アラスカ州Eielson空軍基地計画も反対で1年半遅れ
以降の配備候補地には言及せず製造契約候補企業8社発表
GoogleやMeta等がAIデータセンター用に本格開発の追い風期待
初号機を2027年までにアラスカ州Eielson空軍基地で稼働する計画は反対で1年半遅れており、関係者が「2030年までの完成を願う」状態となっており、また安全基準等を満たす「ミニ原発」の開発に複数の候補企業のいずれもが成功していない現状を取り上げつつ、
一方で大量の電力を必要とする「AI事業展開」を狙う「GoogleやMeta等の大手民間IT企業」が、データセンター用に「ミニ原発」開発への大規模投資を本格化させており、関係者が「3年前なら困難だったことに、今は光が見え始めている」旨の発言をしていること等を紹介しています
当初の構想や計画
●2019年国防授権法の関連文書では、「2~10メガワット級を想定」、「商業ベースでミニ原発開発を進め、基地内で運用開始後は、ミニ原発運用会社から電力を購入する形式」、「2027年までに米本土の米軍基地で1号機デモ運用開始」、「約9割の米本土米軍基地の電力は40メガワット級の発電所でまかなえるが、サイバー攻撃停電に備え、ミニ原発で2-10メガワット程度を確保したい」との構想が描かれた
●2027年運用開始予定で初号機をEielson空軍基地で稼働させるため、国防省は2022年に「BWX Technologies社」とデモ機開発&試験契約し、同基地が必要な15-megawattの石炭火力発電能力に、ミニ原発で5-megawattを追加供給することを目指していた。デモ機開発&試験を行う計画「Project Pele」では、ミニ原発を2024年度の納入後、「Idaho National Laboratory」で3年間にわたり信頼性等確認試験を行う予定となっていた
●(企業の入れ替わりなど詳細をまんぐーすは把握できていませんが、)しかしその後、空軍の入札プロセスへの抗議があり、Oklo社に発注する予定を撤回した。プロジェクトは現時点で18ヵ月遅延しており、米空軍関係者が「早ければ今夏、おそらく今年後半にミニ原発製造企業を発表したい」、「2030年までの完成を願う」と語っている状態
国防省DIU関係者の動きや見方
●2025年4月初旬、DIUはミニ原発開発プロジェクトANPI(Advanced Nuclear Power for Installations program)で、ミニ原発試作企業の候補として8社を選定。次のステップとして、2025年9月までにこれらの企業にプロトタイプ提案依頼書を送る見通し
●上記候補の8社は、「Antares Nuclear Inc.」「BWXT Advanced Technologies LLC」「General Atomics Electromagnetic Systems」「Kairos Power LLC」「Oklo Inc.」「Radiant Industries Incorporated」「Westinghouse Government Services」「X-Energy LLC」
●DIUのAndrew Higier担当責任者は、「3年前なら自信はなかったが、民間企業の技術成熟により、2030年代初頭までには政府認可の取得可能なANPIが求める安全基準等々を備えたミニ原発が提供されると期待している」と語り、
●背景として、「GoogleやMeta等の大手IT企業がAI需要急増に対応するため、自社のデータセンターに超小型原子炉や小型原子炉の活用を検討しており、大きな資本投資が行われている。もはや国防目的だけの技術開発ではなくなっている」と説明
一方で反対論が根強いことを受け関係者は
●アラスカ州Eielson空軍基地に続く、将来のミニ原発設置基地について現時点で語るのは時期尚早。国防省のDARC BlUESプロセス(Department of Defense Advanced Reactor Criteria Baseline Understanding for Enterprise Scaling)に基づき、空軍と宇宙軍双方のニーズを勘案して選定する
●任務の重要性や原子力エネルギーの特性を踏まえ、他のエネルギー利用との費用対効果比較などなど、データに基づいた意思決定手法を確立したい。
●アラスカやテキサス州など「原子力に好意的な法律を可決した州」の存在は、選定プロセスに影響するだろう。これも非常に重要な要素
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DIU担当責任者は本事業について、「crawl這いまわり、walk次に歩き始め、runいつかは走り出したい」アプローチだと語っており、「精密誘導&貫通兵器が発達する中、有事には一番に敵の攻撃目標になる」「いくら安全対策を施しても・・」「同盟国等の受け入れ困難」等との反対論を前に、苦労のほどがうかがえます
以下の過去記事では、配備候補場所として「北極圏や山間部など送電施設維持が負担となる辺鄙な基地や、ICBMサイロ等への電力供給」や「対中国の本格紛争での拠点ながら、発電機用燃料輸送の目途が立たない前線基地や分散運用基地」が上がっていますが、今日ご紹介の記事では全く触れていません。将来を語ることがハバカラレル、むつかしい事業です。でも東芝など日本企業も、しっかり開発をアピールしてますので期待いたしましょう
ミニ原発関連の記事
「議員団が太平洋軍配備要望」→https://holylandtokyo.com/2024/01/16/5432/
「デモ機製造決定」→https://holylandtokyo.com/2022/06/20/3344/
「航空輸送可能なミニ原発配備へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/19/3147/
「ミニ原発反対論」→https://holylandtokyo.com/2021/06/29/1960/
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holylandtokyo.com/2020/03/11/779/

