米海軍沿岸戦闘艦が中国建設のカンボジア海軍基地に寄港
カンボジアの姿勢に中国の反応を世界が注目
米陸軍士官学校卒の息子カンボジア首相2023年誕生以降の流れ
中国犯罪組織による中国人被害に中国ご立腹の背景も
タイVSカンボジア国境紛争調停で米国の立場上昇
2017年に中断の米カンボジア共同演習復活へ
米陸軍士官学校卒の新首相(フン・セン首相の息子フン・マネ首相)が2023年夏に就任以降、様々な事情や情勢変化の中で、少しづつ米国との関係を復活させ、2017年以降中断状態の米カンボジア共同演習再開準備が始まり、同時にASEAN内で中国の代弁者としてふるまってきた姿勢を修正しつつある状況を示唆していますので、記事から概要をご紹介します
Defense-News記事から経緯を振り返ると
●2012年頃からASEAN内で、中国の南シナ海での乱暴な領有権主張が拡大する中、行動規範COC(Code of Conduct)策定議論が始まったが、カンボジアは中国の代弁者としてASEAN内でのCOC議論に反対し、制定議論を遅延させる
●2017年、米カンボジア演習「Angkor Sentinel」をカンボジア側から中止
●2020年、軍事クーデターでミャンマーが軍政となり、中国が軍政を支援してレアアース利権を狙っていると世界が警戒する中、カンボジアが世界で孤立していた軍政ミャンマー政府と接触を開始し、ASEAN加盟国に衝撃
●2021年、2019年頃から南シナ海に面するカンボジアのReam海軍基地(2012年に米豪支援の災害対処施設建設済)で、中国による海軍用港湾施設建設疑惑が持ち上がり、米国駐在武官が両国協定に基づき同基地視察を要求するも、基地施設へのフルアクセスを拒否され外交問題化。同年末に米がカンボジアへの武器禁輸発動
●2023年夏、フン・セン首相の息子フン・マネ氏(米陸軍士官学校卒)が首相就任
●2024年末頃には、米豪支援の災害対処施設はReam海軍基地内から撤去され、中国整備港湾がジブチの中国軍桟橋施設とほぼ同じ形状で、中国国産空母福建を含む中国海軍艦艇を収容可能な規模に整備され、同海軍基地に至る高速道路や近傍空港も整備されたことを衛星写真で確認。中後艦艇が2隻常駐の模様
●一方でカンボジア政府は、Ream海軍基地に他国の艦艇受け入れも開始し、これまでに米(2024年12月に8年ぶりに近傍港湾に寄港)、ベトナム、日、露、豪、加の艦艇が寄港の実績あり
●2024年、中国の犯罪シンジケート組織がカンボジア国内に拠点を設け、カンボジア人と協力して、中国人も被害者となる人身売買や詐欺行為で巨額の富を得たことに中国政府が激怒し、カンボジアへの資金援助削減
●2025年年初、15年以上対立が続く、タイとカンボジア国境での国境紛争が激化し、細部は不明も双方で数千名規模の犠牲者が発生の模様。米国の仲裁で停戦が成立し、カンボジアがトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦。(記事は中国がタイの軍事作戦を支援していると記述)
●(カンボジアがASEAN内での姿勢を変化させたと記事は言及していないが、)ASEAN外相会議は最近、行動規範(CoC)が最終的に実行されると発表。また、ミャンマーで最近行われた中国が支援する仕組まれた選挙を、ASEANとして承認しないと発表
Defense-News記事掲載の地域専門家の見方
●カンボジアの大学教授 → カンボジアにとって中国は引き続き重要な貿易相手国であり、かつ投資家でもあることから、中国関係を犠牲にして、単純にカンボジアが米国へ向かう戦略的転換だと表現するのはmisleadingな解釈
●タイの政治評論家 → 米海軍艦艇のReam基地での受け入れは、中国の地域影響力への挑戦で、中国が外交的のみならず、軍事的にも報復的対応を示す可能性が高い。今後数か月のうちにカンボジアにレッスンを与えるだろう。そうしなければ、米国が隣国のラオス(カンボジア同様に中国との関係が深い)に手を出すと、中国は考えるだろう
●豪州の海洋安全保障専門家 → 中国はReam海軍基地へのインフラ投資や支援を通じ、現在でも明らかに同基地への優先的アクセスを享受。ただし、カンボジアは依然中国に大きく依存も、米国の新たな関与は、その様子が慎重であっても、従来とは異なる戦略バランス導入の試みである
●米インド太平洋軍司令官Paparo大将 → 「Angkor Sentinel」演習が2026年後半か来年に再開され、米国の武器禁輸措置が解除される。米カンボジアのパートナーシップは力強い上昇軌道に乗っている。
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先日ご紹介した「接近しそうな雰囲気がないタイと米国」についてご紹介し、1月発表の米国の国家防衛戦略NDSを受け、ユーラシア大陸のASEAN諸国と米国関係が希薄化していくのでは・・・との懸念をご紹介しましたが、この文脈の中で「カンボジアと米国」の関係は如何なる方向に向かうのでしょうか・・・
中国の経済崩壊がますます顕在化しており、カンボジアの動きにも、「金の切れ目が、縁の切れ目」的な背景があるような気がいたしますが、米国の動向と併せ見て行きたいと思います。
タイの視点で米国の動きを
「タイと米国関係の希薄化」→https://holylandtokyo.com/2026/01/26/13635/
カンボジア海軍基地で中国港湾施設建設と米国関係
「8年ぶり米艦艇寄港」→https://holylandtokyo.com/2024/12/17/10464/
「その後・疑念深まる」→https://holylandtokyo.com/2022/06/15/3354/
「中国進出警戒感高まる」→https://holylandtokyo.com/2021/06/18/1921/
カンボジアのフン・マネ新首相
「米陸軍士官学校卒の息子」→https://holylandtokyo.com/2023/08/04/4896/


2月6日付Defense-News記事は、1月最終週に米海軍沿岸戦闘艦「USS Cincinnati」がカンボジアのReam海軍基地(中国資金で中国艦艇が使用可能な規模に2025年までに整備完了)に寄港したことを報じるとともに、過去10数年にわたり独裁を敷いたフン・セン首相の基で中国寄り姿勢を採ってきたカンボジアが、まだまだ経済的に中国依存度が高い状態にあり、米艦艇受入れによる中国からの反発を予期して身構えている状況にあるものの、