米空軍の次期戦闘機がボーイング製 F-47に決定

トランプ大統領がいきなり発表。ロッキードに勝利
「戦闘機の全性能面で誰も見たことのないレベルのもの」
「既に5年間にわたり試験飛行を行ってきた」
「トランプ大統領任期中(~2029年1月)に飛行する」
「F-22との比較でF-47 はコストが低く機数は増える」
「性能等が分かるから価格には触れない」
「少数の試験機と低レート生産の契約を結ぶ」
「F-22よりも航続距離が大幅に長くなる」
「同盟国にはtoned-down版を。いつか同盟国でなくなるから」

3月21日、ホワイトハウスでトランプ大統領が、国防長官と空軍参謀総長と空車技術開発&調達次官を従え、ボーイング提案とロッキード提案を比較した結果、米空軍の次期戦闘機をボーイング製のF-47に決定したと発表し、既に5年間の試験飛行を経た実績を踏まえ、最終的な完成機が自身の任期中の 2029年1月までに飛行すると発表しました

以下、トランプ大統領とAllvin空軍参謀総長が発表や声明等で明らかにした概要を、2本の3月21日付米空軍協会記事「大統領が発表」「参謀総長が語る」からピックアップしてご紹介します。
なお、(大統領)や(Allvin)等は発言者や発信者を示します。

ただ、特にコストについては良く分かりません。1機の価格に関し大統領は「価格を言えない。技術や機体の大きさが明らかになるからだ」と語りましたが、参謀総長は「Compared to the F-22, the F-47 will cost less」と述べ、メディア報道も様々に推測していますので、その辺りはご容赦ください

2本の3月21日付米空軍協会記事によれば
●(大統領)この戦闘機は既に5年の試験飛行を経たもので、戦闘機のすべての性能、速度、機動性、搭載能力、ペイロードにおいて、過去にこれに匹敵するものはなかった
●(Allvin)次世代のステルスやセンサー融合、最も手強い敵に対抗可能な長距離攻撃能力を備えている。数百時間飛行して最先端コンセプトを試験し、自身を持って技術限界を拡張可能なことを確認し、かつてないほど迅速に前線展開可能なことを証明してきており、トランプ大統領の政権下で(完成機が)飛行する

●(Alvin)F-22と比較し、F-47はコストが低く、将来容威への適応性も高い。(F-22製造機数 186機より)F-47 機数は増えるだろう。F-47は第5世代機に比し航続距離が長く、ステルス性も進化し、任務遂行範囲も広い(higher availability)
●(Allvin声明で)この機体は「適応型 built to adapt」思想で設計され。維持整備性も優れ、配備&維持に必要な人員やインフラも大幅に少なくて済むだろう

● (大統領) F-47 will be able to fly with many, many drones.
●(Allvin声明で)大統領が多くのドローンと共に飛行と述べた以外に、未来を見据え、人間と機械のチームワークの魔法を解き放ち、多様な状況に対応し、高い殺傷力を発揮する

●(米空車高官)F-47 契約には、開発試験用の少数のテスト機製造と、低レート初期生産機製造が含まれ、「cost-plus incentive-fee 契約」が締結された
●(米空軍)配備基地の決定等々については、今後数年間でなされるだろう

追加で同2本の記事の解説部分もご紹介
●米空軍は、今後数年間でF-47 の研究開発に数千億円(billions of dollars)を投じる計画
●F-47は今後数十年にわたり、戦闘機主力としてF-35とペアを組む可能性が高い。F-35は主に空対地戦闘とセンサー用の多目的第5世代機で、F-47は中国近接空域など、紛争環境で運用可能な空対戦闘機である

●空軍提供のF-47想定図は、第5世代機との明確な違いを示し、機首は従来型ステルス機形状だが、彫りの深い胴体部と全体的に平らな胴体形状や、カナードと尾翼の両方が上向きの独特の角度なことも明白。以前のステルス機の設計にはない特徴だ
●(Allvin 参謀総長の「F-47 will cost less」発言に関し、)F-22の価格は、1機の製造材料費だけなら約200億円だが、当初計画の400機調達を前提とした基地施設費や諸経費と、開発費を186機に分配して計算すると1機500億円以上となること等を念頭においた表現のレトリックではないか?

●F-22は186機で生産を終了したが、米空軍はF-47を220機から 250機導入を検討しているとの報道がある。
●米空軍指導層は、F-47を2つの形で製造する可能性も議論している、つまり太平洋型の長距離対応大型機と、欧州戦域の軍事目標間の短い飛行距離に適した小型機の2形感である

●(Allvin 大将が、F-47は第5世代戦闘機よりも「適応型built to adapt」思想で設計され、維持整備性も優れ、配備&維持に必要な人貝とインフラも大幅に少なくて済むだろうと述べた件に関し。)ソフト、センサー、その他の装備品の最新技術を迅速に反映するため、頻繁なモデュール交換を前提としたデジタル設計や「open-systems architecture」思想を指していると思料
●機体のステルス表面処理耐久性の大幅改善を指している。初期のステルス機は、航空機の継ぎ目等のステルス処理が手作業で、整備や修理に工数が必要だったが、最新のB-21爆撃機が「日常的に飛行する機体」と表現されるように、ステルス表面処理技術の技術革新が大きく貢献

●米空軍はロッキード落選理由に言及しなかった。ボーイングは、KC-46給油機、T-7練習機、VC-25B大統領専用機開発での固定価格契約に苦悩しており、自腹の超過費用は合計で約1兆5000億円にもなっている。また民航機の一連の事故や重大な品質不良で大赤字を出している状態だ
●NGAD 選定に敗れたF-35 製造のロッキード社は声明で、「この結果に失望」、「米空車からの更なる説明と協議を持つ」と述べている。
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2024年夏に当時のKendall空軍長官が、計画を一時停止して計画の必要性再検討に入り、最終的に判断をトランプ政権に委ねると大統領選挙後に明らかにしていた米国防省最大(次期ICBMシステムが一番か)の先送り案件が、あっさり決定しました。

有力者イーロン・マスク氏が、F-35 など有人戦闘機を無用の長物と酷評する中での検討でしたが、内情は追い追い明らかになるのでしょう。

軍需産業政策的には、B-21爆撃機がNG社で、F-35がロッキードなら、次は大赤字で瀬死のボーイングに振るしかないのでしょうが、「KC-46、T-7、VC-25B」の3点セットで醜態をさらしている同社に、その力量が残っているでしょうか????? 生暖かく見守るしかありませんが・・・・

それから、「GCAP」とか言っている日本の「戦闘機命派」の皆さんは・・・

次期制空機NGAD の現在位置
「次期政権に決定を委ねる」→https://holylandtokyo.com/2024/12/09/10419/
「再検討は年内に終わる」→https://holyandtokyo.com/2024/10/31/6478/
「NGADはF-35より支価に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/19/6351/
「再検討の方向性か」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/

NGAD 再検討による波及的影響
「ステルス給油機も運命共同体?」→https://halylandtokyo.com/2024/10/16/6370/
「見直しならNG 社が再挑戦?」→https://holylandtokyo.com/2024/10/08/6347/
「先端エンジン開発に危機感」→https://holylandtokyo.com/2024/10/18/6380/
「空対空ミサイルへの影響」→https://holylandtokyo.com/2024/10/23/6337/

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