既に7カ月も空席の副参謀総長の後任(7月推薦)が見直し状態
空軍参謀総長の後任候補も定まらないまま、現トップの退任が迫り
「最終的には、トランプ政権として解決すべき問題であるが、基本ラインとして、米空軍参謀総長ポストが空席になることは無い、ということだ。Allvin大将と私は話し合い、空軍の参謀総長を確保する」と述べ、この空軍長官発言の説明を求められた空軍報道官も、「後任が確定するまで、Allvin大将は引き続き空軍参謀総長を務め、円滑なリーダーシップ移行に必要な時間を確保する」とメディアに補足したとのことです。
このように「米空軍トップ:参謀総長」人事が混迷の中、2月21日に「理由不明確」なまま新政権のヘグゼス国防長官によって前任者が解任され、現在まで7か月間も空席が続いている「空軍No2の副参謀総長」候補に推薦されていたはずのThomas Bussiere空軍大将が、ひっそりと「推薦取り下げ」されていたと9月5日付Aviation Week電子版が報じ、米空軍2トップ人事が「五里霧中」状態に陥っているとしています
7月15日にトランプ大統領が「副参謀総長」候補に推薦していたThomas Bussiere空軍大将は、F-15C戦闘機乗りとして約10年間を過ごし、30代前半の 1996年にB-2ステルス戦略爆撃機操縦に転換した後は、核兵器を扱うB-2爆撃機部隊、その上級部隊である Global Strike Command、更に統合の米戦略軍主要ポストで仕事をしている核兵器管理の専門家のような人材で、混迷を極める次期ICBM計画の見直しを託されての人事案だとご紹介していたところでした。
同Aviation Week電子版は、Allvin空軍参謀総長の後任候補の最有力は、「戦闘機族のボス」ポストとも呼ばれる米空軍戦闘コマンドACC司令官を8月に退任し、9月末で退役予定の太平洋空軍司令官経験者で、対中国を想定した米空軍作戦運用の今後の指針となるACE構想発案者のKenneth Wilsbach大将であるが、その対抗馬として「副参謀総長候補」だったBussiere空軍大将の名前も挙がっている・・・と報じています
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ひねくれた「まんぐーす」的視点から申し上げれば、Allvin空軍参謀総長(輸送機パイロット)とSlife副参謀総長(特殊作戦ヘリ操縦者)が、戦闘機パイロット主導で構築されてきた現在の米空軍体制を将来に備えて改革すべく、同様の問題認識を持つ剛腕文民リーダーKendall空軍長官と共に立ち上がったが、
新政権誕生にともなう「事業や予算配分のReview」やKendall長官の交代の「どさくさ」に紛れ、巧く立ち回って新政権幹部に取り入った戦闘機族が、各種改革案をつぶしてAllvin参謀総長を退任にまで追い込み、「ペンタゴン勤務経験なき大将」である戦闘機族のボスWilsbach大将を祭り上げ、「戦闘機族による空軍支配」を再興しようとしているように見えてしまいます。
米空軍の戦闘機族は、将来的に役割が限定されるのが見え見えだった「足の短い戦闘機」を死守するため、2010年から15年にかけて提示された対中国作戦構想「Joint Air-Sea Battle Concept」を葬り去り、今日に至る対中国作戦の昏迷を招いていますが、
今後「無人機による低高度支配」の到来と共に、「戦闘機による制空権確保」が無意味となる時代を迎える中でも、ますます戦闘機に固執して血税を浪費し、ただ「空を飛んでいたい」との独りよがりな願望死守のため、狭い世界で「お山の大将」を続けるのでしょう
米空軍トップが突然退任表明
「辞任は内部要求か」→https://holylandtokyo.com/2025/08/27/12638/
「突然の辞任発表」→https://holylandtokyo.com/2025/08/20/12609/
「GAO:派遣部隊の編成問題指摘」→https://holylandtokyo.com/2024/12/24/10394/
「最大の課題はICC創設」→https://holylandtokyo.com/2024/09/03/6230/
長期空席の空軍No2候補(7月推薦)だったのは
迷走を続ける次期ICBM事業立て直しを託されたと推測された
「B-2操縦者で核兵器専門家」→https://holylandtokyo.com/2025/07/23/12257/
戦闘機族に葬り去られた「Air-Sea Battle Concept」
「中国軍事脅威の本質に挑む」→https://holylandtokyo.com/2013/01/02/8924/

