中国軍の空対空ミサイル射耗強要戦術に対抗して
情報筋の「数十発の AMRAAM 搭載大型機を検討」情報を吟味
米空軍&宇宙協会機関紙の編集長が自ら執筆で・・・
検討初期段階の「種」「ネタ」の一つとしてご覧ください
「真剣に議論」とも表現の記事ですが、全体のトーンとしては、米空軍を取り巻く厳しい予算情勢の中、また対空兵器AMRAAM(AIM-120 と次世代AIM-260)の在庫確保さえも危うい状況で、かつ大量導入が構想されている無人ウイングマン機 CCA開発が道半ば&運用法未定な状態で、B-21ベースの改良型とは言え、新機種である空対空兵器「満載」のステルス大型機導入の余裕は米空軍には当面ないと思料されるが、「この噂」の背景や実現可能性を整理して、「空中戦大好き族用の」工ンタメ記事として提供しよう・・・との雰囲気ですので、「一興」として取り上げます。
「数十発の AMRAAM 搭載ステルス大型機」検討背景
●台湾紛争の空域近傍に多数の基地を保有する中国側は、空中給油なしで数百機の第4世代および第5世代戦闘機を台湾周辺に展開可能だが、米軍戦闘機は航続距離の限界から展開機数で劣勢であるため、対処策として「空対空ミサイル大量搭載大型ステルス機構想」が初期段階議論されている。
●中国側は紛争の初期段階で、米国の空対空ミサイル備蓄を枯渇させる目的で、無人機化した第3世代機等を多数飛ばして米側ミサイルの「射耗」を迫る可能性が高い
●このような中国側作戦に対抗するため、米軍は、F-22、F-35、F-47 等が探知した空中目標を、空対空ミサイル大量搭載の大型ステルス機に命じて攻撃可能な体制を確立したい
B-21ステルス爆拳機との両立可能性
●上記のような空対空兵器の不足問題は以前から指摘され、20年から 15年前のB-21構想検討時に議論されたことはあったが、B-21に空対空能力を持たせる説得力のある議論はなく、B-21の初期要件には追加されなかった。
●これは、B-2に代わる空軍ステルス爆撃機調達の緊急性から、潜在的なコスト増につながる空対空能力追加が、早期機数確保と相反する要求だとして回避されたからだと専門家は振り返っている。
●爆撃機部隊を運用する米空軍Global Strike Commandは、爆撃機自身の防御のために、空地空ミサイル搭載版ステルス爆撃機の検討を行ったことはある模様も、戦闘機とパッケージを組んで、戦闘機の防御を担うような運用には基本的に反対姿勢である
●B-21に空対空兵器を搭載することで、敵の思考に不確実性を持ち込んで混乱させることは可能だろう。輸送機の貨物庫から対地攻撃用の巡航ミサイルを投下する試験は、敵の対処負担を増す効果を狙った側面があるが、似たような効果を期待する考え方もある。
●現時点でB-21製造ペースは、2020年代には年間7~8機、2030年代初頭には年間10機程度と推定されている。爆撃機の供給数は少なくとも当面は限定的であるため、B-21本来の目的である「最も価値の高い」目標爆撃用に投入されるべきで、空対空用途への拡大使用は将来のオプション程度でしかない。
●米議会が生産能力増強を検討し、一部専門家は年間 20機製造の可能性に言及しているが、米空軍全体の予算ひっ迫具合からすれば、実現可能性は高くない
空対空ミサイル在庫の現状
●台湾有事など太平洋に焦点を当てた机上演習結果からすると、空対空ミサイル AMRAAM(AIM-120 と次世代AIM-260をイメージ)は「7日から9日で枯渇」する程度の備蓄しかない。AMRAAM は著しく不足しており、米国産業界には空対空兵器を大量に生産して備蓄するだけの能力がないのが現状
●また、空地空ミサイルは高価で、その面でも実現可能性を低下させる要因となりえる
大型ステルス機の運用拠点は遠方に存在
●無人機ウイングマン機 CCAとは異なり、大型機(爆撃機)は戦闘機のように前方展開することはなく、後方の「大型機を維持整備可能な」基地から作戦することになるだろう。
●後方かつ遠方に根拠基地が存在する大型機に、攻撃パッケージ防御用空対空ミサイルを大量搭載し、他の戦闘機と攻撃パッケージを組ませることは、作戦運用上の現実から考えにくい
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「数十発の空対空ミサイルを搭載」する「攻撃パッケージ防御用」の「B-21ステルス爆撃機改良型イメージの大型機」が仮に実現するとしても、少なくとも計画が具体化するには数年必要な気がします。
まぁ・・それ以前に、米空軍の戦闘機が、台湾有事の際に活躍の場があるとは考えにくい・・と思うのは私だけでしょうか? どこから離陸するつもりなのか? どこかに帰投する目算があるのか? パイロットが緊急脱出や撃墜された場合の救難救助体制が準備可能なのか?等々、「?」だらけなんですが・・・
空対空ミサイル大量搭載母機の話はともかくも、「空対空ミサイル AMRAAMは、台湾有事に7~9日で枯渇する程度の備蓄しか存在しない」ことや、「中国軍が米軍に空対空ミサイルを浪費させるため、Mig-21などの旧世代機を無人機化して活用」との見積もりを、興味深く読ませていただきました。
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