建設候補地の環境影響調査＆審査を今後2年かけ
調査＆審査が順調なら 2028年度末から建設開始
巨大な送信と受信アンテナを 300km以上離して建設予定
4月21日付米空軍協会 web記事は、米空軍がミサイルや航空機の飛来を早期探知する探知距離 7000km以上といわれる OTH レーダー（Over-the-Horizon Radars）の建設候補地として、米国北西部オレゴン州の2地域を選定し、2028年度の建設開始を目指し、今後2年間の環境影響調査＆審査に入ると報じていますOTH レーダーは、電波を電離層に反射させることで捜索電波を遠方にまで届かせ長距離探知を可能にし、爆撃機、各種ミサイル、水上艦艇など、幅広い脅威の探知を企図するものですが、遠方目標を探知可能ながら、分解能力や識別能力には限界があるセンサーであることから、
作戦連用の中では、OHT レーダー探知目標の位置を他のセンサー（有人航空機、無人航空機、あるいは地上レーダー等）に送信し、脅威の種類や数などを再チェックし、他の情報ソースと総合して対応を最終判断することになります
ミサイル技術等の拡散を受け米本土防衛の強化が叫ばれる中、OTH レーダーの必要性は以前から指摘されていましたが、2023年初頭に中国の偵察気球が米国本土を通過した後、米空軍の働き掛けもあり米議会でも危機感が高まり、2024年度国防権限法で議会が空軍に対し、最大6機のOTHレーダー導入検討を指示していたところでした
公表されたオレゴン州内の建設候補地は 2か所（州軍や連邦政府の管理地で民間活動のない場所）で、高周波の電波を発信する巨大な送信アンテナ2台を Christmas Valley 地区に、受信アンテナ2台を Whitehorse Ranch 地区に設置する計画となっており、送信機と受信機間の電波干渉を抑えるため、2つの地区は約360km離れた場所（東京と京都間の直線距離とほぼ同じ）が選ばれています
なお送信アンテナ地区の用地面積は約2622エーカーで、受信アンテナ地区は約5000エーカーとのことで、2地区の総面積は約7500エーカーとなりますが、これは東京ディズニー「ランド」とディズニー「シー」の面積を合わせた約250エーカーの約30倍となり、広大な用地が確保されていることを意味しています。
なお、米北米コマンド司令官の Gregory M. Guillot 空軍大将は4月初旬に米議会で、OTHレーダーや早期警戒管制機やAMIT 空中目標監視システムやIUSS 海中監視システムへの議会の理解と支援を要望するとともに、これら監視強化が、トランプ政権が主導する包括的ミサイル防衛構想である「Golden Dome（又はIron Dome） 構想」の基盤を形成すると訴えていたところでした
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記事は、「調査＆審査が順調なら 2028年度末から建設開始」としていますが、同レーダーの完成予定や運用開始の目標時期などには触れておらず、また予算規模にも言及していません。
また、完成したOTH レーダーから、どの程度有効な目標の早期発見情報が得られるのか、レーダーの分解能や目標識別能力がどの程度なのかもにも言及しておらず、今後の続報に注目したいと思います。「Golden Dome（又はIron Dome） 構想」の成り行きとともに・・・
トランプ政権「The Golden Dome（又はIron Dome） for America」構想（1月27日）
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