あのドローン企業Andurilが有人潜水艦工場に挑む

ボルチモアの港湾施設でトランプ臨席の派手な発表会見
同地ボルチモア造船所の近傍にVirginia級原潜の魚雷発射管など製造工場を
大統領は新潜水艦部品工場の株式を政府が4割取得と
新興テック企業が崩壊した米国造船業界を救えるか?

10月6日、米国防省とAnduril社がトランプ大統領隣席のイベントを造船の町ボルチモアで開催し、無人機や無人艦艇開発で飛ぶ鳥を落とす勢いの同社が、崩壊した米国造船業の復活を期すため、最新のソフトやデジタル生産管理技術を投入するヴァージニア級攻撃原潜の部品工場(工場名Arsenal-2)を同地に建設し、2030年には近隣のGE社やHII Newport News造船所に製品を納入開始すると発表しました。

Anduril社の子会社が経営するサッカー場40個の敷地を持つ大規模な「魚雷発射管やimpulse tanks製造や、将来的にはrafted module組み立てを行う」工場建設には、企業が5500億円、米海軍が4500億円の合計約1兆円が投入され、詳細不明もトランプ大統領が「政府が(Anduril子会社所有の)新工場の株式の4割を保有する」と発言した形で運営される模様です。

同社CSO最高戦略責任者は記者団に
●新工場には、Anduril社が開発し活用中の「ArsenalOS industrial software platform」を生産管理基盤として導入し、工場レイアウト、工場内作業の流れ、そして工場内作業の管理方法等、すべてを把握する造船所を構築する
●自動化できるものは自動化し、精密溶接等の記録をデジタル保持することでトレーサビリティを工場全体で徹底し、全作業の記録追跡を可能として、認証やその他の安全上の重要措置に資するとともに、効率性改善等のために活用する
●また、新人や経験の浅い作業員がより簡単に業務に馴染めるよう、デジタル設計や技術支援といった技術を最大限に活用したトレーニングを導入し、より効率的に短時間で人材育成を図る

米海軍のRobert Gaucher潜水艦建造担当責任者(中将)は挨拶で、
●世界の一部の国が、我々の海洋を自由で開かれた状態に保つルールと秩序に挑戦する中で、「海洋の頂点捕食者」である潜水艦は、抑止力としてまた阻止力として、これまで以上に必要だ
●同時に、我々は(造船&艦艇修理)産業能力を失ったという事実にも向き合わなければならない。今日から、その再建に着手する

7日付DefenseOne記事は本件を解説し、
●新興企業に潜水艦部品製造を委託することは、米海軍が造船生産量を増加させる戦略として、サプライヤーを増やして複数企業に作業を分散させる手法の一端である。
●米海軍は「2026年造船計画」で、「現在、造船作業の約10%のみが分散した拠点で行われているが、我々の目標は50%だ。新造艦は、複数の造船所やサプライヤーにまたがる分散型造船を可能にするモジュール式デジタル設計を優先する」との目標を掲げており、Anduril社の参画はこの流れに沿ったものである
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ヘグゼス国防長官が9月末に行った2027年度施政方針演説「State of the Force」の中で、戦争の未来を研究する新たなプロジェクト「Project Meridian」発足を発表し、テクノロジー業界カリスマ経営者である2名(Anduril社のPalmer Luckey氏とSpaceX社のElon Musk氏ら)を共同リーダーに指定していますが、旧泰然とした軍需産業の「重厚長大部門」の革新を目指してAnduril社が参入することで、米国政府との関係は更に深まるでしょう。

でも、「3K」職場の典型で、若者から毛嫌いされる「斜陽産業」の典型である米国の造船業界に、意を決したAnduril社が、同社の最新技術を持ち込んで挑戦する姿に、シンプルに「感動」する「まんぐーす」です。Anduril社の参入で、町伝統の造船業を支えた祖父母や父母世代は嬉しいでしょうし、子供世代も「町の伝統産業」である造船に回帰してくれるのでは・・・とボルチモア復活にも期待しています

背景には中間選挙に向けた思惑等々も多分にあるのでしょうが、大きな摩擦と対立を引き起こしつつも、前進するトランプ政権やヘグゼス長官の姿勢にも、一目置く「まんぐーす」です。

ヘグゼス国防長官の2027年度施政方針演説
「9月30日のState of the Force演説概要」→https://holylandtokyo.com/2026/10/02/15772/

米海軍の艦艇建造や修理能力が危機的状況
「空母修理遅延の対策検討」→https://holylandtokyo.com/2023/07/27/4836/
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holylandtokyo.com/2020/08/27/534/
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holylandtokyo.com/2019/09/18/6650/
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holylandtokyo.com/2019/07/02/6679/

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