米陸軍の歩兵旅団改革 IBCTからMBCT改編を概観

今後2年間で 25個の歩兵旅団を機動旅団へ
先行して改編試行の 3旅団幹部がその特徴を語る

10月16日付 Defense-News は、米陸軍の「Transforming in Contact initiative」の一環として、今年9月にRandy George 米陸軍参謀総長が明らかにした、今後2年間で25個の「IBCT歩兵戦闘旅団 :Infantry Brigade Combat Teams」を「MBCT 機動戦闘旅団:Mobile Brigade Combat Teams」に改編する計画に関し、

先行して改編試行に取り組む3つの旅団関係者が9月の会議で語った改編後の「MBCT 機動戦闘旅団」の特徴と、今後改編に取り組むIBCT 関係者への助言を紹介していますので、極めてザックリした概要の概要ですが、対テロから本格紛争重視に向かう中で、自らの役割を求めて「迷走が続く米陸軍」の「もがき」としてご紹介します。

●攻撃力強化に空中待機型兵器やドローン(loitering munitions and drones)装備の多機能偵察中隊と多目的中隊を追加
・第10山岳師団第3旅団長の大佐→偵察ドローンの大規模導入で、9割の射撃用偵察をドローン活用で行った結果、使用する弾薬を5割削減しながら、攻撃精度の大幅向上により攻撃成果が3倍に向上した
・第101空挺師団参謀長の大佐→我が旅団は約400機のドローンを導入し、その効果を確認している

●歩兵小隊車両(ISV:Infantry Squad Vehicle)導入で機動力アップ
・第101 空挺師団参謀長の大佐→歩兵小隊車両(ISV)導入により、これまで車両を使用していなかった歩兵の機動性が大きく向上し、50マイルの移動が可能になった。ヘリで歩兵と車両 ISVを敵の攻撃限界地点まで接近させることで、そこから作戦行動を発起させることが可能になった
・第25歩兵師団第2旅団長の大佐→機動性の大幅向上を感じているが、注意が必要なのは、ISVはあくまで機動性向上手段であり、戦闘力向上用の装備ではない点である。ISV下車後の作戦計画を忘れてはならない

●電磁スペクトラム戦への強い意識が必要
・敵の電子妨害や電子偵察を強く意識し、展開先の地形や敵の居場所を念頭に、自らの部隊が敵に発見されないよう、部隊が存在する電磁スペクトラム環境に最大限の注意を払う必要がある
・また、自らの部隊の任務や装備や練度を把握し、指揮通信プランや指揮通信手段を専門部隊等と協議し、事前に良く練っておく必要がある

・例えば、ハワイのオアフ島での活動時には、周囲が濃密な電磁信号にあふれていたため、自らを隠すことが容易だったが、フィリピンのルソン島では、少しの電波発射でも敵が探知しやすい環境にあり、電波発射を抑制する必要があった
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間もなく公開されるトランプ政権下での国家防衛戦略NDSでは、本格紛争と並び、米本土防衛が大きな柱に浮上するとのことですが、その中で米陸軍や海兵隊は「活路」を見いだせるのでしょうか?

ウクライナに素直に学んでドローンを大量に導入し、移動用車両を増強するとのシンプルな改革ですが、これが求められていたことだと思います。このような積み重ねを継続していくことが重要ですし、部隊の防御には更に新しい視点が必要になりそうです

間もなく公開 2025国家防衛戦略NDSと米本土防衛重視
「3機のB-52 がベネズエラに威嚇飛行」→https://holylandtokyo.com/2025/10/21/13001/
「麻薬密輸船への米軍攻撃理論」→https://holylandtokyo.com/2025/10/06/12942/
「新しいNDSでは中南米重視」→https://holylandtokyo.com/2025/09/30/12893/

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