FA-18とタイフーンが戦う中で
米国がタイフーンの核任務承認に時間必要と
NATO規定の核兵器運搬任務を担う必要性に縛られ
あくまでもドイツ紙「Süddeutsche Zeitung」の報道ですが、約80機のドイツ空軍トーネード戦闘機の後継争いで、競い合うユーロファイターとFA-18に関し、米国から核爆弾搭載能力承認に必要な時間について、ユーロファイターにはFA-18よりはるかに長い3-5年が必要との回答があり、FA-18が後継選定レースで優位になったようです
ドイツのトーネードが担っている米国戦術核兵器の搭載任務は、NATO作戦における象徴的な任務分担ですが、核戦争に巻き込まれる等の懸念からドイツの前政権は極力触れないよう画策し、トーネードの延命とFA-18又はユーロファイターとの共存を検討してきたようですが、老朽化が進み部品確保が困難なトーネード維持は現場に大きな負担となることから難しい選択の様です
今年年初までは、F-35も後継候補に含まれていたようですが、仏独宇スペインで2040年を目指し第6世代機開発( Future Combat Air Systems)を開始したこともあり、それへの影響を避けるため、「つなぎ機種」として第4世代機に後継対象を絞ったと言われています
4日付Defense-News記事によれば
●FA-18とタイフーンに絞られた機種選定の結果は2020年初めに出ると予期されているが、ドイツ紙はドイツ国防省が米国防省から、タイフーン戦闘機が核兵器搭載承認を受けるのに必要な期間が3-5年で、米軍内では既に核兵器搭載承認を得ているFA-18よりはるかに長いとの情報を得たと報じた
●この報道に対し、独国防省報道官は直接のコメントを避け、米国とドイツ国防省関係者間で継続して本件を協議していると述べるに留まった
●ドイツ国防相Annegret Kramp-Karrenbauer女史は9月に米国を訪問し、「我々は本件の扱いについて、協力して取り組む」と述べ、トーネードの担ってきた役割の中断が最小限になるように望むとも表現しつつ、トーネード後継スケジュールには時間的余裕が無いとも語った
●タイフーン側関係者は、仏独スペイン共同開発の第6世代機(Future Combat Air Systems)に円滑に移行するには、ドイツはユーロファイターを選択すべきだし、欧州全体の経済にも大きく貢献できると述べた
●また「後継選定に時間的余裕が無い」と発言したドイツ国防相に対し、トーネードの退役には10年程度の時間がまだあり、機種選定を急ぐ必要性はどこにもないと述べ、ドイツ紙報道の核兵器任務に必要な認証手続きの時間は十分にあると主張している
●タイフーン製造のエアバス社報道官はDefense-Newsに対し、トランプ政権が「米国ファースト」の強硬な姿勢で米国製を売り込んでくることは予期しているが、「我々にとっては、状況に変化はない」と述べた
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新しく就任したばかりのドイツ国防相が、なぜ「後継選定はtight scheduleだ」と述べたのか不明ですが、米国から急がされているのかもしれません
一方のユーロファイター側は、トランプさえいなくなれば、欧州側のもの・・・と考えているのでしょう・・・
欧州経済も正念場でしょうから、簡単には戦闘機を譲れないのでしょう
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