ウクライナ侵略事案が民間衛星の能力を改めて示す
地域コマンド司令官が軽易に商用衛星情報入手できるシステムを
NROやNGAも続々と民間会社との契約増やす
7月9日付Defense-Newsは、米国政府機関や米宇宙軍が保有する宇宙アセットの脆弱性や能力不足を補い、迫りくる中国等の宇宙での追い上げに対抗するため、早急に出来ることとして、ウクライナ侵略でもその有用性や重要性が示されている民間の衛星画像や衛星通信企業との連携や契約を、急速に増加させていると報じました
一つは米空軍研究所AFRLが、民間や同盟国ISR情報へのアクセス向上のため取り組んできたHAD(Hybrid Architecture Demonstration)計画から派生したGLUE(Global Unified Environment)で、地域戦闘コマンドが商用衛星画像情報や同盟国衛星情報を容易に入手できるようにするインターフェイスです。
米宇宙軍は、現有能力の脆弱性克服を大きな課題と捉えていますが、手っ取り早い能力の多様化や重複化施策として、多様な軌道で多くの小型衛星を運用している民間衛星画像会社を同盟国衛星情報と共に活用しようと考えており、宇宙軍担当幹部は「我々が急がないと、敵はあっという間に我を追い越してしまう。急がないと2030年にはそうなってしまう」と危機感を語っているところです
具体的には、近未来に実現可能な宇宙軍能力向上策として、現在米空軍研究所が開発しているGLUEを2024年に宇宙軍に移管し、2026年には本格運用が開始できるようにしたいと、米宇宙軍システムコマンドのMichael Guetlein中将が語っています
米宇宙軍以外でも、米国防省で民間スタートアップ企業や新興有力企業からの最新技術導入を推進するDIU(Defense Innovation Unit)が、衛星通信のデータ共有・ソフト保全・クラウド分析・ネットワーク情報保全強化のため、4企業(Aalyria Technologies, Anduril Industries, Atlas Space Operations and Enveil)と共に宇宙で能力実証デモンストレーションを行うと7月7日に発表しています
DIUの担当責任者Rogan Shimmin氏は、「民間企業の最新技術を生かし、多様で大量な衛星画像情報をオンデマンドで入手して分析を提供し、見通し線外の戦術情報収集能力強化にまず生かしたい」と発表に際し語っています
米宇宙軍以外の米国政府情報機関であるNRO(National Reconnaissance Office)も、今年5月に民間衛星会社3社(Maxar Technologies, Planet Labs and BlackSky)と10年契約を結んで情報収集能力を強化し、NGA(国家画地情報庁:National Geospatial-Intelligence Agency)も2021年に商用衛星画像利用量を2倍に拡大させているようです
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非常に断片的な情報の羅列紹介になってしまいましたが、上記で紹介した企業以外でも、SpaceXやViasatなどの宇宙関連企業がウクライナ関連で示した能力と影響力は、世界の軍関係者や専門家に改めて戦いの様相の変化を印象付けたと思います
引き続き宇宙関連の話題への「リテラシー」が向上しないまんぐーすですが、チマチマと取り組んでいきたいと思います
ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/