2月2日、キヤノングローバル戦略研究所YouTubeチャンネルが、ロシア専門家の小泉悠さんを迎えて「ー緊迫度を増すウクライナ、ロシア軍侵攻の可能性ー」との討論を行い、宮家邦彦さんがアンカーを務め、中国専門家の峯村健司さんも交え、様々な角度から本件に迫っています
どう転ぶかわからない情勢が続いていますが、本件について12月中旬から触れていませんので、申し訳程度に、再び「小泉悠さん」頼みです
約25分間と討論の模様
「緊迫度を増すウクライナ、ロシア軍侵攻の可能性」討論の概要
(一部です。論点の提示がなされています)
●ロシア軍の現状は
・全ロシア軍の約1/3はウクライナ周辺に展開(主力の機甲部隊は全て集結)
・戦闘部隊に加え、ほぼ同数の兵站部隊も展開しており十分な態勢
・空爆やハイブリッド戦オプションも含め、如何なる手段も実行可能な状態
・ウクライナ半分を制圧する戦力準備には、もう少し必要か(更に2-3週間必要か)
・雪が解けると侵攻不能との話は極論。少し困難にはなるが可能
●プーチンは侵攻を決断可能か
・露国民の6-7割は、冷戦後の西側のロシアへの態度・NATOの東方拡大に不満を持っており、ウ侵攻を受け入れる可能性はある
・2024年に任期を迎えるプーチンは支持基盤を固めるタイミングにあり、ウ侵攻を利用する可能性はある
・2014年時のハイブリッド戦時も、最後はプーチン以下4名だけで決断したとされており、プーチンは決断可能
・ウ侵攻と言っても様々な程度があり、プーチンが何を考えているかによる
・2014年当時は露軍の準備期間がなくハイブリッド戦を選択したが、今回は正規軍の準備が十分で、ハイブリッドの必要性は高くない
・反露感情がウクライナ内でも拡大しつつある中、ハイブリッド戦だけでうまくいく可能性は、そう高くはない
●中国との連携は(北京五輪終了に配慮するか)
・ウ侵攻で経済制裁を受けるロシアは、中国への依存が高まることになるが、五輪に配慮するかは?
・中国とロシアの関係、習近平とプーチンの関係がそれほど緊密とは思えない
・習近平は秋の党大会に向け北京五輪成功に取り組んでおり、党大会以前に台湾行動はない
●ただし、ウ侵攻が成功すれば、中国は対台湾の参考にする
・バイデンは早々と「米国単独での軍事介入はない」と発言してしまっており、非常に懸念される
・日本がウ侵攻や対ロシアに毅然とした姿勢を示さなければ、台湾有事の際、欧州から支援を得られなくなる
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ウクライナと台湾は連動しており、日本がウクライナ問題から目を背けることは、台湾問題に背を向けることと同義であり、世界や欧州と日本の関係に影響を及ぼすものであることに注意する必要があります
2021年12月中旬公開の小泉悠氏による「ロシアによるウクライナ侵攻の危機」との論考
→米国の選択肢は?ロシアのレッドラインに変化?ロシアの戦略的目標は?ロシアの非在来型介入に注意!正攻法の軍事侵攻の場合ベラルーシに注目など
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-22
→https://holylandtokyo.com/2021/12/28/2558/