米軍士官に経済復興ノウハウ教育へ

4日付米国防省HPの記事は、イラクやアフガンの地域経済復興には米国社会で身につけた一般的な経済理論は通用せず特別なノウハウが必要であることから、そのような知識付与のためのドクトリンや教科書等を作成する必要がある、とのマレン統合参謀本部議長や米陸軍指揮幕僚大学校長等の発言を紹介しています。
mullenkansas.jpgついにここまで来たか・・の感がありますが、3日のカンサス州立大学の講演でのマレン議長の発言が背景を物語っています。その発言とは・・・
米国の外交政策は、あまりにも軍隊に頼りすぎている。軍の将軍にあまりにも頼りすぎており、国務省を活用していない。
アフガンには全政府を上げた取り組みが必要で、例えば国務省が提供する「ソフトパワー」のアプローチが必要である。
私は主張したい。将来の非対称な戦いに望むに当たっては、他の国家パワーの道具がすべて準備されている場合にのみ軍を関与させるべきであると
経済復興ノウハウ教育について米陸軍指揮幕僚大学で・・
●マレン議長は・・
CERP.jpg我々は若い大尉や上級下士官クラスに、CERPの多くの資金を任せて、何も存在しない場所に仕事を作り出し、コミュニティーを再生し、商業組合を生み出そうとさせている。私はこのような任務を付与する前に、いくらかの訓練や教育を与えることの重要性を感じている。ウォールストリートはこの経済危機を引き起こしたが、我々はでたらめはしない。
注:CERPとはCommander’s Emergency Response Programのことで、恐らく現場指揮官の判断である程度の資金を地域安定化のために使用できる仕組みのようです。
●キャスレン陸軍指揮幕僚大学校長は・・
castel.jpgイラク北部を担当する師団長クラスから話を聞いた。イラクの経済復興のため、CERPや新規産業振興のため多くの労力を裂いている。もし私にこれらに関する基礎知識があったら・・、部下の幹部が基礎教育を受けていたら・・と考えることが多い、との話である。「ウェポンシステムとしての資金マニュアル」として知られるドクトリンは主要な兵器だが、まだ実用的な手引きが欠けている。「緊急展開経済」との野戦マニュアルが必要との意見も聞いている。
●リタン経済教育プロジェクト顧問
Litan.jpg我々の目標は、何もない地域の人たちに企業家精神や何かを始めることへの興味を持ってもらうことである。この取り組みは厳格な計画に基づく軍隊の文化との衝突である。キーポイントは、綿密には計画できない、ということである。綿密に計画して臨むことを捨て去ったとき、数千の花が咲き誇るのである(会場笑)
国務省や政府全体の取り組み不足への不満がついに爆発したマレン議長ですが、軍はよくやりますね・・ちょっとついていけませんね・・。
(付録)
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「Anti-Access環境への対応コンセプト」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-03
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07

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