中国が2013年から開始を、ベトナムは2021年から負けじと
南沙諸島にベトナム拠点が21か所も
中国がフィリピン米国に注力対処の隙に乗じて
また、中国と米国の支援を受けたフィリピンとの対立が目立った今年、ベトナムは中比の騒ぎに紛
れるように同諸島の8か所で新しい拠点の設置工事に着手するなど、精力的に同諸島海域の島々で工事を推進しており、軍事的能力の点で中国軍施設や配備装備でかなうレベルにはないが、将来的には有事に備えての防御拠点として、滑走路や深度を持つ港湾施設に相当規模の沿岸警備隊や航空機を備えた部隊を配備して脅威を形成するだろうし、米国や関係国がこれを側面から応援する可能性もある、との専門家意見を紹介しています
12月17日付Defense-News記事によれば
●2025年にベトナムは、領有権を主張する南沙諸島の点在する岩礁等の8か所で弾薬庫等を備えた人工島設置工事を開始しており、中国が同様の軍事拠点設置を開始した2013年からは遅れたが、2021年に11か所で開始した軍事拠点設置は、上記8か所を加えると21か所に上っている
●そして米国のシンクタンクCSIS「Asia Maritime Transparency Initiative」の報告書は、ベトナムが南沙諸島に造成した人工地の面積は、2025年3月時点で中国の同諸島造成面積の約70%に相当し、将来的には中国拠点の面積をベトナム拠点の面積が上回る可能性があると指摘している
●人工衛星画像によると、例えば南沙諸島の5つの岩礁(Alison Reef, Collins Reef, East Reef, Landsdowne Reef, and Petleys Reef)のベトナムの拠点では、厚壁に囲まれたコンテナ6個からなる弾薬貯蔵庫が確認でき、Barque Canada Reefでは港湾施設と2400m級の滑走路が確認されている
●これらベトナム側施設は、中国が同じ南沙諸島の3拠点(Mischief Reef, Subi Reef, and Fiery Cross Reef)に整備した、3000m級滑走路、対艦・対空ミサイル、レーザーを含む敵行動
妨害装置、地下兵器貯蔵トンネルや戦闘機とその格納庫を含む本格施設とは比較対象にならないレベルで、また中国と異なり、他国への脅威となるような行動に使用されたことは一度もない
●ただしベトナムは人工島の建設工事を継続し、駐留部隊に野菜の栽培や鶏の飼育を推奨しており、専門家や地域メディアは、ベトナムは中国に対抗して島々に警備部隊や航空機前方展開を強化し、平時の情報収集能力を強化するとともに、有事における領有権主張地域の防御と敵部隊への反撃能力蓄積を着々と進めている、と分析している
●中国が2013年に人工島造成に着手した当時、在ハノイの米国大使館は、ベトナムが中国に対抗して拠点造成に動くことを思いとどまるよう働きかけたが、中国側が拠点建設をほぼ終えた今、米
国の態度は以前とは異なるだろうし、他の関係国からも程度の差はあれベトナムを応援する姿勢に期待できるだろう。
●中国はフィリピンとの前線での衝突に注力している模様で、現時点ではベトナムによる拠点造成への中国による妨害も多くは無く、ベトナム側も中国の動きをメディアで騒ぎ立てることなく、この隙に乗じ、やるべきことをやる覚悟のようである。ただ21か所もの拠点設置と2025年の急速な拠点増強程度から、中国が静観に近い今の姿勢を急変させる可能性は低くない
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南沙諸島に21個の拠点を設置し、中国側拠点とはレベルの差はあれ、面積的には中国の7割・・・とは、ベトナムの恐れを知らぬ強気な姿勢に感服いたしました!
ご紹介したDefense-News記事は、12月17日掲載以降、同webサイトの中でもアクセスランキング1位と2位を数日間維持する人気ぶりで、世界の安保・軍事関係者にとっても「驚きの真実」だったようです。
米ベトナム関係の回復
「ベ戦争後初:米国航空機提供」→https://holylandtokyo.com/2024/12/18/8184/
「ベ戦後初米空軍トップが訪問」→https://holylandtokyo.com/2019/09/19/6651/
「ベ戦争後初:米空母が訪問へ」→https://holylandtokyo.com/2018/02/28/7076/
「米国武器フル解禁発表」→https://holylandtokyo.com/2016/05/23/7660/
「2015年国防長官訪問」→https://holylandtokyo.com/2015/06/03/7993/
「武器輸出緩和方針発表」→https://holylandtokyo.com/2014/11/18/8247/


12月17日付Defense-Newsは、中国による2013年からの人工島造成や軍事基地建設で問題化している南シナ海の中の、ベトナムも領有権を主張する南沙諸島(the Spratly Islands)において、ベトナムが領有権を主張する島々で2021年から弾薬庫や監視施設等の防御拠点を設置し始め、中国のように他国の同海域での行動を妨害することは一切ないが、造成地の面積は南沙諸島で中国が整備した面積の7割にもなり、拠点数は21個にも上っていると紹介しています。