米比がGSOMIA締結で緊密な情報共有可能に

秘密情報共有センター設置で作戦指揮や計画を円滑に
オースチン氏が長官の比訪問回数記録を更新

11月18日、オースチン米国防長官が任期中最後となる4回目のフィリピン訪問を行い、両国が2年にわたり事前準備や協議を重ねてきたGSOMIA(軍事情報包括保護協定:General Security of Military Information Agreement)への署名をフィリピン国防相と行い、更に機密情報の共有を円滑に実施可能で、作戦指揮所にもなる統合調整センター(Combined Coordination Center)建設の「鍬入れ式」もメディアに公開しました

GSOMIA(軍事情報包括保護協定)は、機密情報やデータ共有するための規則、つまり機密情報の取り扱い方、保護方法、違反発生時の報告方法等々を定めており、米国は日本を含む10か国以上の同盟国と同様の協定を結び、情報共有の円滑化や迅速化を推進しています。1951年以来の米比同盟でも情報共有を行ってきていますが、GSOMIA標準を満たすには事前計画、訓練、インフラ改善の必要があったため、締結に2年以上の時間を要した模様です

 

GSOMIAを実務面で体現する作戦指揮所にもなる統合調整センター(Combined Coordination Center)について米国防省幹部は、同センターが2025年夏か秋に開所される予定で、現時点では何名の米軍関係者が常時勤務するかは決まっていないが、本センターがフル稼働可能となれば、常駐の連絡将校を配置することも検討されるだろうと述べており、

更に「機密情報と非機密情報の両方を、適切な情報源から適時入手し、米比関係者が一緒に見て共有できるセンター」で、「Balakatanのような大規模演習計画の大部分は同センターで立案され、演習実施時には作戦指揮所、つまり、南シナ海での海上作戦活動や人道支援活動など、米比共同作戦活動の状況を評価し指揮統制する拠点になる」と役割を語っています

19日には南シナ海最前線のPalawan島で
●オースチン長官はティン比国防相とともにフィリピン最西端に位置し、南シナ海防衛の最前線とも言えるPalawan島の比海軍拠点を訪問し、米国が対外軍事資金援助を通じて提供した無人水上艦艇T-12(unmanned surface vessels)のデモ運用を視察した後、ASEAN拡大国防相会議に出席するためラオスへ向かいました。
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統合調整センターの「鍬入れ式」現場に両国国防相が到着した際には、比陸軍音楽隊がマライア・キャリーの定番クリスマスソング 「All I Want for Christmas Is You」を賑やかに演奏し、参列者が手拍子で歓迎する雰囲気だったようで、中国の様々な「工作」におびえていた数年前とは風向きが大きく変わった印象を内外に与えたようです。

GSOMIA事前協議に多少時間が必要だったとは言え、比軍将軍がその場で語った「このセンターは我々の願望を体現している」との言葉が示すように、対中国最前線のフィリピンがGSOMIAの仲間に加わったことで、ASEAN拡大国防相会議の雰囲気も対中国に一段と傾くものと確信しております

Mariah Carey公式「All I Want for Christmas Is You」


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