追加情報
米国時間21日(日本時間22日早朝)、NHKの取材に対し米国防省は、中東のカタールから大型旅客機「B747型機」を受け取り、大統領専用機として利用するため今後改修すると明らかにしました
米国防省は、「大統領が移動に利用する航空機として、米国防省は、適切な安全措置をとり、機能面での条件を備えるよう努めていく」と説明し、機体価格が約4億ドル(570億円)とも言われる高額な贈与品受領に関し、「法令や規則を順守して受け取った」と強調しているようです
またトランプ大統領自身もメディアに対し、機体を受け取るのは個人ではなく、国防総省であると述べ、「透明性のある取り引きだ」と正当性を主張しているとのことです。
トランプ大統領は、第1次政権時にボーイングと契約した2機の大統領専用機が完成するまで、カタール贈与の機体利用を検討すると語っていますが、米メディアが倫理面のほか、安全面での問題点も指摘しています。
なお、Leavitt 大統領報道官は19日の定例会見で、B747 改修スケジュールに関する質問を空軍に委ね、「これは空軍のプロジェクトである」、「この航空機は米空軍が受領するので、具体的なことは空軍に問い合わせ願う。大統領には何の関係もない」と述べています
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総合的に解釈すると、トランプ氏が勝手に突っ走って決めたことで、米政府として検討の上で決定したことではなく、今後については何一つ確かなことはない・・・と言うことです。
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以下は、5月9日から12日付の報道を元ネタに準備していた記事で、これまでの経緯やカタール寄贈機改修の大変さを、専門家の指摘を基にご紹介しています
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ボーイングとの契約への要求下げ2027年入手か
中古のカタール王族機の贈与を受け、米大統領用に改修か?
上記2案のミックスバージョンか?状況混迷中・・・
1990 年導入の老朽米国大統領専用機(Air Force One:VC-25A)の後継機は、オバマ政権が2015 年にB747-8型機改良型「VC-25B」3機を約5700億円で導入決定しましたが、価格高騰もあり、トランプ政権が 2017年に3機を2機に削減し、かつ中古機を再利用することで約4200億円に価格を抑えて2024 年に引渡す契約にボーイングと「ディール」して更新変更しました
しかし2022年5月、事業を管理する米空軍が、ポーイング下請け業者の業務遅延や能力不足判明などにより、納入が2024年から2〜3年遅れると明らかにし、その後も厳しいSecurity基準を満たす作業者確保の問題や、サプライチェーンの混乱等々の理由により事業は遅延し、今では当初計画から「5年遅れの2029年まで納入がずれ込む模様」といわれ、同じくボーイング担当のKC-76空中給油機やT-7ジェット練習機と並びデタラメ事業の代表となっています
そんな中で2025年5月に入り、米空軍とボーイングが納入を2027年に早めるため、要求性能や各種製造要件の緩和を議論しているとの報道や、カタール政府が使用していた中古 B-747-8機の寄贈を受け、その機体を改修して 2028年から米国大統領機として利用する計画が進行中との報道が出るなど、何がどうなっているのか良く分からない状態になりつつありますので、とりあえず錯綜する情報をご紹介しておきます
5月9日付米軍事メディア報道は
●ボーイング社が米空軍に対し、VC-25Bの要求事項等の修正が可能ならば、2027年に納入を早めることが可能との修正スケジュールを提示した
●5月8日の議会公聴会で米空軍省のDarlene Costello調達開発担当次官補代理は、「要求事項変更について合意できれば、2027年に納入可能との提案がある。ただ重要な要求事項は当然維持する必要があると考えている」と証言し、「残された問題」がいくつかあるため、合意が保証されているわけではないが、より正確なスケジュールは近い将来発表予定と説明した
●ボーイング社では現在、2機の747-8型機をVC-25Bに改造すべく、自己防衛システム、発電力増強、機内補助動力装置の2重化、各種秘匿通信システム、内装、軍用基準の各種電子機搭載、自動操縦機能、貨物搭載機器の装備作業等々が行われている。
●空軍とボーイングは以前、関連技術作業者のセキュリティクリアランス要件を緩和することに合意し、最も厳しいレベルの「Yankee White」クリアランスを求めて約 250名が作業不能な状態に陥っていた問題に対応したことがある
●ボーイングと空軍は、遅延とコスト超過原因として、想定以上の製造コスト上昇、下請け業者との交渉難航、設計変更、そしてセキュリティ許可を持つ熟練労働者の不足等々を挙げてい
る。
ところが5月11日付 ABCニュースや12日付 Defense-News 等は
●11日付 ABCニュースが、トランプ政権がカタール王室から(13年使用後ながら)600億円相当の豪華なB747-8型機の寄贈を受け、米国大統領専用機として利用する準備を進めていると最初に報道。米空軍がカタールから寄贈を受け、2028年までにトランプ大統領図書館財団に移管する予定とも報道
●WS」紙は関連で5月初め、L3ハリス社がカタール寄贈機のエアフォースワンへの改修に関する暫定契約を交わし、今年後半に細部を煮詰めた契約を締結する予定だと報道
●ただ本件に関し12日付 Defense-News は、カタール寄贈機を米国大統領専用機に改修するには数千億円規模の費用と少なくとも 2030年までの期間が必要との専門家の意見を引用して疑問を投げかけ、ボーイングの VC-25Bが何年もかけて「地球上で最も精巧な通設備の一つ」となる米大統領専用機を準備しているのに、カタール王族が好き放題改造してSecurity 上の問題だらけの機体を、エアフォースワンに使用するとの発想自体が信じがたいし許容されるべきものではないと批判的に報道。
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なんか、全てが混乱してますねぇ・・・「F-55」や「F-22 Super」に加え、米空軍も大変だと思います。
ご愁傷さまです。
大統領専用機(VC-25)の後継機問題
ボーイングのいい加減さが再び露呈
「トランプは遅れに不満」→https://holylandtokyo.com/2025/02/26/10890/
「2024年予定から 2-3年遅」→https://holylandtokyo.com/2022/05/31/3291/
大統領専用機に常に同行するこの機体にもご注目
(通称:Night Watch)
「E-4B:国家危機空中指揮機」→https://holylandtokyo.com/2024/01/19/5440/

