正しい軍事力使用の3原則

mullenarmycollege.jpg昨日お届けしたカンサス州立大学での講演を終えたマレン統合参謀本部議長が、6日付米国防省HPに表題の短文を寄稿しています。その内容が、まさに米軍が直面している課題そのものですので紹介します。大きな不満とやるせない思いも詰まっています。そろそろ交代されるのでしょうか・・・
「正しい軍事力使用の三原則」
『The three principles about the proper use of modern military forces』
原文は → http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=58205
●軍事力は最後の手段にはなり得ないし、なるべきでもない
軍事力は最後の手段にはなり得ないし、なるべきでもない。軍事力はしばしば、その柔軟性や素早い対応力から、最初にベストの道具として使われる。しかし、決して単独の手段として使用されるべきではない。軍事と外交は今やシンプルに別々に考えられるものではない。軍事力の使用は、他の国家の力と共に用いられなければならない。未だアメリカの外国政策は軍事力に頼りすぎている。非対称の戦いに於いては、他の国家力や同盟国の準備が、軍事力投入の前提条件である。
mullennavysof.jpg●軍事力は明確な原則の上に使用されるべき
この原則に沿うことにより、軍事力使用のコストを削減し、成功のチャンスを改善できる。率直に言えば、戦場はもはやフィールドにあるとは限らない。むしろ人々の心の中にある。民間人一人を殺めることは、愛する人たちを危機に陥れ、我々の戦略を数ヶ月後退させる。
●軍事戦略は変化し続けなければならない
軍事作戦には明確な戦略が欠かせない。そしてその戦略は、作戦の推移に伴い変化しなければならない。政策と戦略の間の絶えざる葛藤を喜んで受け入れなくてはならない。言い換えれば、9年間続いてきたこの種の戦いに於いては、成功は繰りかえされなければならず、決定的なものではないである。 我々は勝つ。しかし、ほぼ絶えざる戦略の見直しと微調整を繰り返すことによってのみ勝利することが出来る。修正適応を止めた時が破れるときである
mullenlandon.jpgHolylandは、最初の「軍事力は最後の手段にはなり得ないし、なるべきでもない」あたりは現代の複雑な戦争観を的確に表現していると考えます
4日同議長は、アフガン南部の作戦の重点が、現在のマルージャからカンダハールへ移行することに言及しました。ゲーツ長官の言う「この無慈悲で長引く厳しい戦い」に米軍はどこまで対応できるのでしょうか・・ゲーツ長官の期待する「エアパワーの変革者」も斜陽の空軍に現れるのか・・・
(付録)
「Air-Sea Battle Conceptの状況」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「Anti-Access環境への対応コンセプト」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-03
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07

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