連立政権外務大臣の「中立だけでは国は守れない」発言が引き金
世論調査では74%が中立の現状維持支持も
ただ既に「EU相互防衛義務の対象」で「NATOと連携訓練」も
同記事が紹介する現状は・・・
●オーストリアはWW2後、ソ連の要請もあり、オーストリア憲法に規定して1955年から「中立国」。NATOには非加盟も、1995年にEU加盟。EU加盟は中立政策と共存可能と同国は説明
●財政難のオーストリアでは、近年大幅な支出削減が行われているが、国防費は年々増加し続けている。
●2024年実施のギャラップによるオーストリア国民への世論調査では、「NATO加盟支持」は25%以下で、「中立維持支持」が74%
●当該発言をした外務大臣Meinl-Reisinger女史は、同国連立政権を構成する3政党の一つ「NEOS」の党首で、NEOSは連立相手である保守系の「国民党」や「社会民主党」(両党とも本件議論を避けている)と比べ、NATOにより好意的で、欧州共同軍創設を提唱し、同国「永世中立」の現代における意義再検討を繰り返し促してきた経緯あり
●外相発言を受け、ロシアやプーチン大統領と関係が深く、欧州統合防衛やウクライナ支援を非難している自由党は、「NATO拡大路線を支持するもので許容できない」と議会の緊急調査委員会で厳しく非難
●同国では、「中立維持」と「NATOと距離」を求める活動が繰り返し行われ、今年10月にはウィーンで「大規模デモ」が予定。同時にこれらの活動の多くは、ウクライナ支援を批判
ただし、実質的にはEUやNATOとの一体化が進んでおり・・
●既にEUの相互防衛(EU’s mutual defense)条項の対象→→EU基本条約第42条が、EU加盟国の
領土への武力攻撃時は、他加盟国が、国連憲章第51条に従ってあらゆる援助を与えるという相互防衛義務を規定
●また、NATOの平和のためのパートナーシップ(Partnership for Peace initiative)にも参加し、NATOと連携して軍事訓練も。NATO活動にも協力姿勢で、2024年にはNATO軍機の同国上空通過を5,000回以上承認
記事は触れていませんが、ロシアの脅威に対抗する防空&ミサイル防衛兵器の欧州諸国による共同迅速購入等を目的とし、ドイツが中心となって 2022年 10 月に開始された「欧州空の盾構想:ESSI: European Sky Shield Initiative」にも、中立国スイスと共にオーストリアは参加意思表明しています
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冷戦期を通じ「中立」政策を維持してきたフィンランドとスウェーデンが、それぞれ2023年と2024年にNATOに加盟するため中立を放棄し、EU内で中立維持国はスイスとオーストリアだけで、中立国でオーストリアが人口900万人で最大規模・・・なのが実態です。
「中立だけでは国は守れない」・・・は厳然たる現実ですが、「財政難のオーストリアでは、近年大幅な支出削減が行われているが、国防費は年々増加し続けている」状態では、親ロシア親プーチンのオーストリア自由党のような政党が、(恐らくロシアの支援もあり、)それなりの支持を集めるも現実です。
このような欧州諸国の動きも、欧州での「移民受け入れ寛容政策」による社会混乱や「EV導入推進」の大失敗と共に、日本のメディアが取り上げることはありませんが・・・
既に変わりつつあるオーストリア防衛
「ESSI欧州空の盾構想に参加意思表明」→https://holylandtokyo.com/2024/07/31/6125/
オーストリアは徴兵制維持
「国民意識と社会福祉への人員確保」→https://holylandtokyo.com/2013/01/23/8945/
日本の国防議論不毛の背景は
「日本の空想的平和主義やダチョウ派は」→https://holylandtokyo.com/2015/06/20/8966/
日本の単純な「平和主義」でなく、困難な「漸進的進化」を語る
「オバマのノーベル平和賞スピーチ」https://holylandtokyo.com/2021/08/11/2097/


7月31日付Defense-Newsが、欧州の中立国オーストリアで、連立政権を支える一角の党首である外務大臣による「国内でNATO加盟賛成派は多数派ではないが、加盟議論は非常に生産的である可能性がある」、「中立だけでは国は守れない」との発言(ドイツ紙インタービュー発言)が物議をかもし、同国議会が緊急調査委員会を開催するなど、「中立」や「NATO」加盟に関する議論が再燃していると報じています
