1990年代開発の4000ポンドGBU-28の後継
とりあえずF-15Eでの使用試験成功
3万ポンドの巨大貫通弾の小型軽量型か
12日、米空軍が新型貫通弾(bunker-buster)である5000ポンド爆弾(約23000㎏)GBU-72の投下試験を、7日にフロリダ州エグリン基地近傍の試験場でF-15Eから実施し、成功したと発表しました。試験は着弾地点地下に爆発圧力や破片効果を測定する各種センサーでモニターされ、所要の結果が得られたようです
このGBU-72は、1990年代にイラク地下指揮所攻撃用に開発されたGBU-28(4000ポンド:約18000㎏)の後継貫通弾となるもので、現在保有する巨大貫通弾(3万ポンド:GBU-57:MOP:B-2のみに搭載可)の小型汎用型ともみられています
5000ポンド級の自由落下爆弾に、BLU-138貫通弾頭を装着し、誘導装置として2000ポンド用のGPS誘導JDAM尾部誘導キットを改良して装着した構造となっており、2021年7月には第1段階として2000ポンド爆弾にこれら弾頭と誘導キットを装着し、F-15Eとの適応性を確認していたということです
最新のデジタル技術を用いた設計やシミュレーション手法で開発が効率的に行われ、GBU-72は一応完成した状態のようですが、今後は他機種への搭載や高度な運用法を想定した各種試験や、本格製造に向けた各種検討が進められるようです
米空軍は、戦闘爆撃機と爆撃機の両方に搭載可能な新型GBU-72をどの機体で使用するか明らかにしていませんが、2022年度予算には125発分が計上されており、最終的には2000発程度を調達する構想と言われているようです
兄貴分に当たる巨大貫通弾(3万ポンド:GBU-57:MOP:B-2のみに搭載可)は、イランの地下核施設が想定攻撃対象ではないかと言われていますが、GBU-72は北朝鮮の地下施設など、より広範な対象国の地下施設を対象にしているのではないかと推測されています
米空軍は末尾の過去記事でご紹介してきたように、本格紛争対処を意識し、より小型の貫通能力もある高機能新型爆弾GPAW(Global Precision Attack Weapon)開発に着手しているほか、「爆弾の母」MOAB(mother of all bomb)と呼ばれる2万ポンド級の巨大爆弾も保有しており、地味な分野ですが、今後もチマチマとフォローしていきます
イラン地下核施設狙いか:3万ポンドGBU-57:MOP関連
MOP(Massive Ordnance Penetrator)
「超巨大貫通弾MOP完成か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-18
「シリア化学兵器に?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-27
「イラン核施設の完全破壊は困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-02
「対イラン?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16-1
最近では本格紛争意識の小型貫通弾開発も
操縦席から多様な設定変更可能で自立的群れ行動も目指す
「GPAW開発に企業からの情報募集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-21
地表目標を広範に破壊:2万ポンド級MOABの記事
2017年4月、アフガンでISの拠点制圧に使用
「試験映像と共に:GBU-43B」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-04-14