燃料を電力に変換するハイブリッド電気システム推進
2011年から極秘開発の「Hybrid Electric Propulsion」計画
重量600㎏以下ながら「即実戦投入」の可能性示唆
6月24日米国防省研究機関DARPAが、2011年頃から極秘開発されてきた「hybrid electric system」との極めて静かな新型推進装置を備えた、開発中の「flying wing」形状の無人偵察機「X-plane」を「XRQ-73」と命名し、今年中に初飛行すると発表し、「すぐに実戦投入可能になる」レベルに成熟した開発案件だとアピールしました
先ず「XRQ-73」は重量1250ポンド(約570㎏)と、例えばMQ-9の2200㎏と比較すると小型無人機で、無人機分類の「グループ3」に属する飛行高度 18,000 フィート以下、飛行速度 100~250 ノットレベルの性能ですが、「(偵察機として)必要なミッションシステムを搭載可能」とDARPAは発表しています
このクラスの無人機は比較的低高度を飛行するため敵に発見されやすくなる「騒音」が問題になるそうですが、「XRQ-73」は、2011年頃から研究開発が始まった「Great Horned Owl:アメリカンミミズク」計画とその実証機「XRQ-72」の成果を踏まえ、4年前から始まった新型推進装置開発プロジェクト「SHEPARD:Series Hybrid Electric Propulsion AiR Demonstration」で成熟した推進装置で、「超静粛推進:extra-quiet propulsion」実現を目指すとのことです
この新型推進装置について6月25日付米空軍協会web記事によれば・・
●燃料を電力に変換(converts fuel to electric power)するハイブリッド電気システムを搭載
●「XRQ-72」当時はガソリンかディーゼルで駆動すると報じられていた
●「hybrid power」使用は、ギアボックスから出る騒音を排除するために選択された
●プロジェクト「SHEPARD」は、NG社の子会社Scaled Composites社を中心に、空軍研究所や海軍開発機関も協力している開発案件
またDARPA発表では
●新技術を取り入れつつ、新技術導入リスクを最小化し、迅速に配備可能な長時間飛行航空機設計を行う
●無人機ウイングマン機CCAとの直接的関係には言及しなかったが、当然国防省内では必要な技術情報共有は行っているとコメントしている
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まんぐーすの基礎知識ではこのくらいしかご説明できませんが、ご興味のある方は、「Hybrid Electric Propulsion」とか、「hybrid electric system」とか、「Great Horned Owl project」とかでググってみてください。
6月25日付米空軍協会web記事にはいくつかイメージ図が掲載されていますが、B-2やB-21爆撃機のような「flying wing」形状の機体のようです。今年も残すところあと半年です。今年実施予定の初飛行の知らせを待つことといたしましょう
BWB機開発関連の記事
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