海自護衛艦にトマホーク巡航ミサイル「Block IV」搭載完了
陸自基地に長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」配備開始
3月末に防衛省から、自衛隊が取り組む「スタンドオフ攻撃能力」強化について、「海自艦艇へのTomahawk搭載完了」や「陸自部隊への国産長射程ミサイル配備開始」との発表がありましたので、公表された関連スライド資料(リンクを末尾掲載)も含めてご紹介しておきます。また航空自衛隊関連についても、ネット情報から概要を紹介いたします
防衛3文書の今後の改訂も見据え、急速に状況が変化しつつありますので、自衛隊の状況も確認しておきます。
【海自艦艇へのTomahawk搭載完了:護衛艦ちょうかい】
(3月27日付の防衛省発表)
●米国へ派遣中の護衛艦「ちょうかい」は、米海軍の支援を得て、2025年10月中旬から、Tomahawk発射機能付加に必要な艦艇の改修や訓練を行い、無事に完了し、トマホーク発射能力の獲得を確認
●今後2026年夏頃までに、実射試験等を通じ、乗員練度を含め、実任務に従事できる確認を行う
まんぐーす注
●防衛省は当初、最新型の艦艇攻撃可能な「Block V」を2026〜27年度に取得計画だったが、安全保障環境悪化を受け、より迅速導入可能な「Block IV」を2025年度から前倒し取得に変更。よって護衛艦「ちょうかい」が搭載完了したのは「Block IV」
●防衛省のTomahawk調達予定は、2025年度にBlock IV約200発、2026-27年度にBlock V約200発
●Block IVもBlock Vも、発射後の目標変更、飛行経路再指定、ミサイル状態の送信、終末誘導の画像送信が可能な優れものですが、搭載シーカーの差で艦艇攻撃能力有無の違いあり。また対戦時戦能力や弾頭能力、整備性面で能力差が。
【陸自部隊への国産長射程ミサイル配備開始】
(3月31日防衛省発表:読売報道引用)
●3月31日、長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」が、国内で初めて陸上自衛隊健軍駐屯地(熊本県)などに配備
●熊本の健軍基地には、射程1000㎞以上で中国沿岸部や北朝鮮にも到達な「25式地対艦誘導弾」が配備。発射装置は車両運搬の自走式で、従来防衛省が「12式地対艦誘導弾能力向上型」と呼称してきたものを、長射程化し名称変更。2027年度には富士駐屯地(静岡県)にも配備
●なお、「25式地対艦誘導弾」の艦発型、空発型をそれぞれ、2027年度に海自護衛艦(てるづき)と空自戦闘機(百里F-2)に配備
●同日、別のスタンド・オフ・ミサイルである「25式高速滑空弾」(旧:島嶼防衛用高速滑空弾)が、富士駐屯地(静岡県)に配備。射程数百㎞で、迎撃されにくい高高度を超音速で飛翔。今後、射程延長改良に取り組む。
●この「25式高速滑空弾」は、2026年度に上富良野駐屯地(北海道)とえびの駐屯地(宮崎県)にも配備予定。
●小泉防衛相は3月31日の閣議後記者会見で長射程ミサイル導入について、「抑止力、対処力を強化する上で極めて重要な取り組みだ」と強調
【航空自衛隊が導入・研究中の主要スタンド・オフ・ミサイル】
●JSM (Joint Strike Missile): F-35A搭載予定のノルウェー製の対地・対艦巡航ミサイル。射程約500km。
●JASSM-ER (Joint Air-to-Surface Standoff Missile-Extended Range): F-15J(改修機)等に搭載想定の米製対地巡航ミサイル。射程900km以上。
●LRASM (Long Range Anti-Ship Missile): F-15Jに搭載想定の米国製対艦ミサイル。射程900km以上。
●12式地対艦誘導弾能力向上型 (空発型): 国産対艦ミサイル。既存12式を長射程化し、F-2等に搭載。2027年度の運用開始目指す。
●25式高速滑空弾(旧:島嶼防衛用高速滑空弾): 島嶼部侵攻に対し、遠方から高速精密攻撃用
以下でご紹介の防衛省公開の参考資料一例(防衛力の変革の方向性①より)

参考となるスライド資料
●2025年3月:スタンドオフ攻撃能力について
https://www.mod.go.jp/rdb/n-kanto/kichi-syuhen/jieitai/F-2/F-2/071205bouei.pdf
●2026年3月:防衛力の変革の方向性①
スタンド・オフ防衛能力/統合防空ミサイル防衛/太平洋・シーレーン防衛
https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/meeting/henkaku/pdf/20260304b.pdf
●2026年3月:防衛力の変革の方向性②(同志国との連携)
無人アセット防衛能力/宇宙領域/サイバー領域/電磁波領域/指揮統制・通信/同志国との連携
https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/meeting/henkaku/pdf/20260319b.pdf
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自衛隊の弾薬備蓄量の現状は? 「たまに撃つ 弾が無いのが 玉に傷」との自虐的川柳が、一昔前には自衛隊内で聞かれたのですが、現状はどうなのでしょう? ミサイルや弾薬性能を陳腐化させることなく、適正量を旨く訓練で計画的に使用し、ミサイルの製造ラインを維持しつつ、ミサイルの性能向上研究開発も並行的に進められればベストなのですが・・・
極東米空軍の空対空ミサイル備蓄量は、2025年10月のブログ記事で、米国でのWar-game結果を引用して「1週間分」程度以下だとご紹介しましたが、上記の自虐的川柳でググってみると、「3日」以下とか、「3回」以下とか、「出撃2回」以下とか、様々に表現されている方がいらっしゃいます・・・
極東でAMRAAM在庫が1週間しか持たない
「2024年のWar-gameに言及の記事」→https://holylandtokyo.com/2025/10/01/12909/
薄く関連する記事
「陸自が豪州で初ミサイル射撃」→https://holylandtokyo.com/2023/07/28/4905/
「空自がF-35用のJSM契約」→https://holylandtokyo.com/2019/03/18/6783/


