次期ICBM計画の見直し状況:2030年代前半にIOC

2026年中に見直し後の新プラン報告予定とか
当初2029年IOC計画を5-6年後ろ倒しに
当初総額11兆円が21兆円に膨張とされた総経費には言及無し

2月17日、米軍事情報サイト「Breaking Defense」が米空軍の巨大プロジェクト統括責任者であるDale R. White空軍大将とのインタビュー内容を報じ、2020年に米空軍がNorthrop Grumman社と契約したものの、その後杜撰な計画とコスト見積もりが判明し、2024年前半から法律に基づく「計画やり直し」を求められている次期ICBM計画(LGM-35A Sentinel計画GBSD)に関し、

同大将が、2026年中に見直し計画を完成させる予定で、その中では「当初計画で初期運用態勢確立IOCを2029年としていたところ、2030年代前半に遅らせること」や、Minuteman IIIの後継ICBMである新開発のICBM(LGM-35A Sentinel)の初めての発射試験を2027年までに実施すると語ったと明らかにしています。

2027年末までの時間が必要と言われていた計画全体の再構築を、「2026年中に完成」と言及したこと、また「米会計検査院GAOが2028年3月以降を予期」していた初発射試験が前倒しになるとの同大将発言が注目されていますが、最も注目されている総経費には言及がなく、本件を巡るモヤモヤが再燃しています。

なお本計画の当初経費総額11兆円は、2024年時点で既に21兆円以上にまで膨張しており、米空軍年間予算2年分の「天文学的」超過額に全米が衝撃を受けた経緯があり、更にその後、450個のICBM格納サイロ新設の必要性が判明し、関係者も「茫然」となり現在に至っているプロジェクトです。

この記事でお伝えする内容は以上ですが、2025年9月以降大きなニュースにならず、本ブログで取り上げてこなかった話題ですので、並み居る「死屍累々」の兵器プロジェクトの中でも、群を抜いて「でたらめ」な兵器システム管理と次期システム計画の経緯については、末尾の過去記事リストや以下の簡単な経緯復習で振り返って頂きたいと思います。

 

【復習:次期ICBM計画の昏迷】
●1960年代から運用開始のICBM施設の老朽化や70年代運用開始のMinuteman Ⅲミサイルを含む維持部品枯渇に現場から悲鳴が上がり、また部隊士気の低下から規律違反が激増する深刻な部隊状況も踏まえ、何回もの先送りを経て2020年にようやくNorthrop Grumman社と契約した次期ICBM計画は、50年以上実質的に関連施設を放置してきた結果、契約後に細部検討が開始されると、現施設の図面や細部設計に関する知見が既に散逸&喪失していたことが判明(米軍の計画責任者は更迭処分)

●また、ICBM配備基地と関連施設が、交通の便が悪い米本土北部の辺鄙な場所に広く分散配置(5州にわたり分散し、日本の中国&四国地域を合わせた地理的範囲)され、離散した施設をつなぐ地下通信&指揮統制インフラの近代化に莫大な経費が必要なことや、「秘密度の高い」施設建設には、高度なセキュリティー審査を通過した要員しか作業に関与できないことから、人材確保面からも高コストと工期遅延が生じることが判明。

●以上の状況から、2024年1月に計画からのコスト超過と開発期間遅延で法律(Nunn-McCurdy Act)に抵触することが判明。米国防省が同計画の再検討を求められ、同年7月に米空軍が、本計画に対する2020年9月の「Milestone B承認(全体スケジュールと技術見積もりと経費等含む)」を取り消し、約2年で計画全体を再検討し「Milestone B承認」再審査を行い適切に計画管理すると説明

●なお計画再検討中の2025年5月、米空軍は従来計画の大前提となってきた「現在のICBM格納サイロの再利用」では通信インフラ等の再構築が複雑でコスト大幅増を招くと判断し、450個のサイロ再建設が必要となったと発表。これによるコスト増と追加期間については精査中と説明。

●一方、「Minuteman Ⅲ」に替わる新型ICBM(LGM-35A)開発に大きな問題は発生しておらず、2023年だった初発射試験予定が計画全般の見直しの影響もあり遅延しているものの、固体ロケットモーター等の開発試験等が進められている。
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日本の皆様に繰り返し「まんぐーす」が申し上げたいのは、米軍の実態からすると、核兵器との究極の兵器は、導入時には大きな議論となるものの、一端導入されると、「使用される蓋然性が極めて低い兵器」であるがために国民や政府や軍高官からの関心が急速に低下し、問題が生じた時にのみヒステリックに取り上げられ、その場しのぎの「対策」や「小手先の改善」が繰り返されるだけで、

関連兵器や装備や施設の維持整備は「後送り」「低優先事業」となり、気の遠くなる単調な業務に就く核兵器操作&維持整備要員には「他の分野で使えない人材」や「特異なメンタル特性を持つ人材」が集積され、劣悪な勤務環境の中で部隊士気は「崩壊の一途」をたどり、部隊能力点検での「カンニング」や「不正行為」横行、服務規律違反の増加、部隊転属を切望する兵士による「裏工作」など、組織崩壊の「見本市」状態が出来上がるという今も続く歴史の教訓です。

超巨大次期ICBMシステム整備の苦悩
「老朽ICBMの更なる延命が可能!?」→https://holylandtokyo.com/2025/09/17/12771/
「サイロ再利用不可判明」→https://holylandtokyo.com/2025/05/14/11544/
「ずさんすぎる再承認」→https://holylandtokyo.com/2024/07/10/6109/
「国防次官あきらめムード」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍だけでは対応不能」→https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
「法抵触の議会通知」→https://holylandtokyo.com/2024/01/29/5478/
「長官が苦悩を語る」→https://holylandtokyo.com/2023/11/22/5244/

米軍核兵器の惨状
「初のオーバーホール」→https://holylandtokyo.com/2017/05/17/7308/
「移動式ICBMは高価で除外」→https://holylandtokyo.com/2016/06/17/7624/
「米空軍ICBMの寿命」→https://holylandtokyo.com/2012/09/24/9086/
「米国核兵器の状況」→https://holylandtokyo.com/2011/03/06/9644/

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