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子爆弾ではない破片で同様の効果を狙う兵器
JDAMの誘導キットを装着して検証
2日付Military.com記事は、米空軍がクラスター爆弾の代替をめざす子爆弾を使用しない「BLU-136」爆弾の効果を検証する一連の試験をネバダ州で7月に行い、その結果を現在分析中で、クラスター爆弾の代替となるかの判断に提供されると報じています
クラスター爆弾は、親爆弾から多数の子爆弾を放出する爆弾で、子爆弾1個の破壊能力は限定的ですが、上空で親爆弾から子爆弾を放出することで広範囲の地域全体を制圧する事を狙う兵器です
ただ、広範に散布される子爆弾の不発率が高く、20-40%以上とのデータもあり、紛争中は友軍の活動も制約し、紛争終了後にも投下地域の一般市民や子供への被害が大きいことから、ノルウェーの提案で2008年5月に、無力化機能を有する一部の型を除いてクラスター爆弾禁止する「クラスター弾に関する条約」が成立しました
ただし、大部分のクラスター爆弾保有国はこの条約に参加せず、具体的には米、露、中、印、韓、台湾、北朝鮮、ベトナム、タイ、インド、ミャンマー、パキスタン、中東諸国、ロシア正面の東欧諸国や中央アジア諸国等などが加わらない「意味不明な正直者が馬鹿を見る条約」となっています
英国やドイツは、子爆弾の無効化機能を付加した新たなクラスター爆弾を保有する道を選びましたが、お人よしの日本は条約に署名し、代替にならない代替兵器を購入するだけで、2015年には全てのクラスター爆弾の廃棄を完了しています
米国は条約に署名せず、北朝鮮の脅威を理由にクラスター爆弾保有を継続することとし、同時に当時の子ブッシュ大統領が子爆弾の不発率1%以下のクラスター爆弾開発を命じました。ただし、開発は成功しなかったと報道されています。
当時のゲーツ国防長官も、不発率1%以上のクラスター爆弾を米軍は2018年末まで使用しないとの指示を出しましたが、2018年に当時のShanahan国防副長官はゲーツ指示を廃止しています
その理由をShanahan副長官は、代替手段開発に十分尽力したが現時点でなしえず、その開発に時間が必要と予期される中、北朝鮮の脅威を前にしてクラスター爆弾を放棄できないと説明しています
まぁ・・・欧州の平和ボケ国家による「偽善的条約」のような気がしますが、様々な世論がある米国は知恵を絞ってクラスタ爆弾延命を図り、まじめに代替手段の開発に取り組んでいるわけです
2日付Military.com記事は代替兵器の開発について
●米空軍戦闘コマンドは、7月にネバダ州の試験場で、クラスター爆弾の代替候補である「BLU-136 Next Generation Area Attack Weapon」の一連の試験を行った
●担当の中佐は「BLU-136のパフォーマンスを評価するデータ収集のための運用試験を実施し、特に爆発状況や破片飛散状況の確認を重視している」、「収集されたデータは、BLU-136がクラスター爆弾の代替となるかを判断する材料となる」とコメントを出している
●また、2000ポンド爆弾であるBLU-136は、「人員、軽車両、軽易な構築物を対象としており、JDAMの誘導尾部キットを装着したGBU-31v11として使用されることを想定している」と同中佐は説明している
●試験担当の報道官は「試験の結果、着弾目標地点から約65m以上に破片が飛散したことが確認でき、50m以内では大きな被害を及ぼすだろうと推定できる」とする一方で、「破片自体は子爆弾のように爆発するものではなく、不発の問題もないことからクラスター爆弾に比して害は低い」と説明している
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尖閣の不法占拠を企図する大陸国家の上陸部隊に対し使用すれば、効果抜群だったと思うのですが・・・・。
中国はクラスター爆弾製造国で、保有国でもあります。もちろん「クラスター弾に関する条約」には一切関心を示していません・・・
条約でのクラスター弾の定義(第2条)
「それぞれが20キログラムを超えない爆発性子弾を散布または放出するよう設計された通常弾で、それらの爆発性子弾が含まれるもの」
「禁止対象とならないクラスター弾」の要件(第2条2項c)
周囲に対する無差別的な影響ならびに不発弾による危険性を回避するために次の特性を備える弾薬。
1.10個未満の爆発性子弾しか含まない。
2.それぞれの爆発性子弾の重量が4キログラム以上である。
3.単一の目標を察知して攻撃できるよう設計されている。
4.電気式の自己破壊装置を備えている。
5.電気式の自己不活性機能を備えている。
ご参考:条約に参加しなかった主要な国
米国、イスラエル、イラン、サウジアラビア、トルコ、シリア、イラク、ウクライナ、ギリシャ、アラブ首長国連邦、エジプト、ヨルダン、イエメン、グルジア、アゼルバイジャン、コソボ、カザフスタン、ポーランド、ルーマニア、アルメニア、ベラルーシ、ラトビア、ロシア、ブータン、ベトナム、タイ、インド、ミャンマー、パキスタン、中国、北朝鮮、韓国、台湾
クラスター爆弾が登場の記事
「軍事的評価:露空軍のシリア作戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-10-19
「なぜ今?防研が湾岸戦争航空作戦メモ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-08