併せて米陸軍用の追加ミサイルと発射機も契約
2025年末に艦艇側受け入れ改修終了予定
その後に同ミサイルと艦艇の融合試験開始へ
2月17日、米海軍とロッキード社は、米海軍のZumwalt級ステルス駆逐艦に極超音速兵器を搭載する契約を約1600億円で結んだと発表しました。また同時に、基本的に米海軍用と同じミサイルで米陸軍用タイプのミサイルと発射機を追加で、米陸軍に提供する契約も約2900億円で結んだと公表しました
米海軍と陸軍は発射機が異なるものの、同じ基本構造の極超音速兵器をロッキード社と開発し、米海軍はこの極超音速兵器をCPS(Conventional Prompt Strike)と呼び、米陸軍はLRHW(Long Range Hypersonic Weapon)と呼んでいますが、米陸軍は今年あと2回の試験を行った後、今年中にワシントン州の部隊に初度配備する計画になっているところです。
米海軍はCPSをZumwalt級ステルス駆逐艦に搭載すべく、既にIngalls Shipbuilding社と契約し、同駆逐艦の米海軍で一般的なMk 41垂直発射管を大幅改修し、従来ミサイルより大型のCPSを収納できるようロッキード社が開発する発射機を収納する改修作業を計画しており、この発射管改修が終了する2025年末から、ロッキード社開発のCPSやCSP管制装置と艦艇の融合試験を開始する計画を持っているようです
米国防省はこの契約に関し、艦艇への搭載改修設計、システム融合、調達に長時間必要な材料の調達、ミサイル製造に必要な特殊治具や装置の準備も含まれると説明しているようです
ロッキード社は契約発表にあたり、「陸海軍と協力して実施してきたこのミサイル開発を通じ、極超音速攻撃能力の発展に引き続き寄与していく」「既に初期設計作業を開始している」と声明を出しています
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米海軍幹部は2021年時点では、同兵器の米海軍艦艇への搭載は2025年頃で、攻撃型原潜への搭載は2028年以降と言及していましたが、その予定から数年遅れで進んでいるイメージです
米議会の試算によれば、米陸軍用のLRHWは1発50億円以上と推定されており、使い道を絞り込んで配備段数等を算定しないと予算的に持たないと思います。とりあえず契約締結に関する事実関係をご紹介しておきます
米陸軍と海軍の極超音速兵器開発
「陸軍はあと2回試験」→https://holylandtokyo.com/2023/01/17/4107/
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「米陸軍が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「最近の状況整理&2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
米空軍は慎重に
「バカ高い極超音速兵器:米議会が試算」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/
「高価な極超音速兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/