米空軍が有事に民間輸送機を動員可能な形式を参考に
まず短期のお試し 90日間短期契約4つから
有事に膨大なニーズ増予期の衛星通信や宇宙状況認識に
輸送機は危険地域派遣なしも、宇宙アセットは攻撃対処に悩み
米宇宙軍担当Richard Kniseley 大佐によれば、潜在的にこの種の契約ニーズは膨大にあり、今は試行段階で走りながら学んでいるが、並行して新たな多くの試行契約が今後続いて締結される予定で、宇宙軍は紛争や危機時に商用衛星を活用可能とする前契約を確立したいと考えており、「2025年末までには、試行を終えた CASR 正式契約が初めて結ばれる見込みで、宇宙軍は全力でこれを推進していく」と取材に答えたそうです
同大佐によれば、米空軍契約との最も大きな環境要件の違いは、民間航空機は紛争地域を飛行しない前提で米空軍に協力可能だが、宇宙アセットは中国とロシア上空の軌道上で毎日運用されており、宇宙軍と関係ない現状でも、事業者の多くがサイバー攻撃を受けるなど一定レベルの脅威を受け、ある意味で戦いの渦中にある状態だとのことで、
宇宙軍との契約後に企業アセットが攻撃を受けた場合に、国防省として保護行動を行うか、企業アセットに被害が出た際の補償をどうするか、宇宙軍支援時に他の顧客サービスを制限するかどうか等々、重要な論点や疑問は今後の試行期間で煮詰めてクリアすべき事項だと、大佐も認めています。
また同大佐は、公表すると敵の攻撃対象になる可能性があることから、試行契約であっても企業名は非公開であることや、契約により企業は宇宙軍等の訓練や演習に参加可能となり、宇宙軍作戦に関する貴重な情報を得ることができる点を明らかにしています
3月にスタートした試行契約は「space domain awareness」関連とのことですが、宇宙軍幹部は今後の契約拡大方向は、有事需要の爆発的拡大が予期される「衛星通信」だと示唆しており、既に民間衛星通信企業との演習を通じて相互理解や課題洗い出しに着手済で、通信衛星分野が CASRに馴染みやすい感触を得て、今後6か月以内に衛星通信に関するCASR 契約を追加したい意向のようです。
また記事はCASR契約拡大方向として、戦術的な監視、偵察。追跡、小型アセット緊急打ち上げ等の任務が続く可能性があると示唆しています。
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米軍の宇宙ドメイン活動は、「民間宇宙企業」との一体化が猛烈な勢いで進んでいます。
上記で取り上げたような民間企業の宇宙アセットが「敵からの攻撃を受けた場合」や「敵攻撃で被害が出た場合」への対応、そして「被害の補償」について、どのように折り合いをつけていくのかが気になるところです。
防衛研究所の関連論考
「民間企業と宇宙戦争の課題」→https://holylandtokyo.com/2024/07/17/6073/
宇宙分野での企業との連携
「企業協力強化に規格設定を」→https://holylandtokyo.com/2024/05/13/5833/
「補給方式異なる2企業と並行連携」→https://holylandtokyo.com/2024/02/20/5554/
「緊急打ち上げ技術開発」→https://holylandtokyo.com/2024/03/12/5622/
「衛星と地上との Link-16通信」→https://holylandtokyo.com/2023/11/30/5311/
「海上打上企業選定」→https://holylandtokyo.com/2024/06/14/5964/

