ヘグゼス国防長官がNSSを踏まえNDS をプレビュー

12月5日発表の国家安全保障戦略NSSを受け
今後発表予定の国家防衛戦略NDS のプレビューを

12月6日、ヘグゼス国防長官は加州で例年開催の「Reagan National Defense Forum」で、5日発表の国家安全保障戦略NSSを受け、米国防省 webサイトが「今後数年間で、米国とその同盟国のため、強さを通じて平和を保証するべく、国防省が行う4つの取り組み方針を、まもなく発表する国家防衛戦略NDSのプレビューとして説明する」と表現する基調講演を行いました

以下、米国防省 webサイトから講演概要をご紹介します

●トランプ政権と国防省は米国を第1に考え、終わりなき外国との紛争巻き込まれを避け、国の安全、自由、繁業を優先に尽力している。また、世界にとってより良い未来のために行動している。この際、ユートピア的な理想主義は捨て、厳しい現実主義を導入する
●これらの目標達成のため、国防省は「4つの主要な取り組み」を優先する必要がある。それは「米本土と西半球の防衛」、「武力forceではなく力strengthによる中国抑止」、「負担分担の強化」、「米国の防衛産業基盤の強化」の4つである

「米本土と西半球の防衛」
●大統領の指示の下、国防省は南部国境の警備を強化し、国境管理を 100%行うことを最優先事項としている。更に、国防省は不法滞在中の危険な犯罪者の国外追放において、法執行機関を支援することにも取り組んでいる
●麻薬テロリストは西半球のアルカイダであり、我々はアルカイダを追い詰めたのと同じ洗練さと正確さで彼らを追い詰め、地域の同盟国も麻薬テロとの戦いを支援している

「武力forceではなく力strengthによる中国抑止」
●大統領の指導力により、米国と中国の関係は長年で最も強固なものになっている。トランプ政権は安定した平和、公正な貿易、そして敬意ある関係を求めており、中国の成長を阻害したり、中国を支配したり、屈辱を与えたりしようとしているわけはない。
●台湾の現状を変えようとしているわけでもなく、国防省は衝突の回避と緊張緩和を目指し、中国軍との車同士の意思疎通をより広範囲に開くことに尽力している
●この取り組みは柔軟な現実主義に基づき、支配ではなく力の均衡を目指すアプローチで、インド太平洋地域で、貿易がオープンかつ公正に行われ、全ての人々が繁業し、全ての利益が尊重されるアプローチを目指すものである

「負担分担の強化」
●米国の同盟国とパートナー国が集団防衛(Collective Defense)のため自らの役割を果たすことが重要
●NATO 諸国が最近、国内総生産5%を防衛費充当に同意したが、トランプ政権は、世界中の米同盟国にこのテンプレートを適用したい。イスラエル、韓国、ポーランド、そしてますます増えているドイツ、バルト諸国など、行動を起こす同盟国には特別な恩恵を与える。そうしない同盟国、集団防衛の役割を果たさない同盟国は、相応の報いを受けるだろう。
●大統領の考えは理にかなっており、私も同感だ。自助努力する国への支援を好む。それが依存関係ではなく、パートナーシップの本質だ

「米国の防衛産業基盤の強化」
●数年後には、大統領の先見性ある指導力のおかげで、裕福で生産性の高い国を含む同盟国が、再び戦闘能力のある軍隊と、国家が再興した防衛産業を展開することになる
●国防産業の増強に関し、米国の国防産業基盤を「強化」することが、他のすべてを支える。目標は、きわめて大きなものであってもシンプルである。それは、調達システム全体を変革し、能力配備を迅速にし、成果に焦点を合わせることだ
●この目標達成の鍵は、現在の主要元請業者が支配する競争の少ない国防産業基盤から、「商業ペースでの投資と、米国特有の規模拡大と迅速な拡張能力を組み合わせることで生産を加速する、ダイナミックなベンダー世界によって駆動される未来」へ移行することだ

「過去の反省に立って、未来に取り組む」
●中東での戦争や成果を上げなかった民主主義構築を支持してきた、レーガン政権以降の共和党指導者たちを批判し、気候変動が軍の即応態勢に深刻な課題をもたらすと主張する人々を激しく非難する
●国防省は、民主主義の構築、介入主義、漠然とした戦争、政権交代、気候変動、道徳観念の煽動、無責任な国家建設などに惑わされることはない。我々は、国家の実際的で具体的な利益を最優先する
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日本の専門家の方のコメントに、「西半球重視で分が悪いのはその通りだけど、NSSは欧州に厳しく、中国はまだ重視。優先されています」とありましたが、そんな感じです。

ただ対中国に関しては、国防省の担当する「軍事力VS軍事力」の分野では、大陸にデンと構えた中国と、作戦拠点が少なく米本土から距離のある米国との間には、埋めがたい軍事的立ち位置の格差が当初から存在しており、ヘグゼス長官が率いる国防省としては、「柔軟な現実主義に基づき」、「衝突の回避と緊張緩和を目指し」、軍事力だけでなく国力全体での「力の均衡を目指すアプローチ」を取らざるを得ない・・・と「まんぐーす」は解釈いたしました。

スピーチの中で、対中国の部分だけが、「極めて慎重で、丁寧な言い回し」になっていることから、しみじみとこれが現実だと思いました。

12月5日公表の「国家安全保障戦略NSS」関連
「国家安全保障戦略が欧州を酷評」→https://holylandtokyo.com/2025/12/08/13382/
「NDSは西半球重視へ」→https://holylandtokyo.com/2025/09/30/12893/

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