9月11日に工場から空軍基地に初飛行
2023年11月10日初飛行の初号機に続き試験加速へ
初号機や2機目を含むB-21試験投入が予期される初期生産ロット合計5機の機体を用いて、Edwards基地第420試験飛行隊が担当する新型ステルス爆撃機の「兵器や作戦運用システムの試験」に使用される予定であると、製造担当Northrop Grumman社へのインタビューを元に報じています。
新規開発航空機の場合、一般的に初号機が前述の「設計段階で想定されていた基本的な機体の空力特性や操縦性や飛行限界性能の検証」を担い、その他の試験用機体は、以下の6項目の試験項目を分担して行うことが通例となっていると同記事は解説し、
・エンジン
・運用能力とセンサー
・極端な飛行条件
・極端な気候条件
・信頼性と耐久性
・ステルス性
更にB-21爆撃機の場合、試験用機体も量産型機体と同じ製造工具や製造ラインで組み立てられており、1~2機の例外を除き、試験用機体も試験終了後は試験用の計測機器を取り外す等の作業を経て、実任務遂行可能な形態に改修され、部隊に提供される予定になっていると紹介しています。Northrop担当者によれば、これはデジタル設計ならではの成果で、各種テストで実行可能性を検証済みとのことです。
なお同社は9月11日の2号機初飛行のプレス発表で、
●これまでの初号機と2号機を用いた地上や飛行試験結果は、「全ての側面で、デジタル設計の予測を一貫して上回り続けており、B-21の性能と進歩に対する信頼を強固なものにしている」と着実な試験状況を披露し、
●「常に最新技術を投入可能な準備を継続しているソフトウェア開発体制により、B-21部隊にseamlessな能力向上を提供することが将来的にも可能となっている」とアピール。
●また、具体的な生産規模拡大程度や最終的な調達機数に関し、国防省や米空軍は一切明らかにしていないが、米議会が最近、B-21生産能力増強に約6500億円を追加する修正法案を準備していることを受け、同社広報担当者は「生産加速に必要な訓練やツール提供の準備は整っており、米空軍と協力し、B-21能力提供最大化に取り組んでいく」と言及
米空軍側からは2号機初飛行に際し、
●(B-21の初期運用態勢確立IOC時期等については一切言及がないが、)試験終了後に最初のB-21部隊が編成されるのはサウスダコタ州のEllsworth空軍基地で、現在同基地に所属するB-1爆撃機は、B-21受入準備のためテキサス州のDyess空軍基地に移動すると明らかに
●また、Ellsworth空軍基地では、高度なシム訓練が可能な「high-fidelity高再現度, full-motion simulators」「immersive没入型 labs」「virtual spaces」が設置準備中で、更に細部目的や仕様は不明ながら新型爆撃機の運用や維持管理を円滑にするためと推定される「Fleet Management Tool」の導入準備も進められている
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2機目のB-21紹介YouTube(約6分半)
これまでのところ、全てにおいて「非の打ち所がないFlawless」なB-21開発で、F-35戦闘機やT-7練習機やKC-46空中給油機や次期ICBMや次期空母や次期SSBNや陸軍次期捜索攻撃ヘリや次期戦車などなどの「グダグダ」開発プロジェクトに、「爪の垢」でも「煎じて」飲ませてあげたい心境ですが、過去の例で、順調すぎたKC-46Aが「突然ドロ沼化」したケースもありますので、油断はできません
それでも「順調さ」の背景として、以前米空軍関係幹部が語っていた内容は参考になりそうなので、2021年6月の過去記事から再度ご紹介しておきます。
ポイントは、数年で入れ替わる高級幹部や政治任用高官の兵器要求性能に対する「思いつき横やり」や「思いつき変更要求」を断固拒否排除する仕組みだとのことで、大いに納得した次第です。
「下院軍事委員長も絶賛のB-21開発」→https://holylandtokyo.com/2021/06/23/1896/
●「open mission systems」と「modularity of design」思想の採用により、過去の開発案件と大きく異なり、「要求性能を変更することなく」、また統合の要求性能見直し評議会開催をお願いし、無線機や兵器やセンサーや防御システム要求性能の見直しをお願いする必要もなく、開発を進めている。
●上記思想は新型爆撃機に必要な大前提の一部として設定されており、これがゆえに「開発を迅速に計画通り進めることができた」
●(6年前に固めた要求性能を維持したままで、急速な技術進歩をとげる敵に対応できるのかとの質問に対し、)B-21は必要な新技術を取り込んでおり、継続して空軍迅速能力開発導入室(Rapid Capabilities Office)やNorthrop Grummanにより管理されている
●この取り組みがAdam Smith下院軍事委員長から「スケジュール通りで、かつ予算範囲内で進んでおり、知的な道を歩んでいる」との高評価を頂いた理由であろう
●B-21は、よほど大きな必要性が生じない限り、「block upgrades」は実施せず、漸進的なアップグレードを行い、それらは前線部隊で実施されるであろう。補給整備基地に持ち込んで長期間非稼働で大規模改修を行う形式ではない
●Roth臨時空軍長官からは「なぜ遅れが生じないのか」と問われたが、「要求性能の変更を拒否しているからだ」と答え、「必要なことに焦点を当て、ゴールすることに注力している」と補足したと振り返り、下院軍事委員長にも同じような説明をして高評価を頂いた
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B-21開発が順調な背景は・・・
「下院軍事委員長も絶賛のB-21開発」→https://holylandtokyo.com/2021/06/23/1896/

