3月末の米国防長官訪問に合わせ米国務省が承認していたが・・
戦闘機導入は比国防計画に内包も機種は未定だと
着実に進展してきた米比関係に米の勇み足か
フィリピン政府として、米国から同パッケージのオファーを正式に受けたことも、比政府として購入を決定した事実もなく、たとえ米側から申し出があったとしても、比国防省として必要性を判断できる段階にないと語り、「比国防相として、検討課題とも認識していない:As far as I’m concerned, there’s nothing on the table for me to consider」とまで表現した模様で、各種メディアが「フィリピンが米比関係に冷や水を浴びせた」と大きく報じています。
3月末頃に米国務省が承認したのは、フィリピンへの最新型F-16C/D戦闘機20機(Block 70/72)と、同機に搭載する最新型空対空ミサイル(AMRAAMとAIM-9X Block II)や精密誘導爆弾(JDAM)、AN/AAQ-33精密照準用ポッド等々を含むパッケージですが、毎年のフィリピン国防費が約9000億円程度であることから、
フィリピン政府の中でも、米国支援なしにこの規模の購入資金を準備可能か疑問視する者が少なくなく、バイデン政権時の2021年にも、一度は米国務省が承認した「F-16の12機売却承認(約3700億円)」に関し、結局はフィリピン政府として約半分の1700億円程度しか資金を準備できず実現しなかった事例と同じ運命をたどる・・・と「斜に構える」関係者が多いとメディア報道されています。
なお、2024年に米国はフィリピンに対し、長期安全保障支援として約750億円を提供していますが、こうした支援を継続するには米議会が継続的な比への支援を承認する必要があり、同時に週末のアジア安全保障会議2025でヘグゼス国防長官は中国の軍事的脅威は「差し迫っている」と警告しつつ、同盟国に対し国防費の増額を求めており、事がそれほど単純に進むとは考えにくい側面もあると関係者は見ているようです
また比のマルコスJr大統領は、2024年に新たな国防強化計画「Horizon 3」を決定し、その中で戦闘機40機を導入すると示しているようですが、Teodoro国防相が「比国防省として必要性を判断できる段階にない」と言及したように、具体的に「いつ、どの機種」までは煮詰まっていない模様です。
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フィリピンのTeodoro国防相はShangri-La Dialogue講演後の質疑応答時に、フィリピンと米国の同盟関係について批判的な質問を投げかける会場の中国代表団と激しいやり取りを交わした模様で、会場ではTeodoro国防相の毅然とした態度を支持する声が多かったようですが、同国防相の激しい気性に驚いたとの声も聞かれたようです。
アジア安全保障会議2025(Shangri-La Dialogue)に関し日本のメディアは、「フィリピンへの支援強化で西側関係国が方向性に合意」とか報じていますが、まだまだ政権としての方向性に「ちぐはぐ感」がぬぐえないトランプ政権が絡む案件ですので、時にはファイティング・ポーズの準備を怠ることなく、種々の交渉に臨む必要がありそうです。
米国務省が承認:比が20年ぶり戦闘機導入か!との報道
「米が比へ20機の最新F-16を」→https://holylandtokyo.com/2025/04/07/11214/
最近のフィリピン関連の記事
「米比がGSOMIA締結」→https://holylandtokyo.com/2024/12/25/6560/
「比が台湾近傍で軍施設増強中」→https://holylandtokyo.com/2024/02/15/5548/
「米空軍F-22が初展開」→https://holylandtokyo.com/2023/03/24/4442/
「米軍のアジア太平洋協力強化」→https://holylandtokyo.com/2023/02/20/4294/

