航空機搭載レーダーや地上レーダーとの干渉懸念
F-35基地に5G携帯電話網を仮整備し、影響確認へ
日本は大丈夫ですか?周波数 3,100-3,450 MHz
3日付米空軍協会web記事は、米国防省が米空軍Hill空軍基地に実験的に5G携帯電話網を整備し、航空機搭載レーダーや地上配備対空監視レーダーとの電波干渉の影響について実地に確認し、併せて干渉問題へのハードとソフトの対策を検討するプロジェクトを紹介しています
Hill空軍基地を含む計4基地を対象とする5G網実験的整備プロジェクトは10月に発表されたようですが、関連の追加発表では問題となる具体的な周波数や、併せて米軍物品管理倉庫に5Gを活用した「スマート倉庫」を導入する構想も明らかにされ、IOT世界での5Gの重要性と軍事周波数との競合が大きな問題としてのしかかっている様子を伺わせます
記事自体は淡々とした事実の紹介ですが、先日ご紹介した5G技術搭載の民間通信衛星にエスパー国防長官が大反対の姿勢を示したり事例など、色々な摩擦が生じつつある現実の一つとして、ご紹介しておきます
3日付米空軍協会web記事によれば
●10月に米国防省は、5G通信網が米軍の運用にどのような影響を与えるかを検証するため、「full-scale, fifth-generation wireless network」を導入するプロトタイプ実験を、米軍4基地で実施すると明らかにした
●4つの基地は、ユタ州Hill空軍基地(F-35の主力所在)、ワシントン州の統合Lewis-McChord基地(C-17の拠点)、米海軍San Diego基地、ジョージア州海兵隊Albany補給基地である
●最近の国防省と米空軍連名の発表は、今回のプロトタイプ実験計画では、特に5G携帯電話網と軍用レーダーの使用周波数が重なる3,100-3,450 MHz周波数帯で、両者が同一周波数を共有できるようなソフトとハードの開発が必要になるとしている
●具体的には「実際に模擬の基地内限定フルスケール5G携帯電話網を整備し、航空機搭載レーダーや地上配備レーダーへの影響を評価する」、「能動的及び受動的両方の干渉防止技術を適用する」、「プロトタイプ実験から得られた成果は、軍事レーダーと5G通信網が共存するための装置やコントロール装置につながる」と発表されている
●最近の発表では、ジョージア州海兵隊Albany補給基地において、5G技術を利用した「スマート倉庫」「スマート物品管理」プロジェクトを推進することも明らかにされた
●「5G技術で可能になるスマート倉庫は、現状の倉庫業務を効率的に安全に遂行するだけでなく、大規模な軍事兵站業務への応用に向けた試験や評価を行う場となる」と説明されている
●国防省はこの発表に沿った計画遂行のための業者を募集し、残りの2基地(ワシントン州の統合Lewis-McChord基地(C-17の拠点)と米海軍San Diego基地)での5G関連プロジェクトの細部を今後明らかにする予定である
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5Gのイロハも理解していないまんぐーすがご紹介するのも気が引けるのですが、Hill空軍基地(F-35の主力所在)、統合Lewis-McChord基地(C-17の拠点)、米海軍San Diego基地は、米軍作戦の第一線基地であり、国防省の意気込みと危機感が伺えます
なお、元記事や国防省の発表には「干渉」との単語は使用されておらず、「共存」や「周波数シェア」の確認や試験との表現になっていますが、まどろっこしいので干渉問題と訳しています
この年末年始には、飯山陽さんの「イスラム2.0」と、何か分かりやすそうな5G関連入門書を読むことにしますかねぇ・・・
5Gに関する記事
「5G企業とGPS関係者がLバンド電波巡り激突中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-2
「戦略コマンドが5Gとの電波争奪に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-27
「5G試験のため民間に演習場提供案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-14