(11月23日 AFP)共同通信(Kyodo)は23日、航空自衛隊の次期主力戦闘機として、次世代戦闘機「F35(F-35 Joint Strike Fighter、JSF)」を採用する方向で防衛省が調整に入ったと報じました。
共同が引用した情報筋によると、40機程度の購入を想定し、2011年度の概算要求に関連経費を盛り込む考えだ。F35は米、英、豪などが出資して開発を進めており、価格は1機約90億円になる見込み。
防衛省は当初、老朽化が進むF-4EJ戦闘機の後継として最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター(F-22 Raptor)」の導入を目指していましたが、米国が同機の生産中止を決めたため、ほかの選択肢を検討していました。(引用終)
本年9月16日、米空軍協会におけるスピーチでゲーツ長官は・・
「中国のような軍備増強している国を考える際、対称的な挑戦、つまり戦闘機対戦闘機や艦艇対艦艇のような挑戦を米国が懸念する必要はそれ程ないだろう。しかし、彼らが我々の機動を妨げ選択肢を狭める能力には懸念をもつべきであろう。彼らのサイバー戦、対衛星・対空・対艦兵器、弾道ミサイルへの投資は、米軍の主要なプロジェクション能力と同盟国の支援能力を脅かす。特に前線海外基地と空母機動部隊に対して顕著である。またそれらへの投資は、足の短い戦闘機の有効性を殺ぎ、どのような形であれ遠方攻撃能力の重要性を増す。」と述べています。
同様の表現は繰り返し行われており、本年1月・2月号のフォーリンアフェアーズ誌掲載の論文で同長官は「中国の投資に対応して、米国は、見通し線外からの攻撃力やBMD配備に重点を置き、また短距離システムから次世代爆撃機のような長距離システムへのシフトを求められるだろう」と論じています。
●「のどから手がでるほど・・」とF-22が欲しいと騒いでいた日本を米側はどのように見ていたのでしょうか? 現在のF-35も似たようなものです。全体の情勢認識や全体の防衛構想・運用構想をどのように設定するとこのような結果になるのでしょうか?冷戦時代、日米は対ソ連の戦略、つまりオホーツク海のオーシャン・バスチヨン(海洋要塞)化を阻止し、SLBMの活動を阻止し、北海道の防衛を一つの基点として一致していました。
●でも今は・・中国を巡る考え方は混乱しているように見えます。ゲーツ長官の上記発言の真意を知るものは日本にいるのでしょうか?次期QDRを巡ってきちんとした日米の摺り合わせはできているのでしょうか?冷戦時代と同様に、中国が5世代機を開発しているから・・それだけで単純にある方向に傾いているのでは・・・。40機というのはF-4の後継分でしょうが、本当に1機90億円で収まるのでしょうか? 収まったとしても現在の防衛予算からすると他の装備品へのしわ寄せは・・・。全体のバランスは・・。
●米空軍は日本から戦闘機を削減し、無人機へのシフトを進めています。米空軍戦闘機パイロットは浮き足立っています。米空軍のF-35初度配備基地選定では、なぜか州軍(National Guard)の基地が多数含まれています。米空軍OBが「無人機へのシフトを受け入れよ」と米空軍HPで語り、空軍参謀総長も本年9月15日「空軍は変化し続ける。全ての戦闘機部隊が現在の任務を維持し続けるとは限らない。無人機に任務をゆずるものも出て来るであろう。空軍の皆がその変化に備えなければならない。」と率直に語っています。
●日本でも率直に語る時期が来ているのでは・・日本にもゲーツ長官のような人が現れないかな・・・。
(付録)
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「Anti-Access環境への対応コンセプト」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-03
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
QDRにおける対中国の新作戦構想に関する部分(Holyland推定)
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「Joint Air-Sea Battle Conceptは平成の黒船」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-09
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