「独エアバス社が協力を望まないなら、本件は終わりだ」
独側がプロジェクト規定を守らない・・と痛烈批判
大きく「?」と書いたスライドを示し、仏独政府の決定待ちだと
「我社は契約書を遵守しているが、独側は順守するつもりがない」と指摘しつつ、大きく「?」と書いたスライド1枚を示し、「私には(FCASの今後は)分からない」、「両国の政府が交渉すべき段階にある」と突き放した表現で会見を進め、「仏政府から依頼があれば、我社独自で開発を継続でき、現予算よりはるかに低いコストで完成可能だ」と言い切っています。
2月27日の記事でご紹介したように、独側は既に「独と仏が別々に2つの異なる機体開発:two-fighter solution」方向に実質的には向かっており、水面下で別のパートナーを模索しているとも言われており、独中核企業エアバス社CEOも「両国政府が決断すべきこと」と、「下駄」を顧客である独政府に預けて「その時」を待つ状態にあることを2月19日に会見で示唆しています
仏と独の「どちらが良い・悪い」を議論するつもりはありませんが、巨額の資金と雇用が絡む戦闘機プロジェクトの「ドロ沼側面」を両サイドから垣間見る機会として、仏ダッソー社CEOの3月4日発言もご紹介しておきます。
Eric Trappierダッソー社CEOは会見で・・・
●2017年のFCAS計画開始当初に、仏は関係国間の合意文書でFCAS戦闘機リーダーに指定され、仏内で我社が主導することに決定した。参加者全員が完全に満足しなかったかもしれないが、この規模のプロジェクトにはリーダーが不可欠だ
●下請けの業務状態に判断や機体の形状、飛行試験の責任の所在を明確にする等には真のリーダーが必要だが、独エアバス社は我社の権限を縮小したいとしており、この点には合意できない
●旅客機の製造をしていない我社が旅客機技術を持たないのと同様に、独エアバスは戦闘機技術を持っていない。本プロジェクトを通じ戦闘機を学びたいとの気持ちは理解するが、少し学習したからと言って、急に共同リーダーにはなることはできず、なる必要はない
●我がダッソー社は本件に関して「傲慢だ」と言われているが、どちらが傲慢なのかを改めて問いたい
●我々が合意契約を遵守しているのに、独エアバスは合意を守ろうとせず、我々との問題解決を目指す姿勢を示すことなく時間を浪費しているだけでなく、我社に意思表示する前に、独労働組合と独関連工業会と内々に話を進め、独労働組合が「ダッソーとの提携は続けない」と昨年12月に発表し、独工業会が2月6日に「two-fighter solution」支持を表明するなど、独側は不誠実だ
●(会見終了後に記者団に対し、)仏政府も我社も「two-fighter solution」を支持していないが、もし仏政府が私に開発を依頼するなら、我社は独自開発が可能であり、引きうけるだろうし、現予算約9兆円より遥かに低コストで完成可能だろう。今の段階に至っては、両国政府が協議して判断すべきだ。(両国政府の判断に関する質問に対し、)特にコメントすることは無い
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独エアバス社を中心に、独首相やFCASオブザーバー参加国ベルギー国防相の発言から独側の主張をご紹介した2月27日の記事で触れたように、仏側は「機体は空母運用可能で、かつ核兵器搭載能力を持つ必要がある」「これは合意事項だ」とする一方で、
独メルツ首相は2月のインタビューで「仏側が望む機体をドイツは求めていない」と言い切るなど、本件は「the matter is dead:この件は終わり」な状態のようです。
ただ注意が必要なのは、本件で欧州の中核である仏独間に安保面で大きな亀裂が生じたと考えるのは必ずしも正しくなく、米国の「西半球重視」と「欧州突き放し」姿勢を受け、欧州諸国が「仏による核の傘拡大」や「対露のための広範な欧州安保体制の再構築」に向けた取り組みを、3月2日の週に加速する発表や共同合意を発表していますので、その件については別の記事で取り上げたいと思います。
仏独西によるFCAS関連
「独首相はもう終わりだと」→https://holylandtokyo.com/2026/02/27/14019/
「独がGCAPへの参加を検討」→https://holylandtokyo.com/2026/02/13/13929/
「FCASは仏独対立で分裂危機に」→https://holylandtokyo.com/2025/07/03/11970/
「ベルギーも関与へ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/26/4766/
「独仏中心に第6世代機開発」→https://holylandtokyo.com/2018/04/11/7020/


3月4日、仏独スペインによる次世代戦闘機開発FCAS計画を巡り、仏企業連合の中核ダッソー社(Dassault Aviation)CEOのEric Trappier氏が記者会見を行い、「(独側中核企業の)エアバスがダッソーとの(合意済FCAS規定に沿った)提携を望まない姿勢を維持するなら、この件は終わりだ」等と独側のFCASに対する姿勢を厳しく非難し、