トランプ級巨大戦艦の予想価格はフォード級空母の150%

フォード級空母2兆円に対しトランプ級戦艦は2.8兆~3.5兆円
そんなトランプ級巨大戦艦は15隻で約40兆円とか
崩壊状態の米造船業界に1割以上の増産求める無理筋
完成時には現艦艇規模の6割増となるが・・・
あきれ顔の米議会予算室CBOと米会計検査院CAO

8月5日付Defense-Newsは、昨年12月に米政権が建造発表したトランプ級巨大戦艦(Trump-class battleship:BBG(X))に関する、同日付米議会予算室CBO(Congressional Budget Office)の同戦艦建造コスト等に関する推計レポートを取り上げ、米会計検査院CAOによる米造船業界の崩壊状況に関するレポート(2025年3月)も参考に引用しつつ

最新空母フォード級価格の1.5倍以上が予期される巨大戦艦を15隻も「追加で」導入し、引き続きArleigh Burke級イージス艦(DDG-51)を従来通り年2隻建造するとの米海軍の(夢)構想を、予算確保面からも、米国の造船能力面からも、実質的に遂行不可能とやんわり示唆しています(まんぐーす解釈)

まずトランプ級戦艦を復習すると・・
●完成すれば排水量3万5000トン級の世界最大の水上戦闘艦で、WW2以降に海軍用に建造された艦艇で最大規模となる。ちなみに現有Arleigh Burke級イージス艦(DDG-51)の約3.5倍、Zumwalt級ステルス駆逐艦の2倍に相当
●原子力推進で、「対空&対地&対艦ミサイル」に「高出力レーザー兵器」に「極超音速兵器」に「レールガン」に加え、「核搭載巡航ミサイル」までテンコ盛り搭載
●海軍は、2028年から2056年の間に15隻建造する予定
●2025年12月22日に建造発表時ト大統領は、黄金艦隊「Golden Fleet」構想推進のため「最速、最大、そして100倍強力になろう」、「1994年以降、米国は戦艦を建造していないが、トランプ級は最強な水上戦闘艦の一つとなる」、「米国は海軍艦艇を切実に必要としている。現艦艇には老朽化し疲弊したものもあり、この状況を180度転換する」、「設計は米海軍が主導するが、美的感覚に非常に優れた私も参加し進めていく」と発言

上記構想への「まんぐーす」コメント
●旧日本海軍の戦艦「武蔵」や「大和」、英国海軍の「プリンスオブウェールズ」や「レパルス」を振り返るまでもなく、「大艦巨砲主義」と表現される「巨艦に火力や任務を集約」する発想は、現代の作戦運用面での軍事的合理性と正反対な考え方である。
●米海軍も同じく、航空攻撃や各種ミサイル等が戦況を左右する現状を考慮し、敵から攻撃容易で「格好の標的」となる巨大な単一艦艇に打撃力や任務を集中させる「戦艦時代の発想」から、駆逐艦や潜水艦、無人艦をネットワークで連接する「分散型戦力運用」へと方向転換を図りつつあったはず。

●例えば、同戦艦発表の3日前には、米海軍長官がFF(X)計画として、沿岸警備隊運用中の4000トン級艦艇をベースとしたフリゲート艦「迅速量産導入」を発表したばかり。
●故にトランプ級巨大戦艦建造発表は専門家から極めて冷淡な視線を浴びせられており、「まんぐーす」も「F-47次期戦闘機」や「Golden-Dome」と並ぶ「トランプ独裁の負の側面」と認識。

本日の本題である5日付米議会予算室CBOレポートは
●要求性能から推定する建造コストは、1番艦が約3.5兆円で、その後の14隻は約2.8兆円となる。ちなみに最新原子力空母フォード級の一番艦は2兆円
●従来の建造計画からの転換により、艦艇造船所は2035年までに2025年時の計画よりも12%多くの排水量トン数の艦艇を建造する必要が生じる
●トランプ戦艦1番艦の建造費用見積りは、2025年12月の建造発表以降に上昇を続けており、レポートに記載した3.5兆円との額は、米海軍の当初見積りより約1兆円も膨らんでいる

関連で紹介の造船能力に関する米会計検査院GAOレポート(2025年3月)は
●過去20年間の米国造船業界の低迷ぶりを総括すると、建造船舶数は不十分で、新造船は期待された性能で機能せず、船舶納入は納期より3年も遅れるケースがある悲惨な状態
●この現状をGAOトップは、「非現実的なコストと納期に関する期待が、資源の浪費と建造遅延を引き起こし、結果として、米海軍の建造事業は全ての計画を混迷程度に応じて分類し、延命のため優先順位を付けて対処せざるを得ない状態に陥っている」とまで表現
●ただトランプ戦艦に関しては、初期建造費用は莫大になるが、原子力発電への切り替えで燃料費の節減が見込まれ、長期的には戦艦運用コスト削減が可能と指摘。ただGAOは具体的な節約額の見積りは提示していない。
/////////////////////////////////////////////////

なお米議会CBOは昨年12月のトランプ戦艦発表の1週間後、同戦艦建造コストを推計し1番艦は2.3兆円、2番艦以降は1.5兆円超と発表し、「最新空母フォード級並みの価格」にその時点で既に専門家を唖然とさせていましたが、僅か8か月後に1兆円以上の推定価格上昇で、「議論する気にもならない」レベルに到達しています。

作戦運用面から同戦艦発表時の中国サイドの反応を振り返ると、トランプ大統領による「戦艦建造発表」の翌日12月23日に中国官営英語紙Global Timesは、中国海軍研究所の研究員コメント「この戦艦はDF-21D弾道ミサイルを含む中国の対艦兵器の格好の標的になるだろう」、「弾薬満載時ならより脆弱で絶好のタイミング」と、「あざ笑うかのようなコメント」を掲載しており、珍しく西側専門家の賛同を得たとSNS上で話題となっておりました。

トランプ級戦艦の記事
「米海軍幹部が苦しい説明」→https://holylandtokyo.com/2026/01/22/13703/
「犬も食わないトランプ戦艦」→https://holylandtokyo.com/2026/01/05/13521/

グダグダの米海軍艦艇計画
「沿岸警備隊Legend級を基礎に」→https://holylandtokyo.com/2025/12/26/13499/
「Constellation級2隻で中止」→https://holylandtokyo.com/2025/12/01/13315/
「沿岸戦闘艦LCS 削減へ」→https://holylandtokyo.com/2015/12/22/7818/
「Zumwalt級2隻で中止」→https://holylandtokyo.com/2016/10/29/7540/
「新海軍制服トップ」→https://holylandtokyo.com/2025/08/04/12453/

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ
お支援下さっている皆様、ありがとうございます!そのお気持ちで元気100倍です!!!●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月)なし●ランチサポーターの皆様(1000円/月)mecha_mecha様kenj0126様●カフェサポーターの皆...
タイトルとURLをコピーしました