠点整備に向かう可能性が高い、との見方を示している
●また、現計画から理論的に類推すると、2035年頃には中国海軍や空軍が相当ハイレベルな戦闘行動が海外で可能になっているはずだが、強固に防御された近代的戦域で作戦するためには、海外の軍事拠点や、少なくとも友好国の港湾や飛行場を利用可能にする必要がある、と分析している

Jane China5.jpgまた、中国は空母の能力を向上させないと、世界にエアパワーを展開する能力が限られており、経済的な逆風がその遂行の前に立ちはだかっているともレポートし、「中国空母からの支援が無く不十分な状況では、統合防空システムを保有する国や領域で、中国が作戦を遂行能力は依然として限定的である」と結論付けている
これらの分析を踏まえ、レポートは米国に対し、中国による海外作戦用装備品への投資やジブチ等への作戦資材・兵器の事前集積をモニターすることや、対潜水艦作戦のための補給艦やヘリへの投資を監視する必要があると提言している

また米議会に対しては、中国が「一帯一路」構想の下に投資している相手国に対し、米国としての影響力を確保するための資金投入方法を考えるべきと提言し、「米国からの関与が途切れた空白地帯の国に、中国が軍事活動支援基盤を求めている現実に目を向けるべき。2国間でも多国間でも良いので、中国の野望を阻止するため、関係が疎遠になっている国に関与すべきである」と警告している
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レポート現物
「China’s Logistics Capabilities for Expeditionary Operations」
https://www.uscc.gov/sites/default/files/2020-04/China%20Expeditionary%20Logistics%20Capabilities%20Report.pdf

コロナの影響が中国経済にどの程度の影響を与えるかは不明ですが、欧州や西側諸国のように、国民に多額の「補償」を考える必要のない国が有利になるのでしょうか・・・

中国とすれば、経済成長著しいアジアでの覇権を確立することが第一で、アジアでの収入源を抑えた後に、2030年代からアフリカなどにより強く進出していくのかもしれません。人の駒は豊富ですから・

ご参考の記事
「海兵隊が対中国に改革構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「混乱に乗じた中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26
「不気味:中国人留学生が米軍基地撮影で続々逮捕」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-25
「巨大ミサイル巡洋艦1番艦「南昌」が就航」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-15-1
「中国建国70周年軍事パレード」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-02

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