米議会予算局がGolden Domeコストを国防省見積の7倍と推計

Golden Dome計画の詳細構成不明で推計見積ですが
米議会予算局CBO推計の前提となったシステム構成説明
著名専門家は国防省見積の15倍推計も
中露のミサイル大規模攻撃には不十分で敵を誤誘導する恐れ指摘

5月12日、米議会予算局CBO(Congressional Budget Office)が、トランプ大統領の肝いりで2029年1月までの運用開始を目指している米本土ミサイル防衛構想「Golden Dome計画」の推計コストを試算して公表し、米国防省が直近10年間のコストとして公表している27兆円の7倍に相当する「20年間で約190兆円」との分析レポートを出し話題となっています

「Golden Dome計画」について米国防省は、指揮統制システム、センサー、迎撃ミサイル等からなると断片的に説明していますが、具体的にどんなアセット何個で構成されるかや、具体的なシステム構築計画を一般に説明していないことから、米議会予算局CBOは、2025年1月の大統領令が求めた「極超音速兵器を含む様々なミサイルの脅威から米国を守るため、高度で多層的なミサイル防衛システムの構築」との表現から推定し、仮定のシステム構成を前提とした経費見積を行っています。

国防省は一部議員に関連計画の「機密説明会」を行っているようで、米議会予算局CBOは「米議会に対して、予算と経済に関する中立かつ客観的な分析や情報を提供する専門的な機関」との立場から、「機密説明会」に基づく推計も行っている可能性もありますが、一般国民の意思決定に資するために、公開情報に基づいて一般公開可能な推計を行って公表したものと思料します。

以下では、CBO推計レポートを紹介する同日付米空軍協会web記事から、CBOがコスト推計の前提とした想定システム構成と、コスト推計結果と結果考察の概要を簡単にご紹介いたします。

CBOレポートが推計の前提としたシステム構成
●宇宙配備迎撃システム
→ほぼ同時発射のICBM最大10発や極超音速兵器迎撃用衛星約7800基からなる宇宙システム経費
(宇宙配備迎撃衛星1基のコストは約30億円で耐用年数は5年と見積)

●地上配備の上層Midcourse防衛システム
→3か所の上層Midcourse防衛システム基地に配備のICBM対処用迎撃ミサイル60基(NGIやGBI)
●地上配備の下層Midcourse防衛システム
→4か所の下層Midcourse防衛システム基地に配備のICBMや極超音速兵器迎撃用SM-3 Block IIAミサイル48基

●地上配備のRegional Sector layer防衛システム
→35か所の迎撃ミサイルやレーダー基地からなる、ICBMから巡航ミサイル対処用のTHAAD、SM-6 Block IBやパトリオットPAC-3迎撃ミサイル

米空軍協会web記事によるコスト推計結果と結果考察
●国防省は今後10年間の短期的予想経費のみを公表しており、その額は約28兆円だが、CBOは今後20年間の経費を約190兆円($1.2 trillion)と推計
●最も割合が大きいのは宇宙配備迎撃システムで、約190兆円の6割を占める約115兆円。宇宙配備の迎撃用衛星1基約30億円、耐用年数5年で計算されている

●衛星センサー群構築用の開発・配備・維持コストは約14兆円と推計され、開発中の極超音速弾道追跡宇宙センサー(HBSTS)や空中移動目標追尾衛星(SBAMTIS)等の経費も含まれている
●国防省公表の約28兆円のカバーする範囲は不明で、各軍種が調達する迎撃ミサイルや宇宙アセット予算が含まれていない可能性もあり、単純な比較が難しい

●CBO想定システム構成は、現状のミサイル防衛システムより遥かに高性能だが、北朝鮮のような限定脅威や、ロシアや中国からの小規模攻撃に対応可能なレベルであり、中露から大規模攻撃を受けた場合には「圧倒される:overwhelmed by a full-scale attack」規模のものである。
●ゆえに、想定したGolden Domeは、小規模攻撃を抑止できたとしても、大規模攻撃への対処能力に限界があり、敵対国に大規模攻撃を促す可能性があるとも解釈可能。従ってGolden Domeの効果は、敵対国が米国の防衛能力をどう認識し、どう対応するかによって左右され不明確

●同様の見積は、シンクタンクAEIの国防予算専門家Todd Harrison研究員も提示しており、システム構成により、38兆円から360兆円の範囲になるとの推計を公表している

●Golden Dome計画責任者のGuetlein宇宙軍大将は、以前から「不正確な前提に基づく推計」を批判し、2026年3月の会議で「既存の通信基盤や関連インフラを活用することで、基本見積範囲内にコストを抑えることに注力」と述べつつ、「真のコスト削減には、エネルギー兵器、人工知能、高度データ処理といった次世代技術に頼る必要がある」、「各研究機関と連携し、1迎撃当たりのコストを削減し、迎撃兵器数量確保を目指している」と、大きな課題が残っていることも示唆している
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推計の前提が「バラバラ」な見積を、これ以上突っ込んで議論しても有意義とは考えにくいのですが、国防省は「トランプ大統領の指示には逆らえないから、面従姿勢で対応しておくが、技術面とコスト面と効果面の全てで無理があるため、大統領任期の2029年1月以降は出口戦略に切り替え」との「腹」だと考えておくのが無難だと思います。

「Golden Dome特需」なんかを当てにしていると、ツボにはまると思います・・・。研究者の皆様も・・・。

Congressional Budget Office(CBO:米議会予算局)推計レポート
https://www.cbo.gov/publication/62379

Golden Dome計画関連
「追加で1.5兆円」→https://holylandtokyo.com/2026/03/26/14212/
「2大企業急転換は月面装備狙い?」→https://holylandtokyo.com/2026/03/02/14023/
「宇宙配備迎撃ミサイルは無駄」→https://holylandtokyo.com/2026/02/09/13890/
「責任者が少し語る」→https://holylandtokyo.com/2025/12/11/13414/
「ブースト段階の宇宙兵器契約」→https://holylandtokyo.com/2025/12/02/13307/

関連大統領令と責任者宇宙軍大将
「総責任者の大将」→https://holylandtokyo.com/2025/08/05/12306/
「大統領令」→https://holylandtokyo.com/2025/02/14/10810/

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