米の関税政策巡り米加関係緊迫の中で加政府が近く新方針を
国防調達大臣は以前からF-35に懐疑的な元戦闘機乗り
英仏と既にF-35代替を協議も
同新首相が「カナダ軍の大規模な再軍備計画」として選挙中から明確に打ち出していた、自走榴弾砲80~102門、通常動力型潜水艦隊、カナダ製早期警戒管制機隊、新たな地上配備型防空システムや大型砕氷船の追加導入に加え、新首相や新たに任命された元戦闘機パイロットである国防調達大臣が以前から繰り返し主張してきた「F-35調達の見直し」が、関税問題で緊迫する米カナダ関係に再び浮上する気配を指摘しています
カナダは当初からF-35共同開発国として、米英豪伊蘭ノルウェートルコと共に資金を提供し、同時に機体製造の「シェア確保」に動いたわけですが、数々の開発トラブルや遅延を受け、他の共同開発国が次々とF-35購入計画を打ち出す中でも導入計画を決定せず、2015年にトルドー氏が「F-35を絶対購入しない」と公約して首相に就任するなど、米国と粘り腰の交渉を延々と行い、つい最近の2023年まで88機の購入計画を承認しなかった国でした。
新首相誕生を受けカナダは、あくまで初期導入16機の契約を米国と締結したのみで、その後のことは白紙との大前提に立ち戻り、トルドー政権下の財務相当時から「F-35見直し」を主張していたCarney新首相が、米国との交渉窓口となる国防調達大臣に、元カナダ軍戦闘機乗りでF-35導入に以前から疑念を示していたStephen Fuhr氏を任命して態勢を整え、「F-35の今後」について再検討する姿勢を明確にしたと同記事は報じています
Fuhr国防調達大臣は防衛調達改革に取り組むと就任の抱負を語たり、F-35に関して「具体的な状況についてまだ説明を受けていない」と慎重なメディア対応で新職務をスタートしています。ただ同記事は、新首相が首相指名選挙中に、英仏の政府関係者とF-35代替機を提供可能か、また代替機をカナダで製造可能か等について突っ込んだ議論を開始していると語った事実を取り上げ、カナダの米国への姿勢は従来とは大きく転換すると指摘しています
また同記事は、カーニー新首相が「カナダには同盟国に関する選択肢がある:Canada has choices on its defense alliance partners」と語っていることも取り上げてます
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カナダ軍の規模や既に16機のF-35契約を結んでいる状況からして、今から欧州製のEuro-Fighterやラファールを導入したり、欧州の次世代機開発に加わることは考えにくいですが、ウクライナやイスラエルが直面している「脅威の変化」を踏まえ、「88機」としているF-35導入計画を見直し、資源配分重点を無人機や防空システムや宇宙やサイバー分野に転換する可能性は考えられます
世の雰囲気に流され「F-35導入を決定してしまった国」の大半は、バカ高い同機の維持費に改めて気づき始めており、トランプ関税政策を巡って対米関係が変化するタイミングでもあることから、カナダ新政権の「F-35見直し」自体は小さな動きであっても、「アリの一穴」となって、世界中のF-35関係国に「機数削減」や「導入計画見直し」の機運を引き起こす可能性があると思います。
策士カナダF-35選定の紆余曲折
「やっと88機F-35A導入発表」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「F-35を第1候補に決定」→https://holylandtokyo.com/2022/03/31/3061/
「選定仕切り直し」→https://holylandtokyo.com/2018/11/06/6860/
「中古の豪州FA-18購入!?」→https://holylandtokyo.com/2017/12/12/7108/
「痛快:F-35購入5年延期」→https://holylandtokyo.com/2016/11/26/7506/
米空軍が控えめ姿勢に
「導入機数は予測不能」→https://holylandtokyo.com/2024/12/24/10504/
「米空軍F-35導入ペース低下」→https://holylandtokyo.com/2024/11/25/6327/
最近の亡国の F-35導入決定国
「緊縮財政下のギリシャも」→https://hoylandtokyo.com/2024/08/14/6168/
「ルーマニアも」→https://holylandtokyo.com/2023/04/18/4519/
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「フィンランドが 15番目」→https://halylandtokyo.com/2021/12/14/2520/

