F-47行動半径はF-22の約2倍1000nm(1800km)

米空軍トップが CCAと共に以下の指標概要をSNS発表
「導入時期、機数。任務、行動半径、速度&ステルス性」

5月13日、Allvin米空軍参謀総長が「X」に投稿し、一枚の図表(a graphic)に4世代、5世代、6世代機とCCAを含む6機種の「導入時期、機数、任務、行動半径、速度&ステルス性」をシンプルな表現で示し、様々な憶測が広まる次期制空機「F-47」と無人ウイングマン機「CCA(Collaborative Combat Aircraft)の概要説明を試みています。

同SNS投稿でAllvin 参謀総長は、「米空軍は、スピード、機敏性、殺傷力において、今後も世界最高の模範であり続けるだろう。近代化とは、敵にジレンマをもたらす脅威に応じたアセットを、コストを適正な範囲に抑えながら配備することである」とコメントしています

米空軍トップが「なぜ突然」この図を発表し、秘密の塊だった F-47やCCAに関する情報を若干でも暴露したのかに関し、各種米メディアは「意図不明」とし、米空軍関係者の「議会やホワイトハウスの要求ではなく、米空軍の判断による情報提供だ」とのコメントを紹介するのみですが、2026年度予算発表に向け「費用対効果に十分配慮している」とのアピールかもしれません。

図表に示されたF-47とCCAに関するデータは以下の通り
(同様のデータが4世代機F-15E/EX, F-16、5世代機F-22, F-35分も記載)

●F-47
Operational(運用開始?導入開始?)2025-2029
Mission (任務) Air Superiority
Combat Radius(行動半徑)1000+ nm
Speed(Stealth)(速度とステルス性)Mach2+,Stealth++

●CCA 候補2機種
YF Q-44A(Anduril) & 42A (General Atomics)
Operational(運用開始?導入開始?) 2025-2029
Quantity(導入機数) 1000+ Planned
Mission (任務) Air Superiority
Combat Radius (行動半径)700+ nm
Speed(Stealth) (速度とステルス性) Classified, Stealth

5月14日付米空軍協会 web 記事は、各機種の特徴を示す指標「導入時期、機数、任務、行動半径、速度&ステルス性」について、以下のようにコメントしています。

Operational(運用時期)
・F-47と CCAの両機種に関し「2025-2029」と記載されているが、この時期が「導入開始時期」なのか、「IOC(初期運用態勢確立)時期」なのか、何を示すのか不明
・F-47 は導入決定発表時に「トランプ政権下で飛行する」と表現されたが、これはF-47の初飛行が「2029年1月より前」に予定されていることを示す。
・IOCの宣言には一定数の量産機体が必要となるが、米空軍広報担当者は、何機のF-47またはCCAがIOCに必要なのか、また空軍が何時その態勢確立を室言する予定なのか言及を避けた

Quantity(導入機数)
・Kendall前空軍長官は、2023年にNGAD(F-47)は200機が導入目標数と述べていたが、公表図表の「185+」の185はF-22機数と同数であり、1機3億ドル(450億円)と推測されるF-47 価格に配慮し、遠慮がちに「+」と願望を示したのだろう
・なお、Kendell 前長官は「他の事業を優先しで、2026年度予算要求からF-47を削除する予定だった」と、F-47発表時に驚きと怒りを表明している

・CCAに関しては、現在開発中のCCA 第1弾(increment 1)のみで1000機なのか、より安価で低性能といわれる第2弾(Increment 2)やそれ以降のバージョンを含めた機数なのか不明
(CCAに関しては、2024年5月に「2029年までにまず100機」との空軍幹部発言があり、1000機は将来の構想では・・・)

Mission(任務)
・CCA最終候補である2機種の主要任務が「Air Superiority 航空優勢確保」であることが確認された。少なくとも第1弾 CCA 「Increment 1」については、主に5世代有人戦闘機のミサイル連搬役として機能する無人僚機の位置づけが確定した。

Combat Radius(行動半径)
・F-47の行動半径は「1000nm+(1800km+)」と表記されているが、F-22の590nmの約2倍であり、西太平洋における対中国作戦で長い飛行距離が求められる点に配慮している。ただ、グアムから台湾の距離が1700mmで、中国大陸がそれ以上であることを考えると、回数は減少すれど、依然として空中給油は必要不可である
・なお米海車の次期艦載戦闘機FA-XXの行動半径はF-35CやF/A-18よりも25%長い」と最近海軍幹部が発言しており、最大でも 600-700nm程度と推定され、F-47はこれを上回ると推定できる

・CCAの行動半径は700マイル以上で、F-22やF-35よりも長い。
・恐らく「+」記号は、外装燃料タンクを装着した場合の延伸を示しているのではないか

SpeedとStealth(速度とステルス性)
・F-47 の最高は「Mach2+」と表現されているが、「Mach2.5」のF-15よりも遅く、同じ「Mach2+」のF-22と同じレベルとされている。
・ステルス性に関しては、F-35 はCCAと同様に「Stealth」機と表現されているが、F-22は「Stealth+」、F-47は「Stealth++」と表記されている。これは、敵の防空網を突破ため、F-47が F-22よりも大幅に高いステルス性を求めているとする米空軍見解と一致している
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戦闘機のみを列挙して、能力指標としてあまり意味のない「Speed」を掲載するなど、やはり軍事にさほど興味や関心のない「一般国民向け広報を狙った発表」でしょうか?

いか様にも後で修正解釈や説明が可能なように、また専門家や軍事メディアやマニアが解釈に必要な指標の定義を明確にしていないことから、結局のところ、「実態が良く分からない状態」に変化なし・・・と言うことでしょう。

それにしても・・・、5月15日にトランプ大統領が突然「F-55」と「F-22 Super」戦闘機開発を持ち出したことで、ご紹介した5月13日の「F-47」や「CCA」に関する米空軍幹部のアピール作戦は、見事に人々の視界から消え失せてしまいました。宮仕えとは忍耐のいる仕事です・・・。

突然「F-55」と「F-22 Super」戦闘機開発が話題に
「トランプ大統領が突然カタールで」→https://holylandtokyo.com/2025/05/19/11613/

F-47関連の記事
「ロ社F-47決定に反論せずF-35改修追求」→https://holylandtokyo.com/2025/04/25/11392/
「海軍F/A-XXや同盟国との関係」→https://holylandtokyo.com/2025/04/22/11201/
「F-47は優先度低く予算枠外だった」→https://holylandtokyo.com/2025/04/03/11185/
「ボーイング製 F-47に決定」→https://holylandtokyo.com/2025/03/24/11099/

CCA関連の記事
「2候補が地上試験開始」→https://holylandtokyo.com/2025/05/09/11488/
「第2弾CCAはより安価&低性能」→https://holylandtokyo.com/2025/04/30/11421/
「米海軍も空軍CCAの兄弟版を」→https://holylandtokyo.com/2025/04/16/11286/
「2029年までにまず 100機」→https://holylandtokyo.com/2024/05/21/5863/
「大手3社案が選考漏れ」→https://holylandtokyo.com/2024/05/17/5851

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