徐々に双発機から単発機に搭載機種拡大の中
ついに国産WS-10エンジンを高リスクの空母艦載機に?
中国国営テレビCCTVがちらりと放映の模様
11月17日中国国営テレビCCTVが、製造工場でテスト飛行準備を行う中国製空母艦載機J-15の映像を放映し、これを受け28日付米軍事メディアが、運用リスクが高く安全性が厳しく精査される空母艦載機J-15に、中国産エンジンWS-10が搭載される模様だと取り上げています
28日付Defense-Newsは、CCTVがどのような目的でJ-15空母艦載戦闘機の映像(画像?)を放映したのか説明していませんが、「エンジン尾部のアフターバーナーノズルの形状等から、WS-10と思われるエンジンが、テスト飛行に向けて調整作業を受けている」と紹介しています。
J-15中国産空母艦載機は、機体の開発段階でWS-10エンジン搭載の試みがなされたと記録されていますが、製造段階に入ってからはロシア製のAL-31Fを搭載しており、エンジンの不調がそのまま操縦者の命に係わる空母艦載機のJ-15への国産エンジン搭載は、J-10で約10年の実績を積んだ中国製エンジンの成熟度を示すリトマス試験紙と考えられてきました
そもそもジェットエンジンは、「その国の総合工業力レベル」を示すバロメーターと言われ、中国軍は中国製エンジンの作戦機への搭載を数十年前から追求してきましたが、その試みはなかなか実を結びませんでした。結果としてロシア製エンジンを中国製コピー機体に搭載する形が長く続き、国産と呼ばれるJ-15空母艦載機も、ロシアの空母艦載機Su-33 Flankerのコピーと言われてきました
少なくとも10年位前までは、○○戦闘機に国産エンジンが試験搭載されたが、量産型にはロシア製エンジンが搭載された・・との報道ばかりでしたが、10年くらい前から中国製WS-10エンジンが陸上基地配備で双発のJ-11b要撃機やJ-16攻撃機やJ-20ステルス形状戦闘機(攻撃機)の量産型に搭載開始とのニュースが伝えられるようになってきました
より最近では、例えば2018年のZhuhai航空ショーでJ-10B試験機にステルス性の高いWS-10Bを搭載して披露したり、双発のステルス形状攻撃機J-20に国産WS-15エンジンを、また4発のY-20輸送機にWS-10ターボファンエンジンを搭載開始したことが確認されていたところです
また2021年5月には、中国国営ラジオwebサイトが、中国空軍部隊に配備されている単発J-10C戦闘機にWS-10Bエンジンが搭載されていると確認できる映像を公開し、Defense-Newsらが「ついに中国製エンジンが信頼性を高め、量産型単発戦闘機に搭載された」と配信したところでした
そして今回、中国国産エンジンの最後の挑戦とも言われる「空母艦載機」J-15への搭載が、本格的に試験されることが確認されたということです。
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中国情勢は、厳しすぎるコロナ対策に対する反対運動が中国各地で発生し、経済の急収縮も背景として「風雲急」を告げています。
そんな中で「最新技術の窃盗」で急速なキャッチアップに成功した中国軍事技術が、今後どこまで「追いつけ・追い越せ」を継続できるのか、とっても気になります
WS-10エンジンが登場する過去記事
「単発J-10CにWS-10B搭載」→https://holylandtokyo.com/2021/05/14/1497/
「中国航空ショーでのJ-20を評価する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-1
「J-20が初の海上行動」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-05-12-1
「報道官が戦闘能力発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-1