米海軍273機に対し、海兵隊は420機調達予定も
米海兵隊司令官は2020年当時から機数削減示唆
1月3日付Defense-Newsは、「2022年を占う:New in 2022」シリーズ記事の一つとして、「海兵隊はF-35を必要としているが、その将来は複雑だ」との論点記事を掲載し、米海軍よりも多い420機のF-35調達予定の米海兵隊は、その調達機数削減を検討していると示唆しています
米海兵隊F-35は、全ての米軍F-35の先陣を切り、海兵隊F-35B型が2015年に初期運用態勢を最初に宣言し、2018年9月にアフガンで初実戦投入されたほか、海兵隊F-35C型も2021年7月に完全運用態勢確立を宣言し、2022年に空母搭載任務が予定されています
また、英海軍の新型空母エリザベスにも米海兵隊F-35Bが派遣され、米英F-35が同空母で共同運用態勢に入るなど、米海兵隊はF-35活用に積極的で、C型の運用では米海軍よりも数歩前を進んでいます。
しかし同記事は、米海兵隊司令官の発言や操縦者不足や育成状況、更には米海兵隊が無人機重視に向かいつつある様子から、米海兵隊による420機のF-35調達(B型350機、C型70機)計画は縮小される方向で検討されていると示唆しています
1月3日付Defense-News記事等々によれば
●David Berger海兵隊司令官自らが指揮し、「No. 1 priority」と呼んでまとめた米海兵隊の2030年のあるべき姿を描いた構想「Force Design 2030」(2020年3月23日発表)では、対中国を強く意識し、戦車部隊の廃止、歩兵部隊や回転翼部隊の削減、総兵数の削減、ロケット部隊や対艦部隊や無人システムの増加や電子戦の強化などが柱になっている
●また同構想は、「米海兵隊を強固に防御された戦域への遠征部隊、海軍と連携した戦力に再設計するもの」で、「現下の資源制約の下で、最新技術や変革を取り込むため、旧来装備を取り除き、現在より小ぶりで軽快な態勢に再編する」方向を目指すものとなっている
●2021年7月、米海兵隊は米海軍に先立ち、空母でのカタパルト運用を想定したF-35C型の完全運用態勢確立を宣言し、2022年に空母での運用開始を予定しているが、その飛行隊VMFA 314)は限定的なF-35C操縦者しか養成しておらず、米海兵隊内での操縦者不足も米空軍等と同様に解決の目途が立っていない
●2020年の米議会証言でDavid Berger海兵隊司令官は、F-35の優れた能力の必要性と重要性をアピールしつつも、種々の環境の変化を踏まえた現実的な可能性として、「私は軍事産業界に、米軍が作戦環境に適応していくように、我々も修正に備える必要があるとシグナルを発している」、「現時点では調達計画に変更はないが、我々は作戦環境や敵の動向に応じて適応していく必要がある」と語って調達数削減を匂わせている
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米議会は、2025年にF-35の維持整備経費の削減可能度合いが確定する時点で、総調達機数(現在は1763機)の削減を判断する条項を国防授権法に盛り込んだとされており、Brown空軍参謀総長も同様の考え方だと発言しています
軍需産業政策全体にも関わることでもあり、米海兵隊だけで先行して調達数削減を打ち出すことは容易ではないでしょうが、何事も先陣を切る海兵隊だからこそ、言い出しやすい面があるかもしれません。
過去にピューリッツアー賞最終候補にも残ったこともある元海兵隊員Todd South記者の執筆記事からご紹介しました
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