大統領を逮捕する法執行作戦に対する国防省支援との枠組み
米陸軍特殊作戦航空旅団のヘリとDelta Forceが主担当
大統領邸宅→強襲揚陸艦→グアンタナモ基地→ニューヨーク
1月3日米国東部時間未明から実施された、ベネズエラのNicolás Maduro大統領を首都カラカスの軍基地内にある大統領公邸で捕獲し、米国の法執行機関による逮捕を支援する目的の米軍作戦「Operation Absolute Resolve:絶対的な決意作戦」について、3日付の軍事メディア記事3本(USNI Defense-News AFAS)から、ベネズエラ大統領夫妻を米海軍の強襲揚陸艦USS Iwo Jima にヘリで移送完了する同日午前3時29分までの「軍事作戦(法執行機関等の関与も含む)」部分についてご紹介します。
ご紹介する内容は、FOXテレビ3日朝のトランプ大統領インタビュー番組や、フロリダのトランプ大統領邸(Mar-a-Lago)で大統領・国務長官・国防長官と共に会見を行ったCain統合参謀本部議
長による3日早朝の作戦概要ブリーフィングの中身や、軍事メディア記事3本が引用するABCニュース、FOXニュース、WSJ紙記事と、軍事メディア記事解説部分の概要です。
●Caine議長は会見で、「ベネズエラのMaduro大統領夫妻を逮捕する法執行作戦に対する国防省による支援との枠組みの作戦だ」と説明し、作戦は天候不良のため4日間延期された後、「1月2日遅くにトランプ大統領が実施を命じた」と述べた
●トランプ大統領は「天候が完璧でなければならないため、雲が消えるのを待って作戦の実施を数日間延期した」「4日間待った。そして(今朝)突然、空が開けて、『やろう!』と決心した」と語っている
●(結果として、)本作戦は歴史上注目すべき日、つまりパナマの麻薬密売独裁者Manuel Noriegaを「Operation Just Cause」作戦で捕獲してからジャスト36年目となる日に遂行された。
●Caine議長は会見で、「任務の中核であるMaduro大統領夫妻の拘束移送と米国法執行機関要員の輸送は、米陸軍第160特殊作戦航空旅団所属のヘリと同乗のDelta Forceが主担当し、米軍の爆撃機、戦闘機、情報収集機、偵察機、監視機、回転翼機を含む150機以上の航空戦力と、カリブ海に展開した空母フォードなど十数隻の艦艇が支援」と説明
●Caine議長は会見で、「金曜日2日午後10時35分から、最終的に20か所から150機の航空機の発進を開始」と説明した。米宇宙軍と米サイバー軍も「様々な効果を生じさせて侵攻部隊の作戦を支援」し、「CIA、NSA、国家地理空間情報局などの情報機関も参加」、「任務には首都の電力供給停止も含まれていた」と説明
●参加航空機(報道されている範囲で)
米陸軍:第160特殊作戦航空旅団所属のヘリ
米海軍:F/A-18空母艦載機、EA-18電子戦機、E-2早期警戒機、
米空軍:B-1B爆撃機、F-22戦闘機、F-35A戦闘機、MQ-9無人偵察攻撃機、RQ-170無人ステルス偵察機等のISR機
海兵隊:F-35B戦闘機
その他、所属不明の各種無人機
●上記航空戦力の配備場所
・Caine議長「作戦中、米軍機が西半球の陸海上の20カ所から展開」
・Puerto RicoのRoosevelt Roads米海軍基地に、12機のF-22(正規軍Langley-Eustis, Va.)、F-35A(Vermont州空軍)、海兵隊F-35B、米空軍C-130(タイプ不明)
・その他は、米本土の米軍基地(B-1はテキサスのDyess空軍基地)、米領バージン諸島、ドミニカ共和国、エルサルバドル、空母フォードとUSS Iwo Jima等々から
●作戦の構想や流れ
・Caine議長「米軍は数ヶ月に渡り、Maduro大統領の居場所や食事、ペットや服装の詳細など、大統領に関するあらゆる情報を収集して把握し、分析し、計画し、報告し、訓練し、何度もリハー
サルした」、「正しく行うためではなく、間違えないようにするために:Not to get it right, but to ensure we cannot get it wrong」
・Caine議長「統合航空部隊はベネズエラに接近して防空システム無効化を開始し、目標地域(Maduro大統領邸宅)への陸軍ヘリの安全な移動のために武器で攻撃」、続いて「法執行官を含むヘリ突入部隊が海上を高度約30mでベネズエラに侵入し、午前1時1分(以下時間は米東部時間Eastern time)にMaduro大統領邸宅到着」
・Caine議長「作戦は数日延期されたが、昨夜はちょうど天候が回復し、熟練したパイロットが何とか飛行可能なレベルに経路が確保可能となった」
・SNSや各種メディアは、ベネズエラ首都カラカス上空を十数機のヘリコプターが飛行し、ベネズエラ国内十数カ所の防空施設が攻撃されたと報道
・トランプ大統領「今回の攻撃には非常に大きなリスクが伴い、悪い結果に終わる可能性があった」、「昨夜、多くの人々が命を落としていたかもしれない。多くの尊厳が失われていたかもしれない。多くの装備が失われていたかもしれない」
・トランプ大統領「Maduro大統領は要塞のような邸宅で厳重に警備されていた」、「我が部隊は、彼らが突入した邸宅と同じ建物を準備し、事前訓練を行っていた」、「(部隊突入の前に、)首都カラカスのほぼすべての照明を消した」、「彼は鋼鉄の壁で囲まれた安全空間に逃げ込もうと
したが、(周到に準備した部隊の襲撃が急で)到達できなかった」、「Maduro大統領が安全空間に閉じこもったら、巨大バーナーで壁を切り裂く計画だった」
・トランプ大統領「作戦参加隊員の数人が負傷したが、復帰し、容態は悪くない模様だ」、「航空機の損失はなかったが、ヘリがかなりの被害を受けた」、Caine議長「航空機1機が被弾したが、無事に作戦基地に帰還した」
・トランプ大統領「第二波(攻撃部隊)待機しており、必要であれば、再び出動する準備はできている」
・米当局者ら「午前3時29分までにMaduro大統領夫妻は米海軍の強襲揚陸艦USS Iwo Jimaに移送され、その後裁判のため米国へ連行された」
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約9分の動画で作戦を解説
https://x.com/i/status/2008124958137057310
ベネズエラ軍は露製S-300防空ミサイルと中国製防空レーダーで防空体制を整えていたが・・・
https://x.com/i/status/2008203881952768345
なお、Maduro大統領夫妻は、強襲揚陸艦USS Iwo Jimaに移送後、キューバのグアンタナモ海軍基地へ空輸された後、FBI準備の航空機で、3日の午後遅くニューヨーク州のスチュワート空軍州
兵基地へ空輸され到着したとのことです
習近平が派遣した中国特使が、米軍による襲撃開始約2時間前までMaduro大統領公邸で同大統領と会談等を行い、中国によるベネズエラ支援をアピールし、その結果Maduro大統領の居場所を全世界にSNS等でライブに近い状態で配信して米軍を大いに助けたのでは・・・と話題となるおまけ付きの作戦となりました。
今後さまざまに話題となり、ハレーションを引き起こすであろう「Operation Absolute Resolve:絶対的な決意作戦」を、軍事作戦側面からとりあえずご紹介しておきます。
【ご参考】昨年ノーベル平和賞を受賞したべネズエラ反政府運動指導者マチャドさんは、今回のトランプ政権の軍事行動を称賛。また米国識者の穏健反応は、「ケル・フリスビー法理」との最高裁1952年判断でマドゥロ大統領夫妻裁判の合法性には影響なしが確定済だからとの論考 → https://cigs.canon/blog/security/2026/01/05_1320.html?fbclid=IwY2xjawPIa1pleHRuA2FlbQIxMQBzcnRjBmFwcF9pZBAyMjIwMzkxNzg4MjAwODkyAAEeB_5-isAcI-LShqn40XYXq3KOVePh6eW1VSN0-ml7OEDuq-FgAKW9yoVrU1E_aem_-EAZk6bR6qswD9dzQyD4cA
米ベネズエラ間の緊張
「米がプエルトリコ基地再開」→https://holylandtokyo.com/2025/11/10/13145/
「中東に空母ゼロの衝撃」→https://holylandtokyo.com/2025/11/05/13085/
「最新空母を中東からカリブ海へ」→https://holylandtokyo.com/2025/10/28/13057/
「B-52で威嚇」→https://holylandtokyo.com/2025/10/21/13001/
「麻薬密輸船への米軍攻撃理論」→https://holylandtokyo.com/2025/10/06/12942/
近日公開の国家防衛戦略NDSは
「新NDSでは中南米が」→https://holylandtokyo.com/2025/09/30/12893/



