どんな兵器を:Anti-Access環境対応

昨日に続き、2010QDRの中に示された、anti-access(拒否戦略)環境下での戦いについて見ていきます。本日は兵器候補です。拒否戦略環境下では長距離攻撃能力と長距離ISRが重要だとQDRは述べていますが、その長距離攻撃ISR(LRS:Long-Range Strike)を支えるものとして具体的に名前が挙がったものを紹介します。
●バージニア級潜水艦の長距離攻撃能力
バージニア級潜水艦.jpg潜水艦に搭載する長距離攻撃能力が具体的に何を指しているかは明確ではありませんが、現在のバージニア級攻撃型潜水艦は12門のトマホーク垂直発射装置を備えています。
トマホークは射程12~1600kmであり、通常弾頭を搭載する。戦略任務はオハイオ級戦略潜水艦が担っています。
バージニア級潜水艦自体は、2004年に一番艦が就役したばかりで、現在6隻が活動中で年1隻ペースで生産され、最終的には30隻程度の生産見込みです。
●N-UCAS(Navy Unmanned Combat Air System)
UCAS-NGConcept.jpg本計画のデモンストレーション計画をノースロップグラマンが獲得し、2013年までの契約を結んでX-47Bの開発を進めています。空母離発着型のステルス無人攻撃ISR機で、幅約20m(翼を折り畳むと約10m)、長さ約12mで、2千ポンドJDAM2発を搭載可能。2010年に実機での性能確認や空母搭載許可証明を得て、2011年に海上での空母発着試験棟を行う予定。亜音速飛行、無給油フルペイロードで約3900km飛行可能
●JASSM(Joint Air to Surface Standoff Missile)
JASSM.jpgQDRの記述にある「assessing alternatives for a new joint cruise missile」が本ミサイルを指すのか、新たなものを開発するのかは不明ですが、2003年に開発終了後、改良をしつつ現在約4000発以上が米海空軍に供給済みで生産が継続している長射程巡航ミサイルです。基本型は射程370km程度であるが、2011年に生産判断が予定される射程延伸型は射程900km以上で試験が継続されています。全長4.3m 米空軍爆撃機とF-16、F-18に搭載可能で、今後F-15EとF-35に搭載可能になります。
●米空軍爆撃機の後継
米爆撃機寿命.JPG現在検討中の代物です。ここで注意が必要なのは、「空軍爆撃機の後継」や「長距離攻撃力」との表現が使われ、次期爆撃機やB-Xとの表現が使用されていない点です。ゲーツ長官が「B-3と想定するのはあまり意味がない」と述べ、カートライト統合参謀副議長が「爆撃機後継を考えるなら、我々は数百必要だ」と主張するなど、これまでの爆撃機のイメージとは異なります。無人と有人のシステムを組み合わせた体制を示唆するような発言も見られます。
こうして見てみると空軍の旗色が悪いですね・・・B-2はありますが、F-22はニッチですし・・F-35は海軍も装備するし・・・。米空軍に元気がないのもうなずける気がします
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(付録)
「Anti-Access環境への対応コンセプト」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-03
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
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