米空軍がCAS支援部隊TACPを約45%削減へ

陸軍や特殊部隊と行動を共にして空爆を誘導する部隊削減
対テロ作戦から本格紛争体制への移行の一環
小さな部隊改編が大きな米空軍体制変革を象徴
911同時多発テロから24年目の小さな発表ですが

911同時多発テロから24年目の9月11日、米国のみならず世界中で同事件を振り返るニュースが流れる中、米空軍のユタ州空軍が、対テロ作戦を支える重要任務を果たしてきた「戦術航空管制部隊TACP:tactical air control party」を解散し、サーバー部隊2つに入れ替えると発表しました。

大きな方針は2024年7月に示されていたようですが、「戦術航空管制部隊TACP」である第19航空管制隊(the 109th Air Control Squadron)の人員移動や、新編サイバー部隊の完全作戦能力獲得が2030年になること等が、「911」を振り返る日を選んで発表された模様です。

「戦術航空管制部隊TACP:tactical air control party」は、米陸軍や特殊作戦部隊と前線で行動を共にし、地上部隊の空爆支援要請に応じて空軍攻撃機と連携を図りつつ、攻撃目標となる敵部隊の位置等を通報し、更に精密誘導兵器を誘導するため目標にレーザー光線を照射する役割等を担う精鋭部隊です

本発表を報じる9月12日付Defense-News記事によれば、2023年時点で米空軍「戦術航空管制部隊TACP 」には約3700人の兵士が配置されていたましたが、中東での対テロ作戦からインド太平洋での対中国紛争への備えに重点を移行する一環として、米空軍は2025年までにTACP所属兵士を約44%削減する計画だと発表しているとのことです。

解体される第19航空管制隊の隊長Joshua McCarty中佐は、「サイバーは戦争の未来だ」、「サイバーは進化していくだろうし、現在も進化し続けている。我々は空中だけでなく、サイバー空間における課題にも対処する準備を整える必要がある」と、9月11日の発表に合わせ前向きなコメントを出していますが、戦闘服に完全装備で戦線を駆け巡った部隊とは180度役割が異なるサーバー部隊との入れ替えは、時の流れを感じさせます

米空軍によると、同管制部隊の解体時、人員の一部は新たに設置される2つのサイバー部隊の要員として再配置される模様ですが、同管制隊が所在するRoland R. Wright州空軍基地としては、この移行にともない、要員52名のポストがなくなる一方で、12名の新ポストが生まれるとのことです
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TACP(tactical air control party)紹介映像(約10分)

地上部隊への近接航空支援CASを支える米空軍要員が、約45%削減されるとは驚きの数値ですが、この比較も2023年と2025年の比較で、例えば対テロ作戦からの撤収の象徴である米軍のアフガン撤退完了(2021年8月30日)時点から比較すると、もっと大きな削減率かもしれません。

「911」から24年目の、「小さな」、しかし時の流れを感じさせる州空軍からの発表でした

近接航空支援CAS関連の記事
「CAS能力対決: F-35対A-10」→https://holylandtokyo.com/2017/02/03/7389/
「CASの歴史」→https://holylandtokyo.com/2015/09/23/7917/
「CASの最新技術を議論したい」→https://holylandtokyo.com/2015/09/17/7911/
「CASに大活躍のA-10全廃議論」→https://holylandtokyo.com/2015/05/13/8034/

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