5月15日に日米がそれぞれ発表も
日本側発表には何故か分担に関する記述なし・・・
2023年8月の日米首脳会談で基本合意された極超音速兵器の迎撃ミサイル開発(厳密には同ミサイルを滑空段階で迎撃するミサイル GPI (Glide Phase Interceptor:滑空段階迎撃用誘導弾))について、昨年から「両国間の作業範囲や意思決定体制などの取決めについて、政府間で調整を行ってきたところ」、5月15日に日本の防衛省と米ミサイル防衛庁MDAが、CPIの日米共同開発に関するプロジェクト取決め(PA:Project Arrangement)に署名し、
「GPIの日米共同開発は2030年代の完了を予定。GPIは統合防空ミサイル防衛能力の向上に資するアセットであり、また、日米同盟の抑止力・対処力向上に寄与する。防衛省と米MDA は成功に向け緊密に連携し、共同開発を通じた同盟の強化に尽力する」との主旨の声明を出しています
以上が15日の防衛省発表内容の実質全てですが、以下では同日付 Defense-New 記事が紹介する米MDA 発表の声明と記事の関連補足説明から、少しだけ詳しくつまみ食い紹介いたします
●米MDA声明は、「合意協定PAは、研究、開発、試験、評価プロジェクトに関する日米二国間覚書に該当する」、「日本は、GPIのロケットモーターと推進部品の開発を主導する:Japan will lead the development of rocket motors and propulsion components of GPI」と述べている
●GPIは、イージスミサイル防衛システムを装備した海軍艦艇に適合するように設計され、垂直発射システム VLSから発射され、極超音速の脅威を探知、追跡、制御し、交戦する改良型ベースライン9イージスシステムと統合される
●GPIの設計は、2022年6月に設計案作成契約を獲得した Raytheon Technologies と Northrop Grumman の2社が競い合っている状況
●米議会はGPIに強い期待を寄せており、昨年2024年度国防授権法の中で、MDA が 2029年末までの初期作戦能力IOCを提供、2032年末までにFull作戦能力の確立、更に2040年までに少なくとも 24個のGPI提供を期待すると記している。
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日本メディアは、17日(金)の木原防衛相の関連内容を含む記者会見を受け、「日本側はミサイルのロケットモーターや、キルビークルと呼ばれる弾頭部分の推進装置を担う」と報じており、米MDA 声明でも関連の記述があるのですから、防衛省発表でも開発分担について少し触れれば良いのにと思います。
巨大な予算が動く共同開発でもあり、何か押し付けられたの??? 何か触れたくない理由があるのか??? 問題があるのかな???と邪推してしまいます
ご興味のある方は、是非以下の17日付 JSF氏による Yahoo 寄稿記事「日米共同開発の極超音速兵器迎撃ミサイル GPI で日本が開発分担範囲は・・・」をお勧めします。めちゃクチャ詳しい情報です・・・
JSF氏による非常詳細な解説
→https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/9e1df2ef6373738ed7b1bf4b89e6641455d86f2a
防衛省のシンプルな発表
→ https://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/2024/0515a_usa-j.html
迎擊兵器 GPI開発関連
「米国は予算削減し日本が負担か」→https://holylandtokyo.com/2024/04/11/5732/
「迎撃兵器を日米共同開発で」→https://holylandtokyo.com/2023/03/22/4438/
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
極超音速兵器はそんなに脅威か?
「突然グアムでARRW講習会」→https://holylandtokyo.com/2024/03/08/5662/
「同兵器を過大評価するな」→https://holylandtokyo.com/2023/12/15/5343/
「ウで次々撃墜:同兵器を過信するな」→https://halylandtokyo.com/2023/06/01/4695/